ボルボ 新型XC60 試乗レポート|すべてはヒトの在り方を中心に(1/2)

ボルボの素性の良さを巡るあれやこれ

2017年の10月ぐらいから、約2か月の間に中国、米国、ドイツで様々なクルマに試乗することになった。海外試乗会など、モータージャーナリストとして、時にはレーサーとしてインストラクターとして日本だけではなく、海外の路、サーキットを走ることがある。そして、世界各国、どこの国に行ってもSUV人気がスゴイ!ということを痛感する。

もともと米国では、奥様の子供たち送り迎え用グルマとしてSUVがもてはやされた。米国では地域によっては治安の悪いエリアがあり、安全なクルマということで車高が高く頑丈そうなSUVが以前から人気だったのだ。20年ほど前、米国のある自動車会社の試乗会に呼ばれたとき、我が社の大型SUVなら襲われにくく事故に遭っても死亡率が低いのです。という説明を受け、米国ならではのダイレクトなメッセージに驚いたものだった。

その昔から、ボルボの頑強さは誰もが認めるものだった。北欧で採掘される良質な鉄鉱石が、頑強なボディと粘り強いエンジンを造るのに適していた、ともいわれている。

鉄鉱石の良し悪しはニッケル含有率で決まるのだそうだ。スウェーデンにはキルナという鉱山があり、北極圏にあるので冬はバルト海も凍るが、ノルウェーの不凍港を経由すれば欧州への輸出にも適していたのだ。

以前、国内自動車メーカーのエンジニアが材料の鉄が違うのですよ、だから欧州メーカーのエンジンは良い・・・と言っていたことを思い出す。そのルーツはスウェーデンにあったわけなのだ。

日本では、玉ハガネという鉄が名刀(日本刀)の原料だった。これは主に砂鉄から採取されたという。余談だが、ドジョウすくいの安来節(やすきぶし)は島根県で採取される、良質な安来鋼の原料でもある砂鉄をすくう仕草なのだそうだ。

ボルボ車に乗るとき、ボクはこんなことが頭の中をよぎる。何よりも「北欧のクルマは素性が良い」というのがイメージの根底に流れている。

>>デザインも、走りも、安全も・・・すべてはヒトの在り方を中心に見据えた”XC60”[Photoギャラリー(画像120枚超)]

新型XC60の第一印象は“とにかくお洒落なクルマ”

XC60は世界で最も売れているボルボ車だ。

初めて新しいXC60に試乗したのは長野県の蓼科高原での試乗会。蓼科といえば大手企業の保養地や別荘地としても知られたリゾートだ。試乗会場も、そんなちょっとセレブな雰囲気の場所。そこに置かれた真っ白な新型XC60は、とにかくお洒落なクルマとしてボクの目に映った。先にデビューした兄貴分の新型XC90よりも躍動感のあるエクステリアに見える。

彫刻刀で削り取ったような前後ドア下面のキャラクターラインが、北欧調の安らぐようなシルエットの中にアクティブなイメージを与える。特にフロントのオーバーハングが詰められて、ホイールベースが長くなったことで地に吸い付くような印象だ。フロントグリルにも立体感が与えられ、TシェイプのLEDデイタイムライトとのコラボで新しさを感じさせる。

そしてリアビューは一見してボルボと分かる縦長のデザイン。ここにもモダンな中に新しさを感じさせるデザインが盛り込まれている。

ボルボのインテリア、もともとボクは大好きで、ボルボ車に乗ると他のどこのメーカーにもない落ち着いた気分になる。

Innovator(イノベーター)というスウェーデンの家具メーカーがあるけれども、夏は涼しさを感じさせ、日照時間の短い北欧の冬にも明るさと暖かさを与えてくれるデザインテイスト。どこか共通する安らぎがボルボのインテリアにはある。そんな安らぎは、新型XC60においてもこれまで通り。

でも、大きなノートパッドのディスプレイがセンターに構え、メーターを含めたデザインが明らかにアダルトで都会的に進化していた。このタッチディスプレー、手袋をしたままでも操作が可能だ。北欧の寒い冬を考えれば当たり前の機能、納得する。

“走ることが楽しい”と感じさせる軽快なハンドリング

蓼科での新型XC60試乗会では、山岳地ゆえにアップダウンにコーナーが多く、おまけに冬季凍結のため路面もそれほど良くない。クルマの評価にはうってつけのシチュエーション。そこで新型XC60は素晴らしいハンドリングを見せた。コーナリングでのフットワークが軽く、運動性能が格段に上がっていた。走ることが楽しい。

クルマそのものと操作系の遊びが大きく詰められ、といってもドイツ車のようにいかにもマシン! というような、どこか人を駆り立てるようなアグレッシブさではなく、好きな音楽でも聴きながらたのしくスポーツできる感じなのだ。言い換えれば、ブルートゥースイヤホンを着けてジョギングしているときのような、自分の技量の範囲内で楽しくコーナリングを楽しめるのだ。

>>デビューから数か月、改めてじっくりとXC60と向き合ってみる[次ページ]

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松田 秀士
筆者松田 秀士

1954年高知県生まれ。僧侶の資格を持ち、サラリーマン、芸能人の付き人を経て、28歳でレースデビュー。92年には、デイトナ24時間&ル・マン24時間レースに出場。94年、インディ500マイルレースに日本人2人目のドライバーとして初参戦。2年目の95年には完走を果たし、翌年、当時日本人最高位完走という成績を残した。同じ頃から東京中日スポーツ新聞等で自動車評論活動を開始。現在も執筆活動の傍ら、レーシングドライバーとしても活躍中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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