EVの普及と補助金拡大政策への疑問/河村康彦(1/2)

EVの普及と補助金拡大政策への疑問/河村康彦
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EVの普及と補助金拡大政策への疑問/河村康彦

2009年度も残すところあと2日という3月30日。日産自動車がすでに公開済みだったEV「リーフ」を、「本年12月に376万円からの価格で発売予定」と発表した。

従来からのEV補助金制度がこの先も継続されるとして計算すれば、ユーザーの負担額は299万円。さらに、重量税と取得税が免除され、購入翌年度は自動車税が50%の減税といった事を考慮すると、「EVが一気に身近になった」と感じる人は少なくないだろう。

ちなみに、それまで459万9,000円という価格を提示していた三菱のEV「アイミーブ」は、日産のこの発表直後に緊急会議を召集し、やはり補助金による実質価格が284万円となるよう一挙に60万円以上の値下げを決定と報じられた。

地方自治体によってはEVにはさらに独自の補助金を設定している地域もあり、例えば神奈川県横浜市では買い替え時にはリーフが246万円、アイミーブが212万円。同県藤沢市ではリーフが241万円、アイミーブならば199万円ほどで入手出来るという。

なるほど、こうなると価格的には一気に身近になったと感じられるEVだが、さらにそうした話題性を後押しするのが、内閣府副大臣(国家戦略室長)によって発せられた「EVに対する補助制度をさらに拡大させ、研究・開発の援助も行いたい」というコメント。

そんな発言は4月4日のテレビ番組内での事だったから、これはもう日産や三菱の発表を受けての事態と考えて間違いないだろう。なるほど、200万円台で手に入るとなれば、「次のクルマはEVにしようか」と考える人が多数現れても不思議はないもの。

しかも、前述のように政府のさらなる普及の後押し政策が今後も続くとなれば、そうした気持ちに拍車が掛かるのも当然ではある。

しかし、そんなイメージを持ちやすい今だからこそ、「この段階で即座にEVに乗り換えるのは、それ相当のリスクも覚悟すべき」と、ここでは改めてアドバイスをしたい。

テレビや新聞での「これこそが救世主!」という近視眼的な報道を目にすると、EVに纏わる問題点からは敢えて目が逸らされているという感触が拭いきれないからだ。

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河村 康彦
筆者河村 康彦

1960年東京生まれ。工学院大学機械工学科卒。モーターファン(三栄書房)の編集者を経て、1985年よりフリーランスのモータージャーナリストとして活動を開始し、現在に至る。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、ワールド・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー選考委員 などを歴任。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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