アバルト 695 トリブート フェラーリ 試乗レポート/九島辰也(3/4)
- 筆者: 九島 辰也
- カメラマン:オートックワン編集部
“トリビュート”の如く、目に見えないところまでチューニング
トリブートはイタリア語で、英語のトリビュートの同意語となる。意味は賞賛や尊敬といったところ。F1で活躍するフェラーリに対するアバルトの心情ともとれるだろう。なので、エンジンパフォーマンスだけでなくハンドリングもまたアグレッシブ。
ショートホイールベースのボディはタイトコーナーでおもしろいようにクルリとまわる。ワインディングが楽しくなるのはご想像のとおり。軽量化されたボディと、この軽快なハンドリングは流石、としか言いようがない。
さらにいえば、コクピットのデザインがそうした走り以上にレーシーな世界観を盛り上げる。フェラーリが採用しているイェーガー製のメーターや、トリコロールのアクセントが付くレザーステアリング、それとカーボンシェルにレザーを貼ったバケットシートが、まんまフェラーリを思い浮かばせる。
従来比10kg減のこのシートはかなり高価なものに違いない。ダッシュのカーボンパネルも実にいいアクセントとして貼られる。また、走り出して感動するのはエグゾーストから響き渡る排気サウンド。レコード・モンツァと呼ばれる排気システムが3000回転あたりから乾いた高音を発するのだ。
V8フェラーリのあの官能的なサウンドとまではいかないが、なかなかいい仕上がりである。 目に見えないところまでチューニングしているのがこのクルマの醍醐味かもしれない。
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