バンコクモーターショー2013 レポート/松下宏
- 筆者: 松下 宏
バンコクモーターショー2013で発表された注目のモデルをご紹介!
アジアでは東京に次ぐ長い歴史を持ち、東京を上回る規模の来場者数を誇る「バンコクモーターショー2013」(会期:2013年3月25日~4月7日)が開催された。今年で34回目となるバンコクモーターショーには大半の日系メーカーや主要な欧米メーカーが出展しており、今年もまた大きな盛り上がりを見せた。
バンコクモーターショー2013の来場者数は毎年190万人を数えるが、来場者はクルマを見に来るだけでなく、クルマを「買いに来る」人も多い。バンコクモーターショーは“セールスショー”でもあり、今年も実に6万台もの受注が見込まれているという。
6万台という数値は、実際には事前受注分も同ショーの会期で受注したことにしてショーを盛り上げているという、いわば水増しもあるのだろうが、タイ人にとってバンコクモーターショーが「クルマを買うためのショーである」との認識が浸透しているのも確かだ。
そんな盛り上がりを見せるバンコクモーターショー2013に出品された日系メーカー車を中心として、注目のモデルを以下にご紹介しよう。
トヨタ ヴィオス
今回のバンコクショーで最も注目を集めたモデルはトヨタのヴィオス。
ヴィッツをベースにした新興国向けの4ドアセダンで、1997年にソルーナの名前で販売された初代モデルから数えて4代目のモデルがタイで世界初公開された。ヴィオスはタイで10年連続ベストセラーという人気の小型セダンだが、タイで生産・販売するだけでなく、1999年からはASEAN7ヶ国にも輸出されており、これまでに累計19万台弱を輸出している。
今回の新型ヴィオスは、ASEANだけでなく世界中に輸出することを前提に開発されており、タイで生産する13万台のうち、自国のタイでは8万台強を販売、残り4万台強は世界80ヶ国に向けて輸出していくという。
ヴィオスは“ヴィッツのセダン版”ということだったので、日本でいうカローラなのかと思ったら違った。日本のカローラもヴィッツ系のプラットフォームをベースに作られた4ドアセダンだが、カローラはあくまでもカローラであり、新興国向けのヴィオスは違うクルマであった。
ただ、4,410mm×1,700mm×1,475mmというボディサイズはカローラよりもやや大きいくらいのサイズで、見た目の豪華さはカローラを超えており、これならば相当に売れそうな勢いを感じた。
三菱 コンセプトG4
ヴィオスと並ぶ注目車が、三菱の「コンセプトG4」。
ミラージュのプラットフォームをベースとした4ドアセダンだが、見た目の質感などはミラージュとは大きく異なり、ひとクラス上のセダンを思わせる出来だ。
ミラージュそのものは昨年のバンコクモーターショー2012で発表され、今年2月末までに5万台弱を販売してエコカーのトップブランドへと成長している。バンコクの街中でも結構良く見かけたが、バンコクよりも地方の主要都市でさらに良く売れているという。
タイでは昨年、エコカーを初めて購入するユーザーに対して補助金が支給されたため、ミラージュの需要が特に大きく膨らんだようだ。ただ、タイやASEAN各国では、ハッチバックよりも4ドアセダンに対するニーズが強いため、ASEANを中心に世界で販売するコンパクトセダンとして「G4」が開発された。
コンセプトカーということで詳細なデータは発表されず、軽量コンパクトなエンジンに副変速機付きのCVTを組み合わせて搭載することなどが発表されたのにとどまっている。
“モータリゼーションが爆発を始めた”タイの自動車事情
タイには早くから日本の自動車メーカー各社が進出していて、日本車が高いシェアを占めている。日系のサプライヤーもたくさん進出しているので、部品供給の面からも東南アジアで最も自動車生産に適した国になっている。
また、タイ政府は“タイをアジアのデトロイトに”というスローガンを掲げるとともに、小排気量で一定以上の燃費を実現したエコカーに対する投資減税や購入補助制度などを実施したので、日産、三菱、ホンダ、スズキなどがこれに対応したクルマを開発し、市販している。
2011年度には80万台ほどの売れ行きだったが、2012年には初のエコカー補助金(最大10万バーツ)が支給されたため、一気に販売台数を伸ばして歴年で140万台、年度では150万台に達したものと見られている。
タイは今、まさに“モータリゼーションが爆発を始めた”という印象であり、このエコカーブームのために世界でも有数の深刻さと言われるバンコク市内の渋滞がさらにひどくなったと言われている。
また販売の内容を見ると、従来はピックアップトラックの販売比率が多かったが、2012年にはエコカー補助金の追い風を受けて初めて乗用車がピックアップトラックを上回る売れ行きとなった。
補助金は2012年12月で終了したため、2013年には再びピックアップトラックが逆転する可能性が高いという。
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