ルノー トゥインゴGT試乗|人間の五感に訴えかけてくる、ワクワクする楽しさ!(3/3)
- 筆者: 内田 俊一
- カメラマン:内田 俊一・菊池 一弥・茂呂幸正・和田清志
中・高速コーナーは得意中の得意
せっかくなのでワインディングにも攻め入ってみよう。このシチュエーションでは得意、不得意の2つの面を見せてくれた。
伊豆の山の中はどちらかというと中・高速コーナーが多く、そこでのトゥインゴGTはまさに水を得た魚のように、コーナーからコーナーを泳ぎ回る。
そのコーナリングフォームは4輪がしっかりと路面をとらえ、オンザレール感覚だ。そこから徐々にペースを上げていくと、軽くフロントが逃げ始めるが、十分にコントロールは可能である。ボディサイズも適度な大きさなので、センターラインを割らずに楽しむことが出来た。
そこに貢献しているのが、ルノー・スポールが手を入れた剛性アップだ。ベースモデルではステアリングが段差などでわなわなと震えるが、GTではかなり軽減されているし、フロア周りの剛性も標準よりは高くなっている。また、比較的2速と3速のギア比が近いので、そこを使い分けながら、ひらひらとコーナーを楽しめた。
不得意な面はタイトターンの弱さだ。ハイスピードでタイトターンを回ろうとすると、リアがリフトアップするようで、そこから動力が逃げ、さらにESCも介入するため、積極的にコーナーでアクセルを踏みつけることが出来なかった。もう少しサスペンションストロークを確保し、しなやかさを持たせれば、より一層ワインディングを楽しめるクルマに仕上がるだろう。
因みに今回のテスト車に履いていたタイヤはYOKOHAMA ブルーアース-Aでフロント185/45R17、リアは205/40R17であった。
ルノー・スポールマジック
ルノー・ジャポンが2018年導入予定を前倒しで200台だけ先行販売したトゥインゴGT。
ベースとなるトゥインゴの良さである小回りの良さや使い勝手は活かしつつ、前述の通りルノー・スポールが走りのためのパワーアップや補強を行うことで、ポテンシャルを上げている。
しかし、それらも根本的な解決にはなってはおらず、特にフロントのボディ剛性においては然りだ。ロードノイズの侵入も大きく、エンジンも回していくと3気筒独特の安っぽい音になる。
また、RRのデメリットとして荷室高は高くなり、その上に荷物を載せるとエンジンの熱で温められてしまう(生モノは絶対禁物だ)。
では、何が魅力か。それは乗る楽しさだ。たとえドライビングポジションに違和感があろうと、エンジンレスポンスが悪かろうと、そのシートに座ってエンジンをかけ走り出すと、ワクワクするような楽しさがもたらされる。
それはエンジンの回転が上がっていくにしたがって溢れてくるトルク感や、RRがもたらす軽くステアリングを切るだけで素直に向きを変える鼻の軽さ、そしてちょっとした交差点を曲がるときにでも感じられる、クルマとの一体感だ。
たったそれだけなのに、運転の楽しさというエモーショナルな部分を人間の五感に訴えかけてくるのは、やはりルノー・スポールマジックだといわざるを得ない。
ZEN MTのエンジンにGTのボディと足回りを組み合わせれば・・・
その後、トゥインゴZEN MTを借りだしたのだが、やはりボディの弱さは歴然で、それは特にエンジンの振動がステアリングに伝わってきたり、段差を超えたりしたときに如実に感じられた。
エンジンもかなりアンダーパワーに感じるが、そのレスポンスはGTよりもはるかに良いので、エンジンはそのままにGTのボディと足回りを組み合わせれば、ちょっとした楽しいクルマが出来上がりそうだ。
最近、街中でも全開に出来るクルマはそうそうないことだし、きちんと交通状況を読んで、マニュアルシフトを適切なポジションを選択しながら走るのは、ちょっとした頭の体操にもなろう。でも、やはりそういう時にはタコメーターは欲しいものだ。
[Text:内田 俊一 Photo:内田 俊一・菊池 一弥・茂呂幸正・和田清志]
ルノー トゥインゴGT スペック表
ルノー トゥインゴGT主要スペック表 | |
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車種名 | トゥインゴGT |
トランスミッション | 5速MT |
価格(消費税込) | 2,240,000円 |
全長 | 3,630mm |
全幅(車幅) | 1,660mm |
全高(車高) | 1,545mm |
ホイールベース | 2,490mm |
乗車定員 | 4名 |
車両重量(車重) | 1,010kg |
エンジン | 直列3気筒DOHC |
排気量 | 897cc |
エンジン最高出力 | 80kw(109PS)/5,750rpm |
エンジン最大トルク | 170Nm(17.3kgm)/2,000rpm |
燃料 | 無鉛プレミアム |
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