ボルボ 新型XC60 T6 AWD R-Design & D4 AWD R-Design 試乗|世界中でイチバン売れている理由を探る(3/3)

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T6とD4の価格差は悩ましい45万円

さらにこの洗練には、どうやらモデルイヤーとしての洗練も若干含まれいるようだ。

というのも私は、MY18モデルのR-DESIGNには試乗できていない。発売当初あまりにXC60が人気だったため、そのチャンスが回ってこなかったのだが、ボルボ・カー・ジャパンのスタッフから伝え聞くところでは、乗り味も若干洗練を帯びているというのである。

MY18とMY19でバネ/ダンパー系の変更はない。しかし前述したブッシュや各部の調整が細かく施され、改良が施されたのかもしれない。欧州車ではイヤーモデルでこうした地道な改良を施すことは決して珍しくない。

こうしたシャシー特性に対し、T6の動力性能はマッチング抜群にいい。

400Nmの最大トルクを8速ギアで巧みに維持し続ける走りは素晴らしくトルキー。そしてそのままアクセルを踏み込み続ければ、320psのパワーを発揮する5700rpmまでガソリンエンジン特有の伸びやかさでエンジンが回り続ける。

そのスカッとキレ味のある動力性能に対して、ハンドルから手を離さず素早い変速が可能となるパドルシフトの設定もありがたい。キックバックに頼らずミドル級ボディを快適に加速できるし、エンジンブレーキを自在に引き出してスピードコントロールすることが可能となるからだ。

21インチタイヤはXC60が持つ鋭いコーナリング性能を上乗せするというよりは、ロードホールディング性を高めるのに一役買っていた。結果として操作に対する反応が忠実になり、ボルボはここに上質なスポーティさを表現しているのだと理解した。

対してD4には19インチタイヤが装着されており、ディーゼルユニットの堅実な走りと、そのゆったりさ加減が際立った。235幅のトレッドは太すぎず細すぎず、55扁平のエアボリュームも柔和な乗り味とシッカリ感を絶妙にバランス。そしてガソリンモデル以上にその乗り心地が、平和に保たれている。

今回は上り坂が急な箱根ターンパイクでの試乗だったから、190psのパワーはT6に比べて確かに迫力不足だ。しかしそのトルクはT6と同じ400Nmを発揮し、8速ATのギアリングも全く同じだから、ゼロ発進からの出足や瞬発的な加速力は十分以上の実用性があって頼もしい。そして平坦な高速道路であれば、余裕をもってロングツアラーの役目を果たしてくれると予想できた。

ステアリングレスポンスは終始穏やかだがインフォメーションは濃密。旋回中のブレーキングに対してもスタビリティに破綻がなく、穏やかに減速してくれる部分には、ボルボらしい高い安全性を感じることができる。

よってRデザインを名乗るには少々大人しすぎる気もするが、D4 AWDベースのR-DESIGNは、もっともボルボのイメージに近いモデルと言える気がした。

ちなみにT6とD4の価格差は45万円しかない。絶対的な価格として679万円と724万円の差は大きいが、どちらにするべきかは非常に悩ましい。

日本にはD5の設定がないから、ディーゼル派ならその差額を使って、D4にポールスターのECUチューニングができたりしたら面白いのだけれど。

[Text:山田 弘樹/Photo:小林 岳夫]

ボルボ XC60 AWD R-Design 主要スペック
T6 AWD R-DesignD4 AWD R-Design

メーカー希望小売価格(消費税込)

724万円

679万円

JC08モード燃費

11.5km/L

16.1km/L

全長

4690mm

全幅

1915mm

1900mm

全高

1660mm

ホイールベース

2865mm

乗車定員

5名

車両重量(車重)

1890kg

1880kg

エンジン種類

直列4気筒DOHC インタークーラー付ターボ

駆動方式

AWD

排気量

1968cc

エンジン最高出力

235kW(320PS)/5700rpm

140kW(190PS)/4250rpm

エンジン最大トルク

400N・m(40.8kg・m)/2200~5400rpm

400N・m(40.8kg・m)/1750~2500rpm

トランスミッション

8速AT

燃料

無鉛プレミアムガソリン

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山田 弘樹
筆者山田 弘樹

自動車雑誌編集者としてキャリアをスタート。輸入車雑誌 副編集長、アルファ・ロメオ専門誌編集長等を経て、フリーランスのモータージャーナリストに。レース参戦なども積極的に行い、走りに対する評価に定評がある。AJAJ会員。カーオブザイヤー選考委員。記事一覧を見る

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