トヨタ 新型ヤリス 試乗|欧州車ツウも大絶賛! 新型はヴィッツから何が変わったのか

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トヨタのコンパクトカー、ヴィッツがフルモデルチェンジした。4代目は欧州同様に「ヤリス」に変更され、プラットフォームやパワートレインなど全て一新。デザインもスポーティなイメージが与えられている。欧州の小型車事情にも詳しいモータージャーナリストの嶋田 智之氏が、1.5リッターガソリンと同ハイブリッドモデルに速攻試乗。ニッポンの新しい小型車ヤリスを厳しい目で徹底評価する!

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目次[開く][閉じる]
  1. 小さいクルマが欲しいなら、ヤリスはおススメできる一台だ
  2. 新型ヤリスの概要を改めてチェック!
  3. トヨタセーフティセンスがほぼ標準装備化
  4. 好みは分かれるが…アグレッシヴでキャラの立った外観デザイン
  5. 前席の居心地を第一に設計されたヤリス
  6. “走る・曲がる・停まる”という基本性能が大幅に進化
  7. 新プラットフォームを得た新型ヤリスの乗り心地は硬質でしっかりした印象
  8. 欧州車も戦々恐々!? 先代ヴィッツから飛躍的な進化を遂げた新型ヤリス

小さいクルマが欲しいなら、ヤリスはおススメできる一台だ

小さなクルマが欲しいのだけど、車種選びに迷っているという人に、間違いなく「買い!」とオススメできる1台は、このトヨタ ヤリスだ。

先代と言えるヴィッツではそうはいかなかったものだが、プラットフォーム、パワートレーン、デザイン、安全面や運転支援のデバイス類……と全面刷新をして日本の街を走り出した新しいヤリス。誰にオススメしても恥をかいたりしない、言葉どおりの“いいクルマ”へと進化していたのだ。

こうした僕達、フツーの人のための小さなクルマは、昔からヨーロッパが上手かった。

彼の地の人達は自分の生活レベルを越えたクルマ選びなどまずしないし、出費に見合うだけのモノがあるかどうかを見定める選定眼もかなり厳しい。そのため自動車メーカーは、圧倒多数を占めるこのクラスのクルマこそ、絶対に手を抜くことができない。乗り味の満足度の高いクルマが生まれて当たり前なのだ。

少し前の日本車では考えにくかったが、この新型ヤリスはそうしたヨーロッパのスタンダードといえるぐらいの領域には易々と達してると言ってもいいだろう。

新型ヤリスの概要を改めてチェック!

ヤリスを絶賛するのは様々なシチュエーションで走らせて実感できたからなのだが、いきなり突っ走る前に、シリーズの概要を軽く振り返っておこう。

骨格には新開発のコンパクトカー向けTNGAプラットフォーム“GA-B”を採用し、車体の捻り剛性を30%以上引き上げている。サスペンションの取り付け剛性など各部の補強も敢行。サスペンションはフロントがマクファーソンストラット、リアがトーションビームと型式こそ変わらないが、もちろん新開発だ。

そこに搭載するパワーユニットは、新開発の自然吸気1.5リッター直列3気筒、その1.5リッター直3にハイブリッド・システムを組み合わせたもの、そして先代ヴィッツに搭載するモノを改良した自然吸気1.0リッター直列3気筒という3種類。

トランスミッションは、1.5リッターがギア機構の付くダイレクトシフトCVTと6速マニュアル、1.0リッターはスーパーCVT、ハイブリッド・モデルは電気式無段変速となる。また、駆動は基本はFFだが、1.5リッターのCVTには4WDが、ハイブリッドにはE-Fourが用意されている。

基本的な部分には新開発、または現在のトヨタが持つ機構の中から出来映えのいいメカニズムを持ってきて開発をしてる感じだ。手間もコストもかかってる、と言っていいだろう。

トヨタセーフティセンスがほぼ標準装備化

新型ヤリスは、先進安全装備についてもなかなか充実している。

対向車や右左折時の横断歩行者にも反応してプリクラッシュ・ブレーキを作動させる機構などを含む最新のトヨタセーフティセンスが、最廉価モデルを除く全てのモデルに標準で備わっている。またトヨタで初の採用となる高度駐車支援システムも用意されてたりもする。車格や価格を考えれば賞賛していいレベルといえるだろう。

3つのグレードと価格を比較してみる

トヨタ ヤリスのグレード展開は、ガソリン1.5リッターとハイブリッドには、最もベーシックな“X”、装備が充実した“G”、最上級モデルの“Z”という3つが設定され、1.0リッターでは“X”と“G”の2本立て。

“X”でも必要と思われる装備類はひととおり揃っていて不自由はないし、ガソリン1.5リッターCVTのFFで159万8000円、ハイブリッドのFFで199万8000円という価格も魅力的だ。ただしスマートエントリーシステムなどが追加されてる“G”の方が快適に使えるのも確か。

“G”の価格は1.5リッターガソリン・CVT・FFで175万6000円、ハイブリッドで213万円。豪華装備の“Z”では、同様に192万6000円と229万5000円。グレード選びは考え方次第、といったところだ。

トヨタ/ヤリス
トヨタ ヤリスカタログを見る
新車価格:
150.1万円269.4万円
中古価格:
102.3万円288.4万円

好みは分かれるが…アグレッシヴでキャラの立った外観デザイン

ヤリスのスタイリング・デザインは、ちょっと好みが分かれるところかも知れない。

旧ヴィッツのイメージをどことなく踏襲している雰囲気はあるが、強めのキャラクターラインと複雑な面構成を持つその姿は、なかなかアグレッシヴ。もっと落ち着きのあるシンプルなカタチを好む人も少なくないだろう。

ただし、ノーズを長く見せるAピラーの角度の付け方と、横から見ると思いのほか傾斜が強いリアセクション。張り出して感じられる前後のフェンダーや、後方に向かって水平に飛び出してるコンビネーションランプ一体型のリアガーニッシュなど、ひと目でヤリスと判るハッキリとした個性が与えられているのは確かで、キャラが立っている。

前席の居心地を第一に設計されたヤリス

ドライビングポジションの自由度が大きく改善

インテリアに目を移すと、ダッシュボードは水平基調の2段構え。運転席に収まってみると、思いのほか落ち着いた雰囲気だ。スイッチ類のレイアウトも機能的で判りやすく、初乗りでもそれほど戸惑わずに操作することができた。

好ましかったのは、ドライビングポジションの自由度が高かったこと。自然と的確な姿勢をキープしながら走ることができたのだ。クルマはドライバーが操縦する乗り物なのだから、これは需要なポイントである。

センターコンソールの形状やグローブボックスの角度もよく考えられていて、助手席の足元も広く、前席にいる限り、窮屈さはほとんど感じない。

それもそのはず、全長は5cmほど短くなっているのに逆にホイールベースは4cmほど長くなっていて、その分はフロントシート周りに充てられてるのだ。シートの座り心地もホールド感も悪くない。

見た目以上に広い空間を確保した後席

後席はどうかといえば、180cm級の人が座っても足元はともかく、頭周りの広さにはさほど不満を感じなかった様子。

さすがに、大人のフル乗車となれば誰もが少しずつ妥協を強いられるのだろうけど、このクラスのクルマの使われ方としては、日頃はひとりかふたりというケースが圧倒的に多いはず。そこはある程度割り切って考えるべきだろう。

“走る・曲がる・停まる”という基本性能が大幅に進化

今回は、メインストリームとなりそうな1.5リッターガソリンと、1.5リッターハイブリッドの2台に試乗することができたが、1日を終えて最も心に残っていたのは、前のヴィッツってこんなにも楽しかったっけ? ここまで気持ちよかったっけ? ということだった。

2つの新型ヤリスは、どちらも“走る・曲がる・停まる”という基本性能が大幅に進化していて、フィールもなかなかのものだったのだ。

ちょっとした軽量スポーツカー並みに良く走る1.5リッターガソリンモデル

1.5リッターの方は、加速も巡航も結構気持ちよくこなしてくれる。

120psに145Nm。吹け上がりは爽快な部類で、ペダル操作に対して遅れずにトルクがついてくるため、じれったさのようなものはない。

それにパワフルとまでは言えないが、低回転域でも力不足は感じないのに、回すほど活発さを増すタイプ。ダイレクトシフトCVTは、エンジン音だけ跳ね上がって速度がついてこないラバーバンド・フィールをほとんど意識させないから、そういう意味でも気分も削がれない。

車体がステアリングの操作に素直についてきてくれるし、そのときの足さばきも思いのほか軽快だから、ワインディングロードに飛び込んでも楽しく走れてしまう。ライトウエイトスポーツカーを走らせてるような気分が味わえるのだ。

1.5リッターハイブリッドは余裕たっぷり!

ハイブリッドの方はといえば、これが軽く驚かされるぐらい出来が良かった。

静止状態からスタートするとき、大抵の場合はモーターだけでの発進となるわけだが、オーディオを少し大きめの音で鳴らしていたりしたら、その後にエンジンが始動しても、ちょっと気づかないほど。そのときの振動がほとんど感じられないのだ。

モーターだけで走っているときも力不足という印象はなかったが、エンジンとモーターが協演をはじめると、さらにモリッと力強さが増す。パワーはエンジンが91psにモーターが80ps、トルクはエンジンが120Nmにモーターが141Nm。

そのコンビネーションが、望んだときに素早くスムーズに、気持ちいい加速を生み出してくれるのだ。そのため、街中ではコンパクトカーとは思えないほど余裕があり、ゆったりと落ち着いている。

ワインディングロードに持ち込んでも、コーナーの立ち上がりでグイッとダッシュを決めてくれるから、結構速い。60kgほど軽い1.5リッターの方が軽やかだけど、逆に腰の据わった安定感のようなものを感じさせながら、綺麗に素直に曲がってくれる。なかなか悪くないのだ。

新プラットフォームを得た新型ヤリスの乗り心地は硬質でしっかりした印象

そして、もうひとつ大切なのは乗り心地。骨格がしっかりしてることもあって、どちらもサスペンションがしっかりと働いている感触がある。

しかし、乗り味の楽しさをも重んじたせいか、どちらかといえば硬めで、路面の凹凸を適度に丸めながら伝えてくる代わりに即座に動きが収まってしまう。その傾向は、1.5リッターの方がやや強く、ハイブリッドの方がもう少ししっとりしてる。

ただ、硬めとはいえそれは決して不快な部類ではなく、普段使いをして気になったり疲れを感じたりするような類ではない。もしかすると、数日前に直接的なライバルとなるホンダの新型フィットに乗っていたからそんなふうに感じたのかも知れない。フィットの乗り味は、全体的にソフトで当たりが優しい印象だったのだ。

気になる好敵手、ホンダの新型フィットと比べてみるとどうなのか

そういえばフィットは、昔の好青年風へと回帰したかのようなシンプルなスタイリングからしても、ヤリスとはおもしろいぐらいに好対照。

同じカテゴリーにいて、同じくらい“いいクルマだなぁ……”と感銘を与えてくれるのに、別々の方向を向いているようなところがある。

小型車で何を選べばいいか迷ってる人は、ヤリスとフィットを乗り較べてみるのがいいのではないだろうか。

欧州車も戦々恐々!? 先代ヴィッツから飛躍的な進化を遂げた新型ヤリス

ともあれ、ヤリスは従来のヴィッツと較べて明らかに、飛躍的な進化を遂げている。

いや、ヴィッツをコケにしてるんじゃない。ヤリスの進化が物凄いのだ。

近頃のトヨタは、個々のモデルが担うべきモノをしっかりと満たしながら走らせて楽しくなれるような、道具としてクルマを使う人にとっても相棒としてクルマとつきあいたい人にとっても“いいクルマ”を立て続けに生み出してきている。

正直なところ、トヨタが本気で技術とコストと魂を込めてこのクルマを開発してきたということは、携わったエンジニアの皆さんとお話しをさせていただいてハッキリと感じることができたけれど、それにしても売価が高いとはいえないこのクラスのクルマの出来映えがここまでよくなるとまでは想像していなかった。

例えば、ハイブリッド。乗り味がよくて、完成度も高くて、メーター内の燃費計では峠道に差し掛かるまでは27km/Lを下回ることがなく、おまけにベースモデルで200万円を切る価格設定だったりもする。これには欧州勢も戦々恐々としてることだろう。

個性豊かな欧州車も好きだけど、こうしたクルマが日本から生まれたことが、ちょっとばかり誇らしい。

[筆者:嶋田 智之/撮影:和田 清志]

トヨタ ヤリス 主要スペック比較表

グレード名

1.5 Z

ハイブリッドG

価格(消費税込み)

193万円

213万円

全長×全幅×全高

3940mm×1695mm×1500mm

3940mm×1695mm×1500mm

ホイールベース

2550mm

2550mm

駆動方式

FF

FF

車両重量

1020kg

1060kg

乗車定員

5名

5名

エンジン種類

直列 3気筒 DOHC

直列 3気筒 DOHC

総排気量

1490cc

1490cc

エンジン最高出力

88kW(120PS)/6600rpm

67kW(91PS)/5500rpm

エンジン最大トルク

145Nm(14.8kg・m)/4800rpm

120Nm(12.2kg・m)/3800rpm

トランスミッション

ギヤ機構付自動無段変速機

電気式無段変速機

使用燃料

レギュラー

無鉛レギュラーガソリン

タイヤサイズ

185/60R15

185/60R15

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嶋田 智之
筆者嶋田 智之

本人いわく「ヤミ鍋系」のエンスー自動車雑誌、『Tipo』の編集長を長く務め、スーパーカー専門誌『ROSSO』の総編集長を担当した後、フリーランスとして独立。2011年からクルマとヒトに照準を絞った「モノ書き兼エディター」として活動中。自動車イベントではトークのゲストとして声が掛かることも多い。世界各国のスポーツカーやヒストリックカー、新旧スーパーカー、世界に数台の歴史的な名車や1000PSオーバーのチューニングカーなどを筆頭に、ステアリングを握ったクルマの種類は業界でもトップクラス。過去の経歴から速いクルマばかりを好むと見られがちだが、その実はステアリングと4つのタイヤさえあるならどんなクルマでも楽しめてしまう自動車博愛主義者でもある。1964年生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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