グーグルは本気で自動運転やる気あるのか?世界をリードするグーグルが市民に嫌われる3つの理由(2/2)
- 筆者: 桃田 健史
- カメラマン:桃田健史
問題その2:不動産価格が上がって迷惑だ!
「Gバス」の行き先のなかで、最も多いのがサンフランシスコ市内だ。それも、街の「ど真ん中」だ。
グーグルが誕生して間もない90年代後半から2000年代半ばまでは、グーグル社員の多くがマウンテンビュー市周辺に住んでいた。そもそも、創業者のラリー・ペイジらはスタンフォード大学の卒業生。スタンフォード大学はマウンテンビュー市のすぐ隣のパロアルト市にある。
ところが、マウンテンビューやパロアルトは、都市の郊外地域であり、夜遅くまで営業しているバーやクラブがほとんどない。年収10万ドル(約1200万円)以上がゴロゴロいるグーグル社員は「もっと遊びたいから、もっと刺激が欲しいから、都会に住みたい!」という欲望が抑えきれず、サンフランシスコの「ど真ん中」に住む人が急増した。
だが、湾のなかの島であるサンフランシスコのダウンタウンは住宅の絶対数が少ない。急斜面に小さな家が連なっている光景は、日本でもよく知られていると思う。
そんなダウンタウンに、グーグル社員たちが一挙に引っ越し。それが引き金になって、シリコンバレーにある他の会社の従業員も「やっぱり都会に住む方がいい」というトレンドができてしまった。
その結果、サンフランシスコはダウンタウンを中心に不動産価格が高騰。再開発も進み、超高層の「億ション」の建設ラッシュとなった。
資産家にとっては、不動産価値が上がって「ありがたい」と思うが、庶民たちは「家賃も跳ね上がってしまい、迷惑だ!」と怒っている。
問題その3:本当に自動運転を普及させるって思っているのか?
昨今、世界各地で話題の自動運転。その中核にいるのが、グーグルだ。
マウンテンビュー市内に、自動車教習所のような雰囲気の自動運転専用コースを持ち、自前の自動運転車の無人走行テストを行っている。
こうした自動運転の開発をしているグーグル社員たちが、毎日の通勤で使っているのが「Gバス」だ。
彼らにとっては「自動運転なんてなくても、こうやってバスに乗っていれば、Wi-Fiを使ってパソコンやスマホを使ってでも仕事もできるし、(車内飲酒は禁止だと思われるが)会社の近くで一杯やってからでも乗れるし、それに思い切り寝れるし。別に、自動運転なんて要らないじゃないの?」なんて思っていても不思議ではない。
実際、シリコンバレーにある日系の自動車関連企業の関係者から「Gバスに乗っている彼らが、自動運転とか、ライドシェアとか、どこまで真剣に考えているのか、大きな疑問だ」という声を聞いた。
グーグルにとっての自前の交通システム「Gバス」は、こうした様々な課題を抱えながら、北カリフォルアを走り回っている。
[Text:桃田健史]
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