マクラーレン MP4-12C 試乗レポート/九島辰也(2/2)
- 筆者: 九島 辰也
毎日乗れるスーパーカー
では、実際に動かした印象だが、スタートしてすぐはあまりの扱いやすさと乗り心地のよさに肩すかしされたような気がした。パワステの軽さを含め特別なクルマに乗っているような気がしない。
ATモードもじつにスムーズだ。試乗後のプレゼンテーションで「毎日乗れるスーパーカー」と言っていたのはこのセッティングのことだったのだろう。
がしかし、電子デバイスによる可変ダンパーとアクセルレスポンスをはじめとするパワートレーン系の切り替えでその顔はガラリと変わる。
2つのつまみをともに「トラック」モードにすると、そのままレーシングカーへと早変わり。
具体的には足回りがガチガチにかためられる他、ステアリングもクイックになり、排気音も桁外れにデカくなる。低いギアからしっかり上まで回すと、響き渡るレーシーなサウンドでドライバーのアドレナリンは出まくりだ。
当然、その際の路面に張り付くような挙動もまた口元を緩ます。ステアリングに対してクイックに反応するシャーシは絶妙と言っていい。これをレーシーと言わずなんというのか。ロールもほとんど感じない。
また、リアスポイラーがブレーキペダルに連動してほぼ垂直に立つのもおもしろいアイデア。これもまたフォーミュラマシンからのDNAでブレーキ効果を発揮する。はじめにデモ走行してくれたレーシングドライバーが「エアブレーキ」と呼んでいたのはこれだった。こんなのはヴェイロン以外見たことない。
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