ベントレー コンチネンタルスーパースポーツ 試乗レポート(2/2)
- 筆者: 金子 浩久
6リッターW12気筒エンジンが発する怒濤の加速
コンチネンタルスーパースポーツには、もうひとつ“初モノ”がある。2シーターだ。
ベントレーは4人と4人分の荷物を積んで、長距離を高速で走るためのグランドツーリングカー(GT)であるという自負が強いので、戦前のルマンカーでさえも4シーターだった。
そんな原則を外してまでリアシートを取り外したのは、軽量化のためだ。後席を取り払り、第2世代のカーボンセラミックブレーキを標準装着したり、各部に軽量化パーツを使ったりした結果、110kg軽くなった。
それによる最高速度は329km/h、0-100km/h加速は3.9秒。この加速がいかに速いかといえば、4ドアGTのポルシェ パナメーラ・ターボよりも0.3秒速く、911ターボよりも0.2秒遅いだけなのだ。
他のコンチネンタルシリーズ各車は、前後輪へのトルク配分を50対50で行っているが、スーパースポーツは後輪に重点を置いた40対60だ。
リアトレッドを50ミリ拡大し、サスペンションやステアリングなどにも専用のチューンを施してある。シートのクッション材や電動調整機構が省かれてGTと較べて21kgも軽いシートは、見た目はスパルタンだ。レーシングカーのバケットシートように、左右のサポート部分が大きく盛り上がっている。
コースイン。アウトラップは慎重に様子見だ。一周回って、ストレートに入ったところで、スロットルを全開にしてみた。野太い排気音とともに怒濤の加速が始まった。ストレートエンドで、軽く160km/h。そこから、フルブレーキング。カーボンセラミックブレーキの威力は絶大で、透明な巨大クッションにぶつかったかのように減速していく。
2速まで落ちたところから、連続する登りの右コーナーを駆け上がっていく。下りの短いストレートを下り、複合コーナーで難しい右のコの字形コーナーへ進入するが、バケットシートがしっかりと身体を支えてくれるので、とても助かる。
フォレストレースウェイはコース幅が広く走りやすいのだが、スーパースポーツには、まだいくらでも加速していく余地がある。
参考のためにコンバーチブルのGTCにもコースで試乗してみたが、スーパースポーツは二回りぐらい小さなクルマに乗っている感じがした。走りっ振りの身のこなしが、実に機敏で反応が速い。
試乗を終えてパドックに戻って来たら、4輪のブレーキパッドからモウモウと煙が上がっていた。そこまでブレーキを酷使したのにもかかわらず、ストッピングパワーもフィーリングもまったく変化がなかったのには驚かされた。加速もスゴいが、減速のスゴさはそれ以上だった。
コンチネンタルGTの筋肉と心肺機能を増強し、徹底したダイエットを行ったスーパーアスリートがコンチネンタルスーパースポーツだった。
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