レーステクノロジーをたっぷり投入したニューモデル|日産 新型GT-R NISMO 徹底解説(2/3)
- 筆者: 山田 弘樹
- カメラマン:佐藤 正巳
NISMOが開発したGT3用タービンを投入
GT-R NISMOの走りを極める上で、最良の素材とされたのはFIA-GT3車両*のアイテムだった。
まずエンジンは、そのタービンに新スペックが投入された。タービンブレードの歯数をMY17モデル比で11枚から10枚に変更し、さらにその板厚を0.8mmから0.5mmに薄型化することで、14.5%の軽量化を達成した。
*FIA-GT3車両FIA規定に則ってメーカーが制作する市販車ベースのレーシングカー。日本ではスーパーGT GT300クラスに参戦が可能。
とはいえ日産いわく、高速回転するタービンブレードは、ただ薄くしただけでは強度が保てない場合がほとんどだという。そこでMY20モデルはブレードを形状変更する際に、その構造に背板を追加し、圧力だまりを抑制。歯数を減らしながらも過給圧の低下を抑えることに成功した。600PS/660Nmの高出力を維持したままピックアップレスポンスを20%も向上させ、なおかつブレードの慣性重量においては、24%も低減することができたという。
そしてこのタービンこそ、NISMOがGT3車輌のために開発したものだった。
ボディ形状を変更して空力性能を改善
ボディワークでは空力特性が改善された。
フェンダー上部に設定されたエアアウトレットは、GT3車輌の開発から得られたデバイスだ。レーシングカーではこのアウトレットを、揚力低減に使っている。高速回転するタイヤが生み出す空気の乱流を排出し、走行風で引き抜くことによってタイヤハウス内の圧力を減じて、ダウンフォースを生み出すのである。
対してGT-R NISMOは、これをクーリングダクトとして活用した。エンジンルームから約70℃の気流を排出することで、エンジン性能を向上させているのである。
またアウトレットの形状を最適化することで、排出した空気を車体後部まで剥離させることなく清流して空力性能をも向上させた。
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