ガチで欲しくなる!|トヨタ 新型GRヤリス プロトタイプ緊急試乗~驚異的な走りとコントロール性~
- 筆者: 橋本 洋平
- カメラマン:小林岳夫
WRCで得たノウハウを注入し、誰もがモータースポーツを楽しめる性能を担保。しかも手の届く価格で提供しようというGRヤリスが、2019年1月10日~開催される東京オートサロン2020で世界初公開される。そのプロトタイプをスゴ腕ジャーナリストの橋本洋平がテスト。試乗後「本気でほしい」とこぼすほど優れたコントロール性と驚異的な走りをみせたという。果たしてGRヤリスは何がスゴイのか?
車重約1.2トンで270馬力を発揮するモンスターマシン!
詳細なスペックは公開されなかったが、エンジンは3気筒・1.6Lボールベアリングターボで270馬力オーバー、トルクは370N・mほどを実現すると噂されるGRヤリス。このパワートレインは1.6Lターボで世界最軽量を実現している。これにより車重約1200kgに留めたというところもポイントのひとつだ。
素材の見直しで軽量化を実現! 4WDシステムも伊達じゃない
だが、軽さの秘密は決してそれだけが理由じゃない。かつてのヤリスよりも低く収められたルーフの素材はなんとカーボンを採用。ドアとリアハッチ、そしてボンネットはアルミとすることで、軽量化を進めている。
こうした軽量化への追求は4駆システムにも考えが及んでおり、リアデフ内に小型のカップリングシステムを設けた。これにより駆動配分はノーマルモードで60:40、スポーツモードで30:70、トラックモードで50:50を実現する。
ノーマルよりも運転に集中できるコクピット
富士スピードウェイ内にある広大な敷地を誇るモビリタにおいてウエット路面を試すことになったが、まず乗り込んだのは最終プロトタイプだ。擬装ラッピングで覆われたGRヤリスは、目の当たりにするとかなり低重心に感じるほどワイド&ローなエクステリア。ベースのヤリスとは一味違う前後のブリスターフェンダーから、やはり走れるクルマであることが伝わってくる。
乗り込めば紛れもなくヤリスなのだが、センターにプロペラシャフトが備わるせいか、はたまたドライビングのしやすさを狙ったのか、シフトノブとステアリングに高低差があまり感じられない。いかにも"走りそうな"コクピットだ。
クラスを超えた走りは、かなり楽しいゾ
スタンディングスタートから全開加速を試みるが、低速からトルクフルでスタートダッシュはなかなか。これが本当にBセグメントのクルマなのかと疑いたくなるほど。さらにスラロームやコーナーリングでは、ノーズが軽快にインを向き、絶対にフロントタイヤがアウトに逃げない仕上がりがかなりの好感触だ。スタビリティコントロールオフで走れば、テールは見事なまでに追従し、その気になれば簡単に4輪ドリフトが可能に。前後のイナーシャが少なく、思い通りに乗れることに驚いたし、駆動配分を変化させればアクセルで車両姿勢がコントロールできるところにも感心した。これはかなり楽しい!
試作車の走りは、うーん…。最終形はよくぞここまで進化したなというほど!
続いてひとつ前のヤリスのボディにこのプラットフォームを組み合わせた試作車に乗る。屋根が高く軽量化もそれほど行われていないこのクルマは、同じシステムが搭載されているのに自由自在には動かなかったのだ。反応遅れ、そしてノーズの動きが別物。様々な積み重ね、そしてトータルバランスで最終試作に漕ぎ着けたことが伝わってくる。
みんながWRCドライバー? 悪路走破性はホンモノ
後にグラベルでラリー仕様に改造した試作車に乗った。こちらはアクセルオフとブレーキング時にセンターデフをフリーにする制御を盛り込んでいる。おかげで、まさにWRC直結と思える4輪ドリフトがコーナー進入から可能になっていた。イジれば即座に実践で戦闘力を持ちそうなその仕上がりは好感触。かなり興奮できた一台だ。現実的な価格でそんな世界が味わえそうなGRヤリスは、久々に本気で欲しくなるマシンだった。
【筆者:橋本 洋平/撮影:小林 岳夫】
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