三菱 新型ミラージュ vs 日産 マーチ どっちが買い!?徹底比較(2/3)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:島村栄二
動力性能比較/三菱 新型ミラージュ vs 日産 マーチ
エンジンは両車とも直列3気筒の1.2リッターを搭載。ミラージュは最高出力が78馬力(6,000回転)、最大トルクは10.2kg-m(4,000回転)。マーチは79馬力(6,000回転)/10.8kg-m(4,400回転)と数値上はほぼ互角。ATは両車ともに無段変速式のCVTだ。
両車を比較試乗すると、エンジン回転が低い状態ではミラージュに若干の余裕がある印象を受けた。車両重量が50kgほど軽く、最大トルクの数値は下がるものの低回転域で発生させているためだ。
とはいえ、マーチとの差はそこまで大きくはなく加速力は同じレベルといえる。どちらも車両重量が軽自動車並に軽いため、約2倍の排気量によって加速力は活発で余裕もある。
今は軽自動車が新車販売されるクルマの40%近くを占めているが、ターボの力を借りずに加速が得られるのは軽よりも排気量の大きいコンパクトカーのメリットだろう。
走行安定性比較/三菱 新型ミラージュ vs 日産 マーチ
ミラージュは2015年12月のマイナーチェンジにより、足まわりに変更が加えられた。前後のショックアブソーバーの減衰力が見直され、前側はスプリングの硬さも変えている。足まわりの取り付け剛性も高められた。
そして前輪側のストラット式サスペンションには、スタビライザー(ボディの傾き方を制御する棒状のパーツ)が装着される。後輪側はトーションビーム式だから、構造的にスタビライザーの効果を併せ持つ。
装着されるタイヤは15インチ(175/55R15)で、試乗車が履いていたのはブリヂストン ポテンザ RE050A。ベーシックなコンパクトカーでは珍しく、スポーティな銘柄が装着されている。
これらの相乗効果により、1.2~1.3リッターエンジンを搭載したコンパクトカーとしては走行安定性は良好。4輪の接地性にも不満はなく、姿勢の変化が穏やかに進むので運転がしやすく不安は感じにくい。パワーステアリングの手応えも適度で、路面の状況が分かりやすい。
マーチは、カーブに入る時にハンドルを切り込むとボディがやや唐突に、大きめに傾く。危険の回避を想定して、ハンドルを切り込みながらアクセルペダルを戻すような操作をすると、後輪の接地性も下がりやすい。
こうなる背景には足まわりの取り付け剛性なども影響しているが、一番の原因は先に述べた「スタビライザーを装着していない」ことだ。ボディの傾き方を積極的に制御しにくいため、唐突に「フラッ」と傾く動きが強まってしまっている。
ちなみにマーチの場合、スタビライザーを装着するのはチューニングを受けた「マーチNISMO・S」のみ。「マーチNISMO・X」はスプリングとショックアブソーバーが変更されているもののスタビライザーは備えていない。
マーチは比較的良く曲がるものの、タイミングが少し遅れ気味にボディの傾き方が拡大する。そこで何らかの理由でドライバーが不用意な操作をすると、後輪を中心に挙動を乱しやすい。
なので前輪にスタビライザーを装着し、足まわりの取り付け剛性を高めるなどミラージュと同様の変更が施されれば、走りのバランスも向上するだろう。
マーチの試乗車が装着していたタイヤは14インチ(165/70R14)で、銘柄はファルケン・シンセラSN831。コンパクトカーのタイヤとしては標準的だ。
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