ボルボ新型V60試乗|予想を超える出来栄えの大本命ステーションワゴン現る!(1/2)

  • 筆者: 嶋田 智之
  • カメラマン:島村 栄二/ボルボ・カー・ジャパン

新世代ボルボの本命”V60”がいよいよ日本上陸

2015年に登場した2代目XC90以降、完全に新しいジェネレーションへと進んだ感のあるボルボのニュー・モデル達。その展開は、控えめに言っても見事だと思う。例えば同じXCシリーズでもXC90、XC60、XC40のラインナップは、3車を並べてみるとスタイリングが同じ世界観の中でそれぞれ異なる狙いを持ってデザインされてることが判るし、乗り味だって端から見ている以上の違いを持たされてる。

簡単にまとめるとしたら、XC90はエレガントで重厚、XC60は死角のないウェル・バランス、XC40はカジュアルでスポーティといった具合で、価格的なヒエラルキーとは別次元の、それぞれのモデルを積極的に選ぶ理由がしっかり与えられている。そのうえどのモデルも、それぞれのライバル達を上目遣いで見る必要がないほどの出来映えのよさだ。

横串の通し方も巧みで、現在のXC90からスタートした新しい“90”としての明確な価値観が、続くステーションワゴンのV90/V90クロスカントリー、さらにはセダンのS90にも余すところなく注ぎ込まれていて、ちゃんとひとつの調和を見せている。

それらの展開の仕方が僅か数年のうちにスムーズに行われてきたことで、従来はどこかニッチな香りが漂っていたボルボのイメージとはガラリと変わり、ドイツ3強の信者達が気持ちを大きく揺さぶるほどの存在感を放っているのだ。

全世界の販売台数が、新しい世代に入る前の2014年に記録した46万5866台から、昨年の57万1577台へと飛躍的に伸びてるのもあっさり納得できる。もちろん日本においてもボルボ人気が急上昇しているのは、皆さんも御存知のとおりだ。

そしていよいよ、ボルボのステーションワゴンラインナップの本命と見られている新型「V60」が日本に上陸した。ここまでの流れを思えば悪いわけがないという予感が拭えない中での試乗だったが、ちょっと驚いた。新型V60は予想していたよりさらに出来映えのいいステーションワゴンに仕上がっていたのだ。

>>自然の中に溶け込む歴代ボルボも忘れずチェック!

V90とは明確に異なるV60独自の個性とは

新しいボルボ V60は同じ系列のステーションワゴンではあるものの、姉であるV90の縮小版というわけではない。XCシリーズがそうであるように、金太郎飴みたいなクルマ作りをよしとせず、このクルマのプロファイルをジックリ見ていくと、姉であるV90とは明らかに狙いが異なっていることが判ってくる。

その一端は、スタイリングにも表れている。全長4760mm、全幅1850mm、全高1435mmというV90よりそれぞれ175mm、40mm、40mm小さい車体のディメンションの違いもさることながら、V90より垂直方向に寄せられたリア・エンドは荷室の積載性を犠牲にしていない。先代のV60の後席使用時の荷室容量は430リッター、新型は529リッターと、100リッター分に近い広さを稼ぎ出しているのである。

往年のテイストを取り入れ遊び心を持ったエクステリア

その数値はドイツ3強のライバル達を大きく凌駕するものだが、実用性を重んじたステーションワゴンは時おり商用車ライクな雰囲気を醸し出してしまいがち。しかし新型V60は、プレスラインやボディの抑揚を利用して1960年代のボルボのスポーツカー、P1800のサイド・ビューのモチーフをひっそり埋め込むなどの遊び心をもってして退屈さの微塵もないスタイリングを作り上げてる辺り、上手いな、と思わされる。

スタイリング・デザインは良し悪しじゃなく、好き嫌いが優先されるものだと考えてるから、僕は日頃あまりそこを論じることはしない。だが、新型V60のスタイリングは。個人的にステーションワゴンの中で1~2を争うぐらい魅力的だとも思う。今年のジュネーヴショーの会場でひと目見た瞬間から、”今、ステーションワゴンを選ぶならコレだな”と感じてるほどだ。

上級モデルにも見劣りしない上質なインテリア

“コレだな”にはもうひとつ理由がある。インテリアが新世代ボルボ特有のシンプルで上質なものを継承していて、XC90やV90といった上級モデルに対してそれほど見劣りしていないのがいい。

もちろんラグジュアリーという意味合いでは大なり小なり譲っているところはあるけれど、総体的な居心地の良さ、ダッシュボードにiPadをはめ込んだみたいなタッチパネル式インフォティメント・システムを含めた各部の操作のしやすさ、室内を彩る各部の素材の使い分けや色味から来る視覚的・心理的な優しさといった点には、何ひとつとして手抜かりがない。

昨今のボルボのインテリアは、最も乗り手が癒される空間のひとつだと思う。

>>【次ページ】必要にして十分なパワー感と取り回しやすいボディ

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

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