日産自動車 グローバル・マーケティング・ストラテジー本部 柴山哲也 インタビュー(2/5)
- 筆者: 御堀 直嗣
自動車メーカーにとってモーターショーの位置づけとは?
モーターショーは、最新のコンセプトカーや新車の発表、そして未来技術などが、華やかな雰囲気の会場内で披露される。年に一度、あるいは二年に一度開催される世界各地のモーターショーは、自動車メーカーにとって、どのような意味合いがあるのか?
【柴山哲也】我々にとってモーターショーとは、お客様やメディアの方々へ向けた重要な情報発信の場であり、日産自動車の考えや、将来像を直接届けることができる「タッチポイント(接点:筆者注)」と考えています。
お客様との「タッチポイント」には、販売店のディーラー店頭、テレビコマーシャル、あるいは本社や東京・銀座にあるギャラリーなど、いろいろな場があります。そのなかでモーターショーは、競合他社と軒を並べての直接対決という競争の場になり、他とは違った「タッチポイント」です。
ここ数年は、リーマンショック以降の経済情勢が厳しく、お金を使わずにどうやっていくかという工夫が必要でした。実際、日産でもモーターショーへの出展を取りやめなければならない状況がありました。しかし今は、ポストクライシスモード(危機の次の段階:筆者注)となって、立ち直り、元気を取り戻してきています。
競合他社も体勢を立て直している。そして、もっと新しいものという価値をどんどん提案しているので、我々もいっそう力を入れていかなければならないと気を引き締めています。
モーターショーを鑑賞するとき、「あのメーカーの展示は良かった」などと、我々も無意識に直観的な感想を述べているが、自動車メーカーにとって、モーターショーはまさに直接対決の場という、戦いの場であることが、柴山哲也の言葉によっていっそう明らかとなった。その戦いのために、どのような準備をしているのか?
モーターショーが競合他社との直接対決の場と位置付けられるだけに、社内の取り組み体制も、そうとうに大掛かりであることがわかる。
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