思い出の「レビン」に会いに・・・ハワイから東京へきた青年の夢

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  • カメラマン:オートックワン編集部
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思い出の「レビン」に会いに…ハワイから東京へきた青年の夢

2015年も残すところあと2日のみとなった12月30日。

この日、常夏のハワイから一人の青年が東京にやってきた。彼の名前はピーター・ルーカスくん。18歳になる彼は、一見すると健康そのもので、日常生活に何ら不自由はなさそうに見える。しかし、実は難病の白血病を患っている。

そんな彼が遠路はるばる日本にやってきた目的。それは、彼の長年の夢であったトヨタ TE27 型「カローラ・レビン」(以下「レビン」)を見ることだ。「“イニシャルD”で有名なハチロクならまだしも、もっと古い型のレビン?一体なぜ!?」気になった編集部は、そんな彼のアツいクルマ愛の訳を探ることにした。

今回、彼の夢の実現に2つの団体が協力してくれることになった。一つは、難病の子供たちの夢(Wish)の実現をサポートしているアメリカのNPO団体「Make A Wish」のハワイ支部「Make A Wish Hawaii」。

もう一つは、このレビンを彼のために提供してくれた、東京大学&ホンダテクニカルカレッジ関東・ジョイントプロジェクト「海外ヒストリックラリー参戦プロジェクト」の皆さんだ。

彼らはそれぞれの学校の授業の一環として、海外でのヒストリックラリーに参戦するための競技車のレストアと現地での整備、さらに海外遠征を通じた国際交流を行っている。参戦に使用する車両は毎年同じというわけではないが、たまたま前年度使用した1972年式レビンが改良されて、さらに今年度追加されたもう1台の1973年式レビンと共に、オセアニアのラリーに向けて準備されていたのだ。

今回は、このラリープロジェクトのメンバーでもあり、元学生カーソムリエでもある高木充くんにご参加頂いた。

思い出が詰まったレビンの助手席にもう一度

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東京大学構内で待ち合わせしたピーターくんは、人懐っこくチャーミングな性格が印象的な好青年だった。コートに手袋、ニット帽という出で立ちで現れた彼は非常に寒そうな様子。やはり常夏のハワイとは大きく異なるのだろう、いくら暖冬はいえ、冬の東京は彼には一種の洗礼となったようだ。

そもそも何故、ピーターくんはレビンを見たいと思ったのか。

それは、彼がもともと自動車好きというのに加え、かつて彼の叔父さんが同型車に乗っていた頃の思い出が理由のようだ。残念ながらそのレビンは彼の幼少期に事故で焼失してしまったらしく、以来彼の中では、思い出の一台としてずっと記憶にとどまっていたらしい。

彼はレビン以外にもトヨタ車全般に思い入れがあり、日本滞在中の訪問先リストには、お台場の『メガウェブ』や愛知県の『トヨタ博物館』といったトヨタの関連施設が並んでいた。年末年始という慌ただしい時期、初めて訪れた日本という地で、東京と愛知を行き来する彼のメンタルには感服してしまった。

ちなみに一緒に訪れたのは彼のお兄さんといとこ。いとこの彼は現地ハワイで「ハチロク」(現行の「86」ではなくAE86型「スプリンタートレノ」)に乗っているらしい。皆自動車全般に非常に詳しく、移動中は高木くんも混じって自動車トークに花が咲いた。

“生レビン”に感激のピーターくん

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さて、そうこうしているうちに実際のレビンとご対面。

2台共、昔のトヨタ・チーム・ヨーロッパに合わせたカラーリングをはじめ、フォグランプやロールバー等のラリー用パーツが数多く装着されてはいたが、紛れも無い思い出の一台だった。ハワイはおろか国内でも貴重な個体となったレビンを目の前に、感激のピーターくん。

そもそも今回試乗した73年式レビンは、本プロジェクトのためにオーナーの方から借用し、それを整備・改造して競技参加可能な状態にした個体。そのためオリジナルでないパーツも装着されていたが、エンジンはオリジナルのままだった。幼少期以来となるピーターくんも、ボンネットの中を見て二度感激。どうやら当時から、足回りやエンジンルームをチェックする子供だったらしい。他にもメーターやドアハンドルなど、細部を観察しては思い出に浸っている様子が印象的だった。

レビンの助手席から見た初めての東京

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もちろんこのレビンは公道走行可能な個体。高木くんの粋な計らいで、ピーターくんを助手席に乗せ、東京大学の敷地を出て公道へ繰り出すことにした。年の暮れの本郷~皇居周辺の道にはいつもの渋滞はなく、流れは快調そのもの。その中を前時代的な排気音と振動を伴って力強く走るレビンの車内で、ピーターくんは興奮しっぱなしの様子だ。車内のメーターや運転の仕方について、また車外に見える景色や一般車について、東京のグルメ事情に関して、事細かに質問していた。

走行中にたまたまアメリカ車のシボレー「コルベット」と並走した。ピーターくんは最初そのカッコよさに興奮気味だったが、すぐに「日産 GT-Rのほうがカッコイイ。もっと言えば、やっぱりこのレビンだ」とのこと。思い出補正を除いて、もはや一台のクルマとしてレビンが好きらしい。

旧車天国と化した活動場所も見学

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同乗走行の後は、顧問である草加浩平先生のご協力の下、普段の活動場所を見学させていただいた。そこには次回の参戦を待つ2台の1975年式ホンダ SB1型 「シビック」に加え、草加先生がかつて競技に使用していたという1987年式トヨタ AW11型 「MR-2」が保管され、活躍の時を待っていた。特にシビックに関しては外装の状態が非常によく、3人は「ここまで状態がいいものはハワイにはもうないだろう」と話していた。

隣の三菱ランサーは「知らない」

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 レビンの隣には、昔の三菱ワークスチームのカラーリングを施された1977年式三菱 A73型 「ランサー」も置かれていた。こちらも同様に欧州のヒストリックラリーに参戦してきた個体なのだが、さすがのピーターくんもランサーは知らなかった様子。「有名なランサー・エボリューションの先祖だよ。まだ後輪駆動だけどね」という説明に驚いた様子だった。

映画『ワイルド・スピード』(現地では『Fast & Furious』)シリーズでの登場もあり、三菱「ランサー・エボリューション」の名前は現地でも知られているらしい。しかし、そのモデルがかつてはこんなコンパクトなFRセダンだったのは、さぞ意外だったに違いない。

旧車が繋いだ日本とハワイの絆

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今回は様々な縁が重なり、わざわざ真冬の日本まで、思い出の一台であるレビンを見に来たピーターくんご一行。初の東京観光に加え、思い出深いレビンでの都心ドライブは、忘れ難い経験となったようだ。

思えば今回乗せていただいたレビンも、もともとは個人のオーナーが所有していたものを「海外ヒストリックラリー参戦プロジェクト」用に借用し、それを修理・整備・改造したうえで、今ここに存在しているもの。それも前述のとおり、毎年同じマシンを繰り返し使用しているわけではない。今回彼らが東大という場でレビンにめぐり会えたのは、もはや奇跡といえる確率だったのではないだろうか。

今回ご協力いただいた海外ヒストリックラリー参戦プロジェクトでは、このような旧車を時にボディだけの状態で入手し、パーツの調達、機関部の整備、内外装の修理、塗装などの工程を自力でこなした上で、さらに競技用に改造して海外ラリーに参戦している。現地に飛んでからの修理や整備も行い、時に現地で日本文化の普及や現地の関係者との交流も行う。その意味では、彼らも古い国産車を介して日本と海外をつないでいるといえる。

彼らの活動に関しても、いずれ機会があれば紹介したいと考えている。

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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