飲酒をクルマの鍵が判断!?日立とホンダが“小型呼気アルコール検知器”の試作に成功

日立とホンダは、マウスピースなしで利用可能な呼気認識機能を搭載した、スマートキー対応のポータブル呼気アルコール検知器の試作に成功した。

本検知器に息を吹きかけると、人間の呼気特有の飽和水蒸気を検知するとともに、エタノール濃度の計測を約3秒で高精度に行う。運転者が乗車前にどこででも計測できる利便性と、呼気以外のガスを用いた不正利用を防止する機能を備えている。

また、ドアの解錠やエンジン始動が可能なスマートキー対応としたことで、酒気帯び状態にある場合にはエンジンを始動させないアルコール・インターロックの役割を果たしている。これらの機能により、飲酒運転による事故撲滅に貢献することが期待できる。

試作した呼気アルコール検知器

自動車の安全走行技術の開発が進む中、飲酒運転による事故撲滅に向けた取り組みが世界的に強化されている。国内では、運送事業者に対して、運転手の点呼の際にアルコール検知器で酒気帯び状態を確認することが義務付けられており、また、米国ではアルコール検知器と自動車のエンジンを連動させたアルコール・インターロックを一般の自動車へ導入するための技術開発がNHTSA(米国運輸省道路交通安全局)主導で始まっている。

これまで検討されてきたアルコール・インターロックは、大型のアルコール検知器が車内に設置され、運転者は運転席で検査を実施するため、乗車前に計測することができない。また、従来のポータブル呼気アルコール検知器は、吹き込まれた気体が人間の呼気であるか認識した上でアルコール検知を同時に行うことができなかった。

これらの課題に対応するため、日立とホンダは共同で、人間の呼気を認識する機能を搭載した、スマートキー対応のポータブル呼気アルコール検知器の技術開発に取り組み、今回試作に成功した。また、本検知器を用いて、検出した結果を、車内ディスプレイに表示するシステムも構築した。

日立とホンダは、実証試験によりデータの収集を図り、本システムの実用化を目指していくとしている。

特長

試作した呼気アルコール検知器

(1)小型省電力の飽和水蒸気センサー技術により、呼気認識とポータブル化を実現

人間の呼気特有の飽和水蒸気を、高感度で検知するセンサー技術を開発。酸化物絶縁体※1を電極ではさんだセンサー上に呼気が吹きかけられると、呼気中の水蒸気が絶縁体に吸着して、電極間を流れる電気特性が変化する現象を見出した。

この現象を用いて、人間の呼気かどうかを認識する。電極の形状を微細なクシ形にして長くし、さらに電極間の距離を狭くすることでセンサー感度を向上させた。これにより、面積を約5ミリメートル四方に小型化したセンサーでも極微量の飽和水蒸気を検出する。その結果、センサーの小型化と、消費電力の低減によりバッテリーでの駆動を可能とし、乗車前にどこででも測定できるポータブル化を実現した。

(2)3種類の半導体ガスセンサーにより、エタノール濃度の高精度計測を実現

飲酒運転に関する国内法規制の対象である呼気中エタノール濃度の測定精度を高め、誤検知を防止することを目的に、エタノールに加え、飲酒時に呼気中に代謝されるアセトアルデヒドと、水素の3種類を検知する半導体ガスセンサーを採用し、エタノール濃度を算出している※2。

この結果、エタノールセンサーのみを用いて濃度を測定する場合に比べ、エタノールの定量精度を約3倍に向上させ、国内で酒気帯び状態と認識される0.15ミリグラム/リットルの濃度に対し、その10分の1程度まで測定できることを確認している。

(3)スマートキー対応のシステムを構築

今回試作した本検知器を運転席に近づけると、計測結果に応じてエンジン作動の可否をディスプレイ上に表示することができるシステムを構築した。本システムにより、規定のアルコール濃度を検知した場合には、エンジンを作動させないようにする。

本検知器で検証した結果、国内法規制の基準に準拠した酒気帯び状態の有無を、3秒以内で検知できることを確認した。

※1 酸化物絶縁体:金属元素の酸化物を成分とする絶縁材料を指す。例えばガラスやセラミクスなど

※2 差分進化法を用いて算出。差分進化法とは、複数の未知数、関係式に対し、最適解を得るための数値計算アルゴリズムの一種

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筆者
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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