注目の最新インポート4座オープンカー徹底比較(4/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:村西一海
リーズナブルなプレミアム・コンパクト・オープン
カブリオレは120iのみとされたが、おかげで予想外に低いプライスタグがついたと感じている。
たとえば、ライバルの1台であるVWイオスあたりと比べても割安感があるし、だいぶ先に発売された同門兄貴分の3シリーズ・カブリオレと比べれば大幅に安い。3シリーズ・カブリオレを欲しいと思いながら、予算的にあきらめていた人でも、これなら手が届くかもしれない。
また、コストに対して得られる価値を考えると、非常にリーズナブルなクルマであることにも気づく。そのコストバリューの高さは、BMW車全体のラインアップの中で屈指であるといえる。
欲をいうと、6気筒エンジンが欲しくなるところではあるが、そうなると価格はだいぶ上がるはず。まずはこの価格設定で、誰の目にも魅力的に映るであろうプレミアム・コンパクト・オープンがラインアップされたことに注目すべきだろう。
そして実車に触れると、セグメントで唯一のFR車であり、BMWらしいドライビングプレジャーや、期待に応える「味」をしっかり備えているクルマであることを感じさせられる。
大事なのはハードよりもソフト
オープンにした状態はもちろん絵になるが、トップを閉じた状態でも実に絵になるのが、このクルマのひとつの特徴だと思っている。
ニュービートルとともに語られることが多いのは、やはりニューMINIであるが、かたやMINIは、さらなる商品力の向上やユーザー等の要望を採り入れることを目的に、早々にフルモデルチェンジを行なった。しかしニュービートルは、登場以来10年、基本となる部分を変えずに、部分的にアップデートを行なって対処している状態だ。
そもそも旧世代のゴルフ4がベースであるが、これほどの台数が売れるのであれば、あるいはこのまま現役モデルとして将来的にも続投するのであれば、専用設計してもよかったのではと思える。それでも、制約のある中で、徐々に進化を遂げていることもよくわかる。という感じで、つくづくこのクルマは、VWとしては珍しいクルマづくりをやっていると思えるのだ。
ただし、このクルマにとって大事なのは、ハードウェアよりもソフトウェアなのだと思う。だからこそ、こうした個性の強い仕様のモデルが追加されると、今でも新鮮に感じられるのだと思う
よりリーズナブルに味わうマスタングの味
走りにおいて、クーペとの差が小さかったことに感心したが、現代の水準からするとちょっと大きめの風の巻き込みなども、よりオープンカーを味わえる側面のひとつでもある。
アメリカでは普通のクルマでも、日本でマスタングに乗るのは、いろいろな点で覚悟が必要となる。大柄なボディに左ハンドル、さらには、V6とはいえエンジン排気量が4Lあるので、税金のことも気になる。
現行マスタングは、価格帯もかなり上昇し、プレミアムクーペとしてのキャラクターが色濃く感じられるようになった。往年のファンに対してもそうだが、1台のクーペとしても、実に「華」のある存在である。そうした、ちょっとプレミアムな存在でありつつも、身近な存在であるのもマスタングである。その「身近」な部分をアピールすべく追加されたのが、今回のV6モデルである。実車に触れて、アメリカン=V8に拘らなければ、こちらでも十分満足できるのではないかと思えた。
V8とV6の価格差や維持費を、大きいと思うか小さいと思うかは人それぞれだろうが、V6のコンバーチブルが追加されたことで、より間口が広がったことを歓迎したいと思う。
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