IndyCar:武藤英紀が17位、佐藤琢磨が18位

IndyCar 武藤英紀

インディ・グランプリ・オブ・ソノマの決勝日は、カリフォルニアならではの青々とした快晴に恵まれた。全長2.303マイルのアップダウンに富んだサーキットで行われた75周にわたる激しいファイトは、ポールポジションからスタートしたポイントリーダー、ウィル・パワー(Team Penske)が主導権を譲ることなく逃げ切り、今季5勝目を飾った。表彰式でパワーはIZODインディカー・シリーズの初代ロードコースチャンピオンとして、マリオ・アンドレッティから彼の名前が冠せれたトロフィーを手渡された。

年間ランキング2位でパワーを追うダリオ・フランキッティ(Chip Ganassi Racing)は、レース序盤はエリオ・カストロネベス(Team Penske)、レース中盤はライアン・ブリスコー(Team Penske)に続く3番手を走行する苦しい戦いとなったが、最後のピット・ストップを迎える頃に、ようやく2番手にポジションを上げ、パワーに照準を合わせた。

ゴールへ向け、フランキッティは路面コンディションがさらによくなるものと期待してハードコンパウンドのブラックタイヤをチョイスした。一方、チームメートのスコット・ディクソン(Chip Ganassi Racing)は、ソフトのレッドタイヤを履いてハイペースを実現。ゴール前15周を切った時点でフランキッティをパスし、パワーを追いかけた。

ゴールを目前にディクソンはペースを上げ、果敢にアタックを続けたが、0.7432秒及ばなかった。パワーが勝利し、ディクソンは2位でフィニッシュ。フランキッティが少し離れた3位でゴールした。

パワーは他を圧倒する5勝目をマーク。フランキッティに対するポイントリードを第12戦終了時点の41点から59点へと大きく広げることに成功した。年間ランキング3位につけるディクソンはパワーと95点差、2位のフランキッティとは36点差となった。

武藤英紀(Newman/Haas Racing)は予選14位から17位。佐藤琢磨(KV Racing Technology)は予選17位から18位でレースを終えた。どちらのドライバーもトップ10入りが十分に可能な戦いぶりを見せていたが、武藤は序盤にタイヤトラブルが発生して遅れた上に、ゴール前に他車と接触してスピンに陥ったため、ばん回していた順位を再び下げてしまった。

佐藤はオーバーテイクを重ねて10番手までポジションアップしたが、ゴールを目前に控えてタイヤにエア漏れのトラブルが発生した影響で、マシンバランスが一気に崩れて他車と接触。完全にパンクしたタイヤを交換するためにピットストップを行い、順位を8つ落としてのゴールとなった。

2010年のIZODインディカー・シリーズにおけるロードレースは、今回が最後となる。残る4戦はすべて全長1.5マイルの高速オーバルでのレースとなる。

ウィル・パワー(優勝)

「完ぺきな週末だ。すばらしいレースだった。最後にディクソンがすごいペースでアタックしてきた時、私のマシンはタイヤが汚れてしまっていたため、なかなかペースアップができずにいた。今シーズン、私にこんなチャンスを与えてくれたチームに感謝する。咋年は大きなアクシデントを起こし、決勝レースを病室で見た。そのコースで1年後にポール・トゥ・ウインでの勝利を飾れたなんて最高だ。残るオーバルでも全力で戦う。シーズンが終わる前にオーバルでも1勝したい」

スコット・ディクソン(2位)

「今日のレースでは、レッドタイヤとブラックタイヤで昼と夜ぐらいの違いがあった。ソフトコンパウンドのレッドタイヤの新品が我々には1セットしかなく、ゴールに向けて装着したのは少し周回を行っているものだった。それでもパワーの前に出てゴールしようと、最後は全力でアタックした。しかし、オーバーテイクを仕掛けるところまで近づくことさえできなかった。彼のマシンは路面にガッチリ吸いついていた。タイヤを上手にセーブして走っていたということだ。6番手スタートでの2位フィニッシュは決して悪くない結果だ。残るシーズンも全力で戦う」

ダリオ・フランキッティ(3位)

「我々も全力で戦い、持っているものは出しきったと思う。最後のピットストップでハードコンパウンドのブラックタイヤを装着したのは、一種のギャンブルだった。残念ながらその作戦が功を奏することはなかった。レッドタイヤで走ったディクソンの方が速かったので、彼にポジションを譲った。パワーもパスして優勝してくれることを願ったが、それも叶わなかった」

武藤英紀(17位)

「スタート時のマシンはハンドリングもよかったのですが、15~16周もするとフロントタイヤのグリップがなくなり、ペースが落ちた上、まっすぐ走るのも大変な状況になっていました。タイヤマネジメントがうまくいきませんでした。レース終盤にはアレックス・タグリアーニ(FAZZT Race Team)と接触があり、さらにはマリオ・モラレス(KV Racing Technology)ともぶつかってスピンし、ポジションを落としてしまいました。マシンはトップ10入りができる仕上がりだっただけに、悔しいレースとなりました。次のシカゴランドからはオーバルでの連戦なので、気持ちを切り替えて攻めのレースをしたいと思います」

佐藤琢磨(18位)

「決勝日のウオームアップを走っても、まだマシンがうまく仕上がっていなかったのですが、レースではかなりのオーバーテイクもできて、トップ10までポジションを上げることができました。しかし、最後はスローパンクが起きていたのか、何かメカニカルなトラブルが発生していたのか、マシンのフロントが上がった状態でペースが大幅に落ち、他車と接触してしまいました。今年のロードレースはこれが最後となりますが、思い描いていた結果を残せませんでした。しかし、ロードレースで得た多くの経験を生かして、残されたオーバルでの4戦を戦いたいと思います」

ロジャー・グリフィス|HPD テクニカル・ディレクター

「1年前にすごいアクシデントにあっていながら、パワーは見事なパフォーマンスで優勝を飾った。恐怖を乗り越えてポールポジションを獲得し、レースではライバルたちを突き放す速さを誇っていた。ロードコースチャンピオンとなったパワーは、シリーズチャンピオンを目指して戦い続ける。彼はまだオーバルでの経験は少なく、実績もない。しかし、今年のインディ500でポールポジション争いを行うなど、彼はオーバルでも非常に速いドライバーへと成長する可能性を秘めている。今シーズン中に彼がオーバルで勝利を挙げたとしても何の不思議もない。彼を追うフランキッティとディクソンの2人は、タイトル獲得経験を持ち、オーバルでの実績も十分で、彼らにはプレッシャーがない。残るオーバル4レースでの戦いを彼らも楽しみにしていることだろう。IZODインディカー・シリーズは今年も最終戦まで目の離せない戦いが繰り広げられることだろう」

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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