ヨコハマタイヤ「ブルーアース RV-02」試乗レポート/渡辺陽一郎(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志
ミニバン専用タイヤとしての効果がハッキリと分かったのは、テストコース内での試乗だ。まずは高速周回路を使って、ミニバン用のブルーアースRV-02と、ハイブリッド車などを対象に開発されたセダン用のブルーアースAE-01Fを比較した。
この2種類のタイヤを、それぞれトヨタ ノアハイブリッドと日産 セレナハイウェイスターの2車種に装着している。合計4台の試乗車を乗り比べた。
まずは操舵感だが、ミニバン用のRV-02はセダン用のAE-01Fに比べるとハンドルを切った時の反応が少し穏やかだ。車両の向きが変わりやすいのはAE-01Fになる。その半面、カーブを曲がっている最中にアクセルを戻すなど、車両が不安定になりがちな時は、RV-02の安定性が勝った。AE-01F装着車では後輪が横滑りしそうになる状態でも、RV-02なら踏ん張る印象だ。危険回避を想定した車線変更も同様になる。AE-01Fは機敏に向きを変えるが、その分だけ車線変更を終えた後の揺り返しも大きく、後輪の接地性が削がれやすい。
RV-02は、ハンドルを最初に切り込んだ時は車両が少し向きを変えにくいが、車線変更を終えた後の動きは安定している。つまりRV-02では、車両の動きが全般的に大人しく、機敏さよりも安定性を重視している。高重心のミニバンに装着した場合は、RV-02の方が運転しやすく感じた。
「ミニバン専用タイヤ」の疑問が解けた
この点を開発者に尋ねると、「ミニバン専用のRV-02は、セダン用のAE-01Fに比べて、ゲイン(操舵などの入力に対する出力の応答性)を少し下げたような設定にしてある」と言う。
ならばセダンやワゴンのような低重心の車種に、ミニバン専用のRV-02を履かせたらどうなるのか。「そこは必要がないのであまり試していないが、ノーマルタイヤよりも動きが少し鈍く感じられるだろう」という返答であった。
ここでひとつ、冒頭で述べた疑問が解けた。ミニバンは重くて高重心のクルマだから、ミニバン専用タイヤは、車両を曲げる動きを穏やかに、直進安定性を重視した設定にしてあるわけだ。
ちなみにミニバンのステアリングのギヤ比も、セダンに比べると概してスローに(ローギヤードに)なっている。機敏に曲がるとフラつきやすいからだ。
様々な種類が存在するミニバン・・・RV-02に適しているミニバンは?
ならばどの程度の背の高さがあると、ミニバン専用タイヤに向いているのか。先の開発者の返答では、RV-02をセダンやワゴンに履かせると、「動きが少し鈍く感じられる」とのことだった。だとすれば、背の低い先代オデッセイアブソルートなどでは、セダンやワゴンと同じく操舵感の鈍さが気になるかも知れない。
この後も開発者と話を続けたところ、どうやら全高が1,600mm前後のプレマシー、ウィッシュあたりがミニバン用とセダン用の境目になりそうだ。こういった背が低めのミニバンでは、スポーティグレードならセダン用、ファミリー向けのモデルで穏やかに運転するならミニバン用、といった使い分けをすると良いだろう。
それから「SUVに履かせたらどうなるのか?」という点も尋ねた。「RV-02はサマー用のタイヤだから、悪路とか雪道は基本的に想定していない。SUVを舗装路の上だけで走らせるユーザーで、サイズが合えば、相性は良いと思う」とのことだった。話をミニバン用タイヤのRV-02、セダン用になるAE-01Fとの比較に戻すと、乗り心地はRV-02が快適だ。
AE-01Fは反応の仕方が機敏な代わりに、路面状態の粗いところを通過すると、ややバタバタする印象。突き上げ感も伴ったが、RV-02はクッションが利いた感じで凹凸を滑らかに乗り越えていく。
以上のようにRV-02は、高重心のミニバンが快適に走れて、なおかつ運転がしやすいように開発されている。スポーティーな感覚は乏しいが、穏やかに走るミニバンの性格に合っている。
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