名門アルファロメオが「ジュリア」で独プレミアム御三家へ挑戦状!試乗で見えたその自信(3/5)
- 筆者: 西川 淳
- カメラマン:FCAジャパン
ディーゼルエンジンはターボらしい迫力・スリルが…
200ps&330Nmという2リッターガソリンエンジンのパフォーマンスは、軽く丈夫な車体に見合って十二分といえるもの。
フィールも洗練されていて、静かなうえ、ZF製8速トルコンATとの相性も悪くない。もっとも、過去のツインスパークエンジンのような“アルファロメオらしさ”を期待すると、あまりにキレイに回り過ぎて拍子抜けしてしまうかも。
だったら、180ps&450Nmの2.2リッターディーゼルターボならどうか。トルクフルな走りを期待したが、これがまた拍子抜けしてしまった。450Nmをドッカーンと感じるような力強さがない。
否、実際には、とてもパワフルで加速も鋭く知らぬ間に高い速度に達していたのだが、そのプロセスにおいてディーゼルターボらしい迫力、というかスリルがなかった。
無い物ねだりなのかも知れないが、クルマとしての完成度があまりに高いがゆえ、面白みに欠けるとでも言おうか。しかもエンジンそのものに官能フィールは皆無で、回転も上がらず、さらに低回転域では、いかにもディーゼルっぽいフロア振動がある。
このあたり、個体差もあったようだが、いずれにせよ、日本上陸までにさらなるチューニングを期待したいところだ。
反面、高速道路での安定感はこの上なしだ。Cクラスに優るとも劣らない。特にディーゼルはすばらしい。低い回転で淡々と高速クルーズをこなす。エンジン選びの定石通り、遠出の多いドライバーにはディーゼルエンジンを、そうでない人にはガソリンエンジンを勧めたい。
ちなみに、右ハンドル仕様には、英国向けも含めて、今のところ3ペダル6MTの設定がない(左ハンドルには全てのグレードに用意されている)。ということは、特殊なブランドや高額モデルを除き、左ハンドル車の新規導入が厳しくなってきた今、日本に正規輸入されるのは6ATのみとなる公算が高い。
それもまた、ブランドイメージの目指す変化のひとつ、ということなのかも知れない。
フェラーリ工場内エンジンファクトリーで量産されるV6エンジン
0→100km/h加速3.9秒、ニュル北ラップ7分39秒。現時点で世界クラストップ、どころか、リアルスポーツを脅かすほどのパフォーマンスを叩き出すトップグレード、クワドリフォリオ。
その源泉のひとつが、510馬力のV6ツインターボエンジンだ。発表時にフェラーリのエンジニアリングによるもの、とされていたが、実はこれ、ほとんどピュアにマラネロ製エンジンと言っていいシロモノ。
つまり、フェラーリがその設計に深くコミットし、マラネロにあるフェラーリ工場内エンジンファクトリーで量産されるV6エンジンなのだった。
マセラティ用60度V型とはまるで異なる、90度V6ツインターボとした。一気筒あたりの排気量は481ccで、これはカリフォルニアT用90度3.9リッター直噴V8ツインターボのボア×ストロークとまったく同じであることを意味し、当然ながら、排気量もカリフォルニアT用V8エンジンの正確に3/4となる2.9リッターとなっている。
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