メルセデス・ベンツ 新型Aクラスセダン海外試乗|オーソドックスな4ドアセダンがデビュー(2/3)
- 筆者: 今井 優杏
- カメラマン:メルセデス・ベンツ日本
AIのディープラーニングでMBUXは格段に進化
さらに、今回の新型Aクラスには、ご存知の通り車載型AI「MBUX」が搭載されている。この減価償却という意味でも、MBUXが標準装備とされるAクラスシリーズの販売台数拡大は絶対条件なのだ。
さて、話がMBUXに及んだので、実際にシアトルでの試乗の際、テストすることが出来たアメリカ版MBUXに関しての感想を述べておこうと思う。
今年5月にクロアチアで開催された新型Aクラスの試乗会に用意されていたMBUXは欧州英語対応モデルであった。
この様子はすでに私が個人的に開設しているYoutubeでも公開しているが、言語認識力に関しては自らの英語力をコテンパンに打ちのめされる結果となったものだ。何度話しかけても「よくわかりません」と返されてしまう。
翻ってアメリカ版は、何故かとっても相性がいい! 何を言ってもレスポンスよく理解してくれるし、その返答も芯を喰っていて、コミュニケーションの手応えを存分に感じられる結果となった。
この事例に関して、現地担当エンジニアに確認したところ、それはプロバイダの差だと思う、との返答を得られた。また余談だがこのMBUXチームは同社エンジニアチームとしては異例に若く、そしてかなりフレンドリーだったのも印象的だ。プライドが高く自分のプロダクトに関しての意見は頑として譲らない、ドイツ職人的な自動車チームとはあきらかにキャラクターを分けていて、それも興味深い点だった。
実はこのMBUX、メルセデス・ベンツオリジナルのシステムではあるのだが、音声認識システム自体はサプライヤーに依存している。現在、音声認識システムをサプライしているメーカーはさほど多くない。同社のパートナーはグローバル展開をしている2社で、欧州版英語はニュアンスコミュニケーションズ社、北米版英語はサウンドハウンド社だ。
そして開発チームは、私(筆者)とサウンドハウンド社のそれの相性が良かったということではないか、と答えてくれたのだ。
しかし、こうとも考察出来る。
MBUXはクラウドシステムでもデータを収集し、日々学習している。今年5月、我々にお披露目された欧州版の公開から、9月末までの米国版発表までに、ものすごい勢いでAIが学習したのではないだろうか。
先日、日本語版MBUXを、限られたシチュエーション上ではあるがテストしてみた。オンラインにもなっておらず、車載バージョンのみの公開ではあったからきちんとした評価も出来ないほどの環境下だったのだけど、正直に言えば「う~ん」といった感じだった。しかし、この欧州版~米国版の言語認識能力の向上を進化と捉えるべきならば、使えば使うほどに賢くなっていく、そしてそのスピードは我々の想像を絶するはず。かなり期待したい。ちなみに、日本の言語認識ソフトはニュアンスコミュニケーションズジャパンが担当する。
ちなみに、この試乗会において、MBUXを含めたメルセデス・ベンツのIT部門の新オフィスが我々にもお披露目された。それが何を隠そう、第二のシリコンバレーと言われ、数々のIT企業ひしめくシアトルの中心部にあるのだ。同社としては、他IT企業との連携や、また肌感でのITトレンドを知るために、そして優秀な人材を獲得するために、おそらくこの地をオフィスに選んだのだろう。
この試乗会ほど、自動車業界に押し寄せている50年に一度の大変革期の波を身をもって感じたことはなかった。
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