JPN TAXIだけにあらず! タクシーキャブ「日産 NV200タクシー」をお忘れではありませんか!?【はたらくクルマ】(2/2)

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スロープ付きのNV200タクシーがユーザーやドライバーから支持される理由

ユニバーサルデザインの名に偽りなし! 車いすの乗り降りがラクラク

NV200タクシーの特徴が最大限に出ているのは、今回試乗出来た“NV200タクシー ユニバーサルデザイン”でしょう。とにかくかかわる人すべての人に優しい、そんなタクシーキャブだと言えるのです。

まずスロープ付きであることで、車いす利用者の乗り降りがラク。もともと地面からの高さ525ミリという低床とあいまって、手動2段格納式のスライドスロープも緩やかな傾斜で乗り込むことができます。女性や年配者でも安心して乗降のサポートが出来るよう、スロープには車いす後退防止のベルトも装備し、万が一スロープの途中で手が離れたとしても、車椅子が下がったりしません。シンプルな機能ながら、安全対策はしっかり充実しています。

中に乗り込んだ際の車いす乗員の着座姿勢にもこだわりがありました。床面を傾斜させ、車いすを少し前方を上向きにすることで、走行中の旋回や制動でも乗員の姿勢を安定させることができるようになっているのです。

せっかくなので、車いすに乗ったままNV200タクシー ユニバーサルデザインの後部に乗り込み、テストコースを回ってもらいましたが、なるほどフラットで、乗り心地が良いことには正直驚きました。

福祉車両ではなく通常のタクシー仕様、しかも小型枠なのが高ポイント

このNV200タクシー ユニバーサルデザイン、福祉車両としてではなく「普通のタクシー」でこういう装備が選べるという点で歓迎されるケースもあるそうです。

福祉タクシーは、料金負担が通常のタクシーより高くなります。しかしこうして普通のタクシー車両で車いすのまま利用できるクルマがあると、かなりリピーターになってくれるのだそうです。

また、首都圏ではその区分はあまりなくなりましたが、地方では小型と中型というタクシーの料金区分が存在していて、NV200は広い室内を持ちながらも「小型」の区分になります。中型に比べ料金はお得ということもあり、ユーザーフレンドリーな車両としても評価されているのです。

ちなみに車いすを使わないユーザーでも、観光地や空港などで大きなトランクやスーツケースを抱えた利用者が乗車する際、後部のスロープが重い荷物の積み下ろしに役立つのだとか。実は旅慣れた人たちの中にもファンが多いのだそうです。

ドライバーに高評価な理由は、ライバルのJPN TAXIにはない“使い勝手の良さ”にあり

利用者ばかりでなく、NV200タクシー ユニバーサルデザインはドライバーにも好評で、なかでもスロープの使い勝手は高評価です。

全長の短いJPN TAXIの場合、後席の座面下に折り畳みスロープが収まっています。これを出して組み立てて、後席左側のスライドドアにスロープを設置するまでの工程は、慣れたドライバーでも数分間かかります。歩道側のスペースが足らなかったり段差があったりすると、そもそもスロープを出せないケースもあります。

その点、NV200タクシー ユニバーサルデザインは実にシンプルです。後部ゲートを開けると2段式のスロープが畳んであって、出し入れも実に簡単。乗降もスムーズです。路上に車両を停めて、乗降を済ませたらただちに発車したいドライバーたちから、NV200タクシー ユニバーサルデザインが歓迎されるのも良く理解出来ます。

使用年数の長い傾向が強い地方都市では、依然セダン型の古いタクシー車両も数多く走り続けています。そんな中でも、地域によってはすでに25%ほどがNV200タクシーになっているケースもあるなど、地方に強いNV200タクシーの特性が見えてきます。

特殊なタクシーではなく、みんなに優しいみんなのタクシー。そんなイメージが定着している地域も少なくないのです。

NV200タクシーにも、一刻も早く “e-Power”を導入して欲しい!

とはいえ、まだまだ改善して欲しい点もあります。なにせライバルのJPN TAXIには、スマートフォン充電用のUSBジャックや後席のシートヒーターもあったり、車内も静かだしと、乗客目線で見れば、かゆいところに手が届くクルマです。設計も新しく、価格もかなり高価である点を考えれば当然ということもできるかもしれませんが、日産ができることもまだまだあるのではないか、そう感じたのは事実です。

例えばスマホ充電用USBは、セレナには各席用の設定があったりします。そういうものをもっと積極的に採用してくれれば、採用するタクシー会社さんは増えるのではないかと思わずにはいられません。

また、日産ご自慢のe-POWER(ハイブリッド)追加にも期待してしまいます。実際、既にセレナe-POWERをタクシー車両として使用しているケースもあります。しかしセレナの場合はボディサイズ(特に全長)も大きくなり、NV200タクシーほどの使い勝手とはいきません。

実は今回、セレナe-POWERのスロープタイプにも試乗したのですが、やはりその滑らかな走行フィーリングが格別だったのも事実です。早朝や深夜の住宅街での静粛性は、ユーザーからも歓迎されることでしょう。身近にそんな素晴らしい技術があるならば、タクシーキャブにも是非!と思わずにはいられません。

観光立国としてタクシーが果たす役割は大きい…更なる改善を期待したい!

今年2019年はラグビーワールドカップ、来年2020年はオリンピック・パラリンピックがあります。そして我が国の今後の活路として、海外から訪れる旅行者たちをさらに増やそうともしています。

そんな人を世界から迎える「一番最初のジャパン」のひとつがタクシーです。日本人やるな! 日本のタクシー面白い! すごい! そんな風に「日本の良さを満喫してもらうためのツール」として、日本のタクシー車両が果たす役割は実に大きなものがあります。それだけに、かゆいところへ手が届くサービスには、ライバル車以上にもっと力を入れて欲しいところです。これぞまさに“お・も・て・な・し”なのですから(書いていて恥ずかしい…)。

いずれにせよ、日産にはここで留まって欲しくはありません。NV200タクシーの次なる一手も、大いに期待したいところです。

[筆者:中込 健太郎/撮影:MOTA編集部・日産自動車]

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中込 健太郎
筆者中込 健太郎

自動車ライター。1977年生まれ。神奈川県出身。武蔵工業大学(現東京都市大学)工学部電気電子工学科・水素エネルギー研究センターを卒業。自動車産業向け産業機械メーカーを経て、大手自動車買取販売会社で店舗業務からWEB広告、集客、マーケティングなどに携わる。現場経験に基づくクルマ選びや中古車業界の事情に明るいことから、ユーザーはもとより、自動車販売の現場からの信頼も厚い。幼少期からクルマをはじめとした乗り物好きが高じ、車種を紹介するコンテンツなども手掛ける一方、「そのクルマで何をするか」をモットーに全国をクルマで旅行し、食べ歩き、温泉巡り、車中泊といったカーライフに関する執筆も多数手がける。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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