過密化する東京の人口とクルマ事情/清水草一(1/2)

クルマを持つ必要の無い町「東京」

東京都の人口推計値が1,300万人を超えた。この10年で人口が100万人も増えたのだ。

私が子供の頃は、過疎・過密がずいぶん問題になっていたが、バブル崩壊後、過疎はともかく過密が問題になることはあまりなかったので、いつのまに!という感じである。

最も増えたのは江東区で、以下足立区、八王子市、中央区、墨田区の順。世田谷区や杉並区など、いわゆる「山の手」は人口増加の余地はあまりないが、取り残されていた城東地区や、オフィスや繁華街だった都心への人口回帰が明確になっている。

私の住む杉並区ですら、古い建物が壊された後に建つのは、ほとんどがマンションだ。それは都心も同じ。もはやオフィスビルは供給過剰だが、マンション、特に超高層マンションなら手堅く売れる。

こうなった最大の要因は地下の下落だ。他の地域に比べれば下げ幅は少ないが、東京の地価はまだじわじわ下がり続けている。土地や家賃が安くなれば、便利な都市部に住みたいと思うのはごく当たり前のことだろう。

さて、郊外から都心部へと回帰してきた住人がどんな生活をするかと言えば、多くの場合、仕事も買い物もすべて電車やバスで移動する毎日である。我が家の近所にできるマンションは、駐車場がごくわずかしかない物件が多い。駅まで徒歩10分圏内なら、クルマなどなくても十分生活できる。

東京の場合、駅前にはまだ必ず商店街やスーパーもある。彼らの多くはカーレスライフを送っている!これはある意味、とても健全な状況だ。

自家用車がなくても、公共交通機関だけで生活できれば、将来の不安がいくぶんか払拭される。

いつか年を取って運転免許を返納しなければならないような身体状況になっても、安心して暮らして行けるから。自動車業界にとっては逆風だが、国としては「あるべき姿」じゃないだろうか。

で、そんな「クルマは必要ない町」東京にどんなクルマが多いかと言うと、実用上まったく不必要な高性能車である。

東京のドライバーにとっては、クルマは実用品というより趣味嗜好品だからこそ、ドライバーは無駄に高品位なクルマを選ぶ。もちろん、平均所得の高さも要因としてあるが・・・。

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清水 草一
筆者清水 草一

1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。代表作『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高はなぜ渋滞するのか!?』などの著作で交通ジャーナリストとしても活動中。雑誌連載多数。日本文芸家協会会員。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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