フォルクスワーゲン 新型トゥアレグ 試乗レポート/渡辺陽一郎(3/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
「ハイブリッド」モデルは廃止、ラインナップは「V6」のみに
バリエーションで注意したいのは、従来の「ハイブリッド」が廃止されたことだ。価格も965万3000円と高く、売れ行きを伸ばせなかった。なので現在の選択肢は、V6とV6アップグレードパッケージの2種類になる。
試乗したのはV6アップグレードパッケージ。V型6気筒エンジンの排気量は3.6リッターで、最高出力は280馬力(6200回転)、最大トルクは36.7kg-m(2,900~4,000回転)。8速ATの組み合わせで、JC08モード燃費は9.8km/Lだ。この性能は変更を受けていない。
最近は2リッターのターボで35~40kg-mの最大トルクを発揮するエンジンが増えており、燃費を含めてトゥアレグには古さを感じる。それでも運転感覚はV6らしく自然な印象だ。
アクセルペダルを軽く踏みながら発進して、徐々に速度を高めていく場面では、ターボなどの過給器を装着しない大排気量エンジンは扱いやすい。ギヤ比の割り方が細かな8速ATの採用により、スポーティに走りたい時には高回転域を維持できる。とはいえ今後は、燃費向上のために、前述の小排気量ターボに移行していく。V6エンジンを積んだLサイズSUVを味わうなら、今が最後のチャンスかも知れない。
コーナーを曲がる時は、2トンを超える車両重量と高重心を意識させるが、走行安定性に不満はない。
贅沢かつ快適なSUV
もともとVWの操舵感は全般的に少し鈍めで、リラックスして運転できる設定となっている。
このVWの商品特徴と、SUVというジャンルは相性が良く、トゥアレグは自然な感覚で走れた。足まわりは従来と同じだが、発売当初に比べると動きがしなやかになった。2,905mmという長いホイールベース(前輪と後輪の間隔)の効果もあり、乗り心地はLサイズSUVらしく快適だ。
ただし、全長が4,815mm、全幅は1,945mmに達するから、街中で運転すると当然ながら大柄に感じる。VWのポロやup!をセカンドカーに持ち、トゥアレグは長距離を移動する時に使う。そういった贅沢な用途にピッタリだろう。
価格は標準タイプのV6が637万円、V6アップグレードパッケージは686万円になる。従来型はV6が669万7000円だったから、装備に若干の違いがあるとはいえ、カーナビなどの装着を変えずに30万円以上の値下げになった。日本車でいえば、レクサスRX450h・4WD(602万7428円)などが同じ価格帯に属する。
価格はちょっと高いが、VWのカジュアルな持ち味が好きで、長距離を安全かつ快適に移動できるSUVが欲しいユーザーには、気になる存在だと思う。
フォルクスワーゲン 新型トゥアレグ 主要諸元
全長×全幅×全高:4,815×1,945×1,745mm/ホイールベース:2,905mm/燃費:9.8km/L/エンジン:3.6リッター V型6気筒DOHC/トランスミッション:8速AT/最高出力:206kW(280PS)6,200rpm/最大トルク:360Nm(36.7kgm)/2,900~4,000rpm/タイヤサイズ:225/55R18/価格:(Touareg V6)6,370,000円(Touareg V6 Upgrade Package)6,860,000円
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