名門アルファロメオが「ジュリア」で独プレミアム御三家へ挑戦状!試乗で見えたその自信(4/5)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:FCAジャパン
クワドリフォリオはMTよりも8ATが楽しい!
本国左ハンドル仕様にはゲトラグ製6MT仕様も用意されていた。高額車両ということで限定台数の輸入にかすかな期待もあるが、ちょっと味見をした限りでは、それほど楽しい3ペダルではなかったように思う。
手足を駆使して500馬力オーバーのFRを操るという醍醐味はもちろんあったが、クワドリフォリオ用のマニュアルトランスミッションはいかにもビッグパワー対応の大味なフィールで、“何が何でも欲しい!”と思わせるようなレベルではなかった。
終盤にトリッキーなタイトベントの続くバロッコのテストコースでは、ZF製8ATの方がダンゼンに楽しめた。新たに“レース”を加えたドライブモード“DNA”をそのレースまたはダイナミックにセットし、フェラーリも顔負けの大きなアルミニウム製パドルシフトを弾くように扱って変速すれば、大パワー&トルクのおかげで、デュアルクラッチDCTと遜色のない加減速をみせる。
ビッグパワーでハンドリングコンシャスなFRスポーツセダンだから、ステアリング操作に専念できるメリットの方が、手足を駆使して操る歓びよりも、大きく上回っていた。
車体の軽さと強さが効いているからだろう。加速フィールは豪快かつ、“打てば響く”レスポンスの良さが痛快だ。それでいて、姿勢はすさまじく安定している。
優秀なクワドリフォリオ専用の電子制御司令塔
エンジンサウンドは4Cのそれをさらにラウドにしたもので、フェラーリやマセラティとは全く異なる。アメリカ人好みかも知れない。
手応えよくスパッスパッと切れ込みながら路面に食い込む前アシと、スタビリティ満点の後アシが、アルミニウムボディという一本のスジでもって乱れなく連携している様に、下手の横好きドライバーであっても、自信がみなぎってくる。
タイトベントでのトルクベクタリングの働きには違和感すら覚えない。シャシー・ドメイン・コントロールと呼ばれるクワドリフォリオ専用の電子制御司令塔が優秀だからだろう。
レースモードを使うと、タイトベントでいとも簡単にリアがブレークしてしまう。もっとも、今まさに滑り始めるという瞬間を、これほど分かり易く乗り手に察知させてくれるクルマも最近では珍しい。
前アシの反応は鋭く確かなわけだから、いとも簡単に修正できてしまう。ドリフトを楽しむほどの腕はないけれども、派手なテールスライドだけは、飽きもせず何度も楽しんでしまった。
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