世界耐久選手権(WEC)王者、アウディの進化するマシンに迫る
アウディは、4月20日(日)にイギリスのシルバーストーンサーキットで開幕を迎える世界耐久選手権(以下、WEC)の参戦マシンである「新型Audi R18 e-tron quattro」に新型コクピットを採用した。
2014年シーズンの「新型Audi R18 e-tron quattro」のコンセプトは、人間工学的な面でも進化した。コクピットの操作系が、これまで以上にロジカルな配列となり、機能が向上しシートポジションも改善。この結果、FIA世界耐久選手権(WEC)を闘うアウディのファクトリードライバーへの負担が大幅に軽減されている。
最近では、レースド中にライバーがコクピット内で行う作業が増えている。これまでと同じレベルで安全性の確保、スピードの制御、そして正確なドライビングに注意を払うだけでなく、これからは燃費を向上させる作業も求められる。2014年シーズンから、レギュレーションで1ラップあたりの最大燃料消費量規制が実施され、違反はペナルティの対象。仕事量が増えたドライバーの集中力を保つために、操作の負担を軽減する必要がある為、新コクピットを採用することとなった。
これについて、アウディスポーツ技術部門リーダーのDr. マーティン ミュルメイアー氏は「2014年シーズン開幕前から、ドライバーへの負担軽減策について検討を重ねてきました。その結果、ペダル類からステアリングホイールの機能、そして操作パネルに至るまで、コクピットのあらゆる部分を一新することになりました。さらにレギュレーションの変更にともなってシートポジションも刷新されています」と説明している。
WEC王者アウディの新コクピットの秘密
2014年モデルの「新型Audi R18 e-tron quattro」ではクラッチペダルを廃止し、クラッチ操作はステアリングホイールに取り付けたパドルで行うようにした。アウディファクトリードライバーのルーカス ディ グラッシ選手は、この方式のアドバンテージについて「別カテゴリーのマシンで、既にこの方式を経験していますが、これまでよりクラッチ操作が簡単になりました」とコメントしている。
さらに、インパネやステアリングホイールの操作系も新しくなった。このために新しく開発されたマルチファンクション ロータリースイッチが、ステアリングホイールに装着。ドライバーは、2つのプッシュボタンを操作するだけで、マシンのバランス調整に重要な、トラクションコントロールとブレーキ制動力配分の機能を切り替えることが出来る。タンク内の燃料が消費され、マシンのバランス調整が必要となった際、ドライバーは各機能を簡単かつ頻繁に調整が可能となった。
また、新しいレギュレーションでは2014年からコクピットのサイズとシートの設置位置が変更され、ドライバーに多くのメリットをもたらしている。これまでは比較的フラットな姿勢でドライブしていたが、これからは上半身を起こした姿勢でドライブすることになる。これについて、ルーカス ディ グラッシ選手は「新しいシートポジションでは、前方の視界が広くなりました。さらに、サイドウインドーを通じての横方向の視界も広がりました。これにより、ライバルとバトルする時の負担が大幅に軽減されると思います」とコメントしている。
「新型Audi R18 e-tron quattro」は燃費性能だけでなく、人間工学的な面でも従来モデルから大きく進化した。アウディモータースポーツ代表のDr. ウォルフガング ウルリッヒは「新型モデルが持つ人間工学的な進化は、ドライバーが集中力を保ってドライブするために大きく役立っています。これにより、ドライバーの能力が遺憾なく発揮されるのはもちろんのこと、より確かなアクティブセイフティが生まれました」とコメントしている。
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