三菱 エクリプス クロスの魅力を人気モータージャーナリストが語る【徹底分析・嶋田 智之編】(1/4)
- 筆者: 嶋田 智之
- カメラマン:小林 岳夫
三菱 エクリプス クロスの魅力を2人の人気モータージャーナリストが語る
2018年3月のデビュー以来、国内外からの評価を集める三菱のコンパクトSUV“エクリプス クロス”の魅力を存分に語る第二弾。今回はモータージャーナリストの嶋田 智之さんが徹底評価する! 「コンセプト・デザイン」「使い勝手」「ドライブフィール」そして「総評」と4項目のテーマごとに、わかりやすくも鋭い論調で、三菱エクリプス クロスのすべてを紹介していく。
エクリプス クロス徹底分析【その1】 ~コンセプト、そしてデザインを評価する~
最初の項目は、三菱 エクリプス クロスとはまずどういうクルマなのかについて、コンセプトの狙いやデザインの目指すポイントなどを、モータージャーナリスト嶋田 智之がわかりやすく徹底分析する。
嶋田 智之はこう感じた~コンセプト・デザイン編~
かつてのスペシャルティ・クーペの名前が時を越えて復活
かつて、“エクリプス”という名前のスポーティなクルマがあった。そのスペシャルティ・クーペは走りのパフォーマンスもなかなかのものだったし、何よりもスタイリッシュで、当時の(僕を含めた)若者達にとって、ちょっとばかり刺激的な存在だった。
そして時を超えて復活した“エクリプス”の名前には、クロスオーバーSUVを意味する“クロス”が加わっている。“エクリプス クロス”、である。
白状するなら、最初は「あの流麗なクーペの名前がSUVに……?」と釈然としないような感じもあった。周囲の仲間数人もわりと似たようなことをいっていたから、これはおそらく世代の成せるワザ。自分達の中に古い感覚が残っていた、ということだろう。
文句なしにカッコいいと言えるスタイリング
けれど実際に“エクリプス クロス”を前にしてみたら、不思議とすんなり納得できてしまったのだ。いや、不思議なこともないか。SUVがセダンやステーションワゴンに代わって乗用車の新たなスタンダードになりつつあるという理屈もさることながら、そのスタイリングがしっかりとクーペであり、それもスペシャルティというべき存在であることがはっきりと伝わってくる凝ったデザインがなされていたからだ。
この種のクルマには大きな顔ばかりが印象に残るものが少なくないけれど、“エクリプス クロス”は違う。フロントにはフロントの、サイドにはサイドの、リアにはリアの表情があって、それらが矛盾も違和感もなく綺麗にまとまっている。サイドからリアに向かってキックアップしていく鋭いキャラクターラインと前後フェンダーの筋肉質な膨らみの融合。ハイマウントストップランプを組み込んだガーニッシュを配してウインドーを上下2段に分け、2枚刃スポイラーのような印象を漂わせながら後方視界を確保するハッチゲート周りの処理。ルーフスポイラーの奥に格納されたワイパー。いたるところにデザイン陣のこだわりが見え隠れしている。
おそらく生産の現場やコスト管理の担当者は天を仰いだことだろうが、おかげで他の何にも似ていない唯一無二のスタイリングが世に出たわけだ。その姿は、なかなか刺激的。走ってるところを遠目に見たときなど、前傾姿勢のランナーが刻々と表情を変えながら疾走していくかのようで、その躍動感に素直に「カッコイイじゃん!」と思わされた。
インテリアは、ダッシュボードからコンソールまでが安定感のある“T”字型で、膝元からドアのアームレストまでを回り込むようにしてドライバーパッセンジャーそれぞれのエリアをシルバーで囲っている。“ここはあなたのための指定席です”とそれとなくうながされてるようで、ちょっと気分がいい。人は特別扱いのようにされると、やっぱり嬉しいものなのだ。
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