クライスラー 300 試乗レポート/渡辺陽一郎(2/2)

クライスラー 300 試乗レポート/渡辺陽一郎
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クライスラー初のZF製8速ATを装備

クライスラー300

フロントシートはサイズが十分に確保され、座り心地は日本車のLサイズセダンよりも少し硬めの印象だ。ゆったりしていて高級車らしい。室内幅があるためか、ドアとの間隔は十分に確保され、運転操作にもゆとりを感じる。

リアシートはホイールベースが3050mmと長く、足元の空間は広い。頭上はさほど広くないが、天井が乗員の頭部よりも後方まで長く伸びているから、圧迫感は伴わない。Lサイズのセダンらしい居住性に仕上げた。

エンジンはV型6気筒の3.6リッターで、最高出力は286馬力(6350回転)、最大トルクは34.7kg-m(4650回転)になる。排気量を考えれば動力性能は平均的。車両重量は試乗車が前述のように300Cラグジュアリーだから1900kgに達する。広いガラス面積を備えたパノラミックサンルーフなども装着され、300リミテッドよりも20kg重い。

クライスラー300
クライスラー300クライスラー300

けっこうな重量級ボディだが、力不足は感じない。それはクライスラーとして初採用になる、ZF製の8速ATによるところが大きいだろう。ギヤ比の割り方が細かく、動力性能を有効に活用できる。

エンジンの回り方も活発。4200回転付近から車速の上昇感覚が強まり、スポーティーな走りも味わえる。アメリカ車のV型6気筒らしい、低回転域のドロドロとしたルーズな感覚は希薄だが、日本車やドイツ車に慣れたユーザーには運転がしやすい。

乗り心地は、装着されていたタイヤが20インチ(245/45ZR20)とあって、少し硬めの印象だ。ただし従来型に比べて粗さが薄れ、重厚感が増している。

また、1900kgのボディを不満なく曲げられることも、20インチタイヤのメリットだろう。路面からの情報伝達は明確とはいえず、操舵に対する正確性もさほど高くないが、コーナーでは意外に良く踏ん張る印象を受けた。

往年のアメ車の味わいを残しつつ充実した安全装備を備える

クライスラー300クライスラー300

ボディサイズは、さすがに日本の街中では大きい。Lサイズのセダンだから、囲まれ感を重視してウインドーの下端も高めだ。側方や後方の視界は良くない。最小回転半径は5.8m。後輪駆動車ながら少し大回りになり、取りまわしには気を使う。

もっとも、このクルマはクライスラー300。運転のしやすさを特徴としていたフォルクスワーゲンゴルフなどが、モデルチェンジの度に肥大化したのとはワケが違う。不満を感じるところではないだろう。

安全装備の充実にも注目したい。横滑り防止装置やサイド/カーテン/ニーエアバッグに加え、死角に入る斜め後方の車両の存在を知らせるブラインドスポットモニター、前面衝突の危険を知らせる機能も備わる。レーダーを使っているので、車間距離を自動的に調節するクルーズコントロールも採用した。

クライスラー300クライスラー300

往年のアメ車の味わいを残しつつ、今日のクルマとして熟成を図ったのがクライスラー300といえそうだ。生粋のアメ車好きにしてみれば、欧州車風の運転感覚が微妙だと思うが、スタイルに魅力を感じているユーザーにはちょうど良いバランスではなかろうか。

車両価格も手頃。300Cラグジュアリーは538万円だが、300リミテッドなら同じエンジンを搭載し、基本的な装備は共通化した上で398万円だ。クラウンやフーガの売れ筋グレードよりも安く、メルセデスベンツC180セダンのブルーエフィシェンシーと同程度。日本車から欧州車に代替えして、さて次は? と思った時、検討してみるのも良いと思う。

特にオジサン世代にとっては、昔感じた羨ましさと妬ましさの気持ちに、ようやく終止符を打てそう。個人的にはちょっと欲しくなった。自分で手に入れたクライスラー300で横浜に出かけてみたい。あの頃のフェンスの向こう側は、ショッピングセンターと住宅地に変わっているけれど…。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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