今までのポリシーはいずこ……MX-30のエアコンがタッチパネルになったワケとは
- 筆者: MOTA編集部 木村 剛大
- カメラマン:MOTA編集部
マツダといえば2012年に登場した初代CX-5以来、魂動デザインやスカイアクティブテクノロジーを中心としたモノつくり革新が有名だ。実は運転中にいかに自然にエアコンなどの操作ができるか? という点にも力を入れている。できるだけ視線移動を少なくし、“運転に集中できるか”がキモなのだが、先日発表されたMX-30はこれまでのこだわりを捨てたのか? とも言える車内デザインを採用している。そこで、開発陣にデザインの意図を直撃!
流行りのタッチパネルはダメ! 物理スイッチが安全
マツダはデザインやエンジンなどの走りの部分に力を入れているイメージが強いが、ドライビングポジションにも並々ならぬこだわりを持っている。それは人間工学から得た本格的なもので、ペダル配置やスイッチひとつにまで、その知見を落とし込むほど。
オーナーの方や昨今のマツダ車を運転したことのある方ならわかるだろうが、本当に自然に使えるから驚く。かくいう筆者も仕事柄さまざまなメーカーのクルマを運転する機会があるのだが、マツダ車に限っていえば、エンジンスタートボタンや各種スイッチなど、何の迷いもなく操作できるのだ。
もっとも痛感するのは、運転中にエアコンやオーディオ操作を行う時。視線移動なんてほぼ0といっていいほどで、上級車種のMAZDA6だけにとどまらずエントリーカーのMAZDA2に至るまで、全車で共通のデザインを採用しているのは“さすがマツダ”といったところだ。
もっといえば、コンパクトカーのMAZDA3シリーズはさらに磨きをかけていて、全スイッチの“押す”感覚の気持ち良さを追求しているほど。
ポリシー捨てた? いやいやマツダ流のこだわり全開だった
昨今輸入車などで流行となっている静電式やタッチパネル式の操作パネルを一切使わないのは、「運転中の操作が危険だから」と、これこそがマツダの開発陣がこだわっていたポイントである。物理スイッチであれば、視線を動かさなくとも、温度や風量といった操作は行えるからというのが理由だ。
ところが、だ。新型MX-30のエアコン操作パネルはタッチパネル式を採用。これまでのこだわりを捨てたのか! なんて思うだろうが、実はここにもマツダのこだわりが。
昨今の輸入車にはタッチパネル式の操作パネルが数多く採用されているが、彼らのインパネを見てみると物理ボタンはほぼ0で、運転中の操作は慣れが必要である。
だが、MX-30のエアコンパネルは、左右にあえて物理ボタンを残している。これをチーフデザイナーの松田 陽一氏に尋ねると「既存のモデル同様に視線移動を極力減らすデザインをもちろん踏襲している。あえて物理ボタンを残したのは、グローブを装着している時に、自然に操作ができるため」だという。冬場など寒い時期はフロント/リヤガラスが曇るコトもしばしばで、その際に瞬時に操作ができるために、最低限の物理ボタンを残しているのだ。新型MX-30にもマツダの理念をしっかり踏襲しているというワケ。
今回MX-30はモノグレード展開で、素の状態でも衝突被害軽減ブレーキやACCといった基本装備は装着されている。それでいて242万円~という価格設定から、CX-30に次ぐマツダの新たな稼ぎ頭となるかもしれない。今後の動きにも注目だ!
【筆者:MOTA編集部 木村 剛大】
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