トヨタ 新型 ヴィッツ ハイブリッドは、”先輩”アクアに比べどこが勝ってる！？[試乗レポート](4/4)

ヴィッツのガソリンモデル、そして気になるアクアとの比較は！？

ガソリンモデルに対しハイブリッドは、軽快さこそやや削がれるが、上質さは高まる。この違いがヴィッツのグレード選びでも重要になる。

ハイブリッド Uの価格は208万7640円、1.3 Uは179万8200円で、差額は28万9440円。装備の違いを補正すると、実質価格差は約26万円に縮まる。

それでもJC08モード燃費はハイブリッド Uが34.4km/L、1.3 Uも25km/Lと良好だから、実用燃費(JC08モードの85％・ガソリン価格は130円/L)で計算すると、価格差を埋めるのに約16万kmを走らねばならない。モトを取るのが難しく、ユーザーがハイブリッドの走りの質をどのように評価するかで損得勘定が違ってくる。

購入時にはハイブリッドとノーマルエンジンの両方を試乗して「燃費以外のハイブリッドの価値」を判断するのが良いと思う。

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それでは同じハイブリッドのアクアに比べるとどうだろうか。

前述のように後席と荷室の広さがメリットとなる。また乗り心地もアクアに比べ、粗さを抑えた仕上がりとなっていた。つまりアクアはスポーティーさを、ヴィッツハイブリッドは上質感や実用性を重視するユーザーにそれぞれ適する、という答えになる。

カンパニー制が導入され、コンパクトカーの開発スピードも急加速する！？

今回の報道試乗会では「トヨタ・コンパクトカー・カンパニー」の説明も行われた。商品群に応じて7つのカンパニー(トヨタ内部の会社と考えれば良い)を設け、限られた人数による迅速な意思決定と開発が行えるようにするという。「トヨタ・コンパクトカー・カンパニー」は、文字通りコンパクトな車種を扱う。なぜこのような体制が必要になったのだろうか。

車両は車種ごとに開発される一方、エンジンやボディなど部署ごとの区分も併存する。車両が縦割りとすれば、エンジンやボディなどは横割りで、双方の意思疎通と開発手法をシンプルにするのが狙いらしい。説明を聞いていると、チーフエンジニアの裁量と責任を明確にして、開発業務を円滑に行えるようにする体制と受け取られた。

ちなみに主査(現在のチーフエンジニア)制度を確立させた人物として、1967年から1982年までトヨタの社長を務められた豊田英二氏が知られている。「主査は製品の社長であり、（会社の）社長は主査の助っ人」という趣旨の主張をされたという。主査は単なる職制ではなく、経営者との信頼関係に基づき、商品企画から開発、生産、販売まで、すべてについて責任を持つ「製品の社長」という考え方だ。

今のトヨタはきわめて大規模な企業に成長したことで、改めて「カンパニー体制」が必要になったように感じた。

商品にこの成果が現われるのはもう少し先だと思うが、ヴィッツを担当する「トヨタ・コンパクトカー・カンパニー」では、TNGAの思想に則った新たなプラットフォーム開発にも乗り出している模様だ。つまり今はモデルの切り替わり時期でもあるため、発売後6年以上を経過したヴィッツにマイナーチェンジを施して、ハイブリッドも加えた。少なくとも今後2年間は、現行ヴィッツがトヨタのコンパクトカーの主力であり続ける。そして次期ヴィッツは「トヨタ・コンパクトカー・カンパニー」の力作になるのだろう。

これから訪れる国内ユーザーのさらなる高齢化を考えても、「トヨタ・コンパクトカー・カンパニー」が手掛けるトヨタ車に対する期待は大きい。それに応えるのが、日本のユーザーに育てられたトヨタの責任でもある。

[レポート：渡辺陽一郎／Photo：和田清志]

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トヨタ 新型 ヴィッツ HYBRID U[FF・ハイブリッド] 主要諸元

全長x全幅x全高：3945x1695x1500mm／ホイールベース：2510mm／車両重量：1110kg／乗車定員：5名／最小回転半径：4.7m／駆動方式：前輪駆動(FF)／エンジン種類：1NZ-FXE型 直列4気筒 DOHC ガソリンエンジン／総排気量：1496cc／エンジン最高出力：74ps(54kW)/4800rpm／エンジン最大トルク：11.3kgf-m(111N･m)/3600-4400rpm／使用燃料：無鉛レギュラーガソリン／モーター種類：交流同期電動機／モーター最高出力：61ps(45kW)／モーター最大トルク：17.2kgf-m(169N･m)／動力用主電池種類：ニッケル水素電池／トランスミッション：電気式無段変速機／燃料消費率：34.4km/L[JC08モード燃費]／サスペンション形式：(前)ストラット式(後)トーションビーム式／タイヤサイズ：185/60R15／メーカー希望小売価格：2,087,640円(消費税込)

※試乗・撮影車は「LEDランプセット」(オートレベリング機能付、スモークメッキ加飾 Bi-Beam LEDヘッドランプ+LEDクリアランスランプ/LEDライン発光テールランプ＆6灯LEDストップランプ リアコンビネーションランプ)86,400円／「SRSサイドエアバッグ(運転席・助手席)＆SRSカーテンシールドエアバッグ(前後席)」43,200円／「フロントフォグランプ」10,800円／「185/605R15タイヤ＆5 1/2Jアルミホイール」48,600円／「ナビレディセット」(ステアリングスイッチ・オーディオ操作/6スピーカー＆バックカメラ)35,640円／「T-Connectナビ 9インチモデル DCMパッケージ」305,640円等のメーカー・ディーラーオプションを装着