ボルボ 新型XC60 試乗レポート|すべてはヒトの在り方を中心に(2/2)

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デビューから数か月、改めてじっくりとXC60と向き合ってみる

あれから数か月ほどが経ち、改めてじっくりと新型 ボルボ XC60に乗ってみた。

試乗会という短い時間では、やってみたいことなどてんこ盛りなのに、それができない。だからボクは印象に残ったクルマは必ず後日、こうやってじっくりと乗る。1週間なんてのはざらで、搭載エンジンなどのグレードを換えて連続で乗ることもある。今回はまさにそのような感じで、T8 Twin Engine AWDから、T5 AWDと乗り継いでみた。やはりクルマは自分の傍に置いて、夜も含めて試乗しなくてはわからないことがたくさんある。

T8に試乗して感じたのは、試乗車に備わる”Bowers&Wilkins プレミアムサウンド・オーディオシステム”の良さだ。これはT8に限ったことではなく、他のXC60にも共通しているのだろうが、iPhoneを接続してApple CarPlayで聴く音楽が素晴らしい音質なのだ。しかもT8はPHVなので電動モーター走行時や停まっているときなど静かだから、好きな音楽をより良い環境で聴ける。ボクは、クルマはマイオーディオルームとも考えているので、XC60の音響クオリティがとても好きになっていた。

ただし、アクセルを大きく踏み込めばターボ+スーパーチャージャーさらには電動モーターを含めたパワーが一気に炸裂して、ものすごい加速力。AWDゆえにすべてのパワーを余すところなく路面に伝える。ホイールスピンが最小限だから強烈な加速Gを教えてくれるのだ。

この点、2018年春にはPHVの部分を取り去ったT6 AWDとディーゼルのD4の納車が開始する予定。これもかなり楽しみなのだ。スーパーチャージャーを取り去ったターボのみのパワートレインを搭載するのがT5だが、こちらでも十分な動力性能があり、逆に軽量なのでフットワークはなかなかのもの。XC60はモデルレンジが長く、新型で2世代目となるのだが、このハンドリングの進化には感動する。

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先進運転支援システムが我々にもたらしてくれる安心・安全なドライブシーン

さて、最近、どのクルマに試乗してもまず最初に確認するのが安全装備。その中でも特に先進運転支援システムの性能には、各自動車メーカーでかなりの差異がある。ボクの重要視する運転支援システムとは、前車との車間を一定に保ちながら自動的に前車の速度に合わせて追従するACC(アダプティブクルーズコントロール)と、車線をカメラで読み取り車線内の中央を維持するようにドライバーのステアリング操作をアクティブに補助する機能の2つ。ボルボならそれをパイロット・アシストと呼び、レベル2の半自動運転機能を有する。

ACCは既に多くのクルマに装備されているものが多く、その恩恵にあずかっているドライバーも多いことだろう。ACCをONにして前車に追従することで、速度コントロールから解放されるから、遠出時などでの高速走行で疲れが軽減される。ボルボのパイロット・アシストはさらにクルマを真っ直ぐ走らせる援助をしてくれるから、これも疲れを軽減できるのだ。

じつは人間は、このように周囲の交通環境に神経をすり減らしながら運転している。人間の脳をコンピューターに例えれば、前車に追従させるアプリケーション、車線の真ん中を真っ直ぐ走らせるアプリケーション等が起動していて、メモリーやCPUなどへの負担が大きい状態。コンピューターもいろいろなアプリを同時に立ち上げると処理が遅くなるのと同じなのだ。だからACCとパイロット・アシストがあれば、脳の疲れを軽減でき、同時にCPUの動作が速くなるのでアクシデントに早く反応できるようになり、安全性が高まる。

ちなみに、クルマ任せだと眠くなるという人がいるが、ならばXC60で好きな音楽を聴きなさい、と言いたい。それでも眠くなる人は、相当疲労が蓄積しているので、クルマを運転してはいけない。

デザインも、走りも、安全も・・・すべてはヒトの在り方を中心に見据えるのが北欧流

ボルボは2009年、日本で最初に完全停止する自動ブレーキを導入した自動車メーカーだ。日本メーカー(スバル)が翌年である。以来、自動運転を見据えた技術進化を見せ、2020年までにボルボ車による事故死者・重傷者をゼロにするという目標を掲げている。

今回の新型XC60 T8&T5のプチ長期試乗中、ほとんどのシーンでパイロット・アシストをONにして走った。多少のコーナリングまでパイロット・アシストがステアリング操作を援助してくれるなど、その性能は最初に自動ブレーキを導入したメーカーらしくシュアなもの。まだまだ、これからも進化してゆくだろう。

ボディの強度で安全性を謳った時代から、現代は安全デバイスで安全を担保する時代へと移り変わりつつある。いまこの時代になって、北欧という特殊な環境で育ったボルボが注目されるのは、人の在り方を中心に、内外デザインも性能機能も開発してゆく姿勢にあるのではないだろうか。今回の試乗を終え、強くそのことを感じたのだ。新型XC60の出来栄えに感心しつつ、2018年にも導入される弟分の新型XC40もまた楽しみになってきた。

[レポート:松田 秀士/Photo:小林 岳夫]

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松田 秀士
筆者松田 秀士

1954年高知県生まれ。僧侶の資格を持ち、サラリーマン、芸能人の付き人を経て、28歳でレースデビュー。92年には、デイトナ24時間&ル・マン24時間レースに出場。94年、インディ500マイルレースに日本人2人目のドライバーとして初参戦。2年目の95年には完走を果たし、翌年、当時日本人最高位完走という成績を残した。同じ頃から東京中日スポーツ新聞等で自動車評論活動を開始。現在も執筆活動の傍ら、レーシングドライバーとしても活躍中。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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