トヨタ・ホンダが相次いで燃料電池車を発表、果たして燃料電池車は普及するのか?/国沢光宏
- 筆者: 国沢 光宏
なぜ、トヨタとホンダは相次いで燃料電池車を発表したのか
市販車を発表したトヨタですら、生産体制については規模を含め検討中。ホンダにも同じような状況にある。対照的に管轄官庁はメーカーに対し急げ急げとハッパを掛けている。
どうやら我が国は50年前の原発と同じく、水素を次世代エネルギーの重要な柱にしたいらしい。この点についちゃ異論無し。原子力に比べ水素は安全(取り扱いはガソリンより安全性高い)。
国内でエネルギーの自給も出来る可能性も大きい。30年先のエネルギーとして考えると超有望だ。ただ現時点ではスタートラインにも立てていないため、1日でも早く第一歩を踏み出したいのだった。というか、燃料電池車を水素社会の始まりにしたいと考えている模様。
したがってトヨタだけじゃダメなのだ。国を挙げて1社だけ推すことも出来ません。
そこでホンダにプレッシャー掛け、トヨタと競わせるようなカタチにしたという寸法。良い迷惑なのがホンダであります。
ホンダのFCVコンセプト発表は「本意ではない」はず
発表されたFCVコンセプトを見たら、機能部品としてのバンパーも付いておらず(事故時の交換は想定していない)、タイヤは700馬力エンジン搭載車がサーキットのラップタイムを競うようなスポーツタイヤ。1年半以上先の市販なんだから当然だと思う。ホンダだって本意じゃないだろう。
しかもミライの発表会が決まっていたにも関わらず、後から前日にFCVコンセプトの発表を無理矢理押し込んだ。
もっと驚いたのは、環境省や経済産業省 資源エネルギー庁の役人がメディアの前で挨拶したこと。この一点だけ見ても、担当官庁のプレッシャーを推測出来る。とにかく水素社会を進めたいのだ。
ここまで読んで読者諸兄は「いつ頃になったら水素社会が実現するのか?」と思うことだろう。トヨタもホンダも口を揃え「スタートラインについたばかり」という。もう少し切り口を変えると、10年掛かるのか30年掛かるのか、誰も予想出来ないのだった。
でもスタートを切らないと前には進めない。 もっといえば、スタートしたって普及しない可能性すらあります。トヨタとホンダはそういったことをすべて考え、燃料電池の開発に取り組んでいる。
まぁ一般メディアって数字が取れてナンボの世界。すぐ飽きると思う。自動車好きや自動車メディアはじっくり燃料電池車を育てていけば良い。
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