メルセデス・ベンツ A 45 AMG/CLA 45 AMG 試乗レポート/今井優杏(2/2)

メルセデス・ベンツ A 45 AMG/CLA 45 AMG 試乗レポート/今井優杏
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スポーツモードで、激しく乗り倒しても平均燃費は8.3km/Lを記録

メルセデス・ベンツ

一般道では試乗車を3台連ねてハイスピード・カルガモ走行をしたのだが(なんじゃそりゃ・笑)、先行車のサスペンションがとにかく繊細によく動く。こんだけ動いたらさぞかし乗り心地がいいだろうと傍目にも解る細やかさだった。

もちろんAMGだからしっかりと締まったアシは健在。しかしお世辞にも美しいとは言えないドイツの一般道、とりわけ継ぎはぎだらけのでこぼこ道でも入力はきっちり拾いつつも底付き感は皆無で、まったくもってゴツゴツしないから、不快な感じがしない。角の取れた上質な硬さを堪能出来る。

速度無制限区域ではなおのこと、なんと200km/h巡航をしても疲れない。

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さすがメルセデス、と思うのはこういうところからも由来する。スポーツモデルでも普通に居住性がイイ。

また、ステアフィールも至極素直。右へ左へ激しく操舵してもきっちりラインをなぞってくれる。慣れない道に戸惑って、多少ハンドルを切り遅れたときだって、切り足し分だけきっちり反応するのは心強い。

CLA 45 AMGとA 45 AMGには従来のFRベースの四輪駆動システムではなく新しいFFベースの可変トルク配分型四輪駆動を採用しているのだが、普段は効率を高めるために前輪で駆動し、車速/横と前後方向の加速度/ステアリング舵角/全ホイール回転速度差/使用ギア/ペダル踏力により前後トルク配分を50:50まで無段階に配分することで急発進・急加速の多い試乗ステージでも驚くほどなめらかな挙動を実現している。

メルセデス・ベンツ
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一番驚いたのはせっかくの試乗を心行くまで楽しもうとスポーツモードに設定し、のべつまくなし踏みまくり、激しく乗り倒したにもかかわらず、平均燃費が8.3km/Lを指していたこと!

確かにこのふたつのAMGモデルはすでにユーロ6に適合し、さらに2017年に施行される粒子数規制にもいち早く対応しているのだが、なるほど納得だ。繰り返すようだがエコモードでの数字ではない、その踏み心地がちゃんとスポーツだったことがスゴイのである。

このターボは相当にどっかんタイプなので、心の準備もないままにいきなり踏むと低い回転域から突然、加速Gに身体を押し付けられるくらいの弩級トルクが出ちゃうんだけど、燃費面での功労は素晴らしい。

しかもパワーとエコ、きちんと仕事を両立してくれているのだった。

普通のクルマでは恐怖を感じて運転出来なくなっちゃうかも

メルセデス・ベンツ
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そして一般道での試乗を終え、到着したサーキットに用意されていたのはA 45 AMG 4MATIC Edition1という特別仕様車だった。

見るからに生意気色全開!専用エアロパーツはちっちゃいカナードやリアスポイラーまで備えた本格派だ。ボンネット/ルーフ/サイドには専用のデカールで装飾されている。

また、通常はAMGでもオプション設定となる超薄型スポーツシートが入り、ガングリッップ形状のパフォーマンスステアリングも装着されていた。

カラーリングもなかなか可愛い。エアインテークの内側だけ赤く塗られているところなんて、全部を赤一色に塗るよりも愛らしい。

ドイツ製アバルトみたいなポップさ、キャッチーさがAクラスというクルマのキャラにも合っていると思う。

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こちらもエアロパーツによる空力が良い仕事をしていた。この実力は見た目だけじゃない。 比較車両としてA250シュポルトが用意されていたが、事実このシュポルトだけ乗れば普通の領域では充分楽しい。

ぐいぐい攻められるし限界も高く、なによりしっかりときめ細やかに張り巡らされた電子制御が、ドライバー側の限界をも高めてくれるイメージ。

しかしA 45 AMG 4MATIC Edition1はさらに上を行く愉快さを持っていた。コーナーを一つ越えるごとに攻める領域を目に見えて上げて行くことが出来る。

つまりドライブがどこまでいっても破綻せず、破綻どころか速度を上げた方が安定するような錯覚さえ。

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ぴたっと路面に張り付くコーナリングはこちらも電子制御のおかげで挙動を乱すこともない。さらに言えば、まったく安定しているために、速度がそれほど出ていると思えない、怖さが微塵もないのである。

こんなクルマでサーキットに慣れてしまったらどうしよう、と思う。普通のクルマでは恐怖を感じて運転出来なくなっちゃうかも、と。

そういう意味で言えばこのふたつのAMGは絶対的に運転が上手な人、普段からチューニングしたマッチョなクルマでガツガツ走りまくっている層の人々には物足りないかもしれないと感じる人もいるだろうが、こういう考え方も出来る。

今回ゲストドライバーとして登場したルイス・ハミルトンは、サーキット走行の先導車として用意されていたSLS AMGとA 45 AMG 4MATIC Edition1を同じようにドライブし、なんとそのタイム差は4.5秒に詰まっていたという。

F1ドライバーをも熱くさせる速度域を持っているのだ、我々の領域でならなおのこと。

ちなみにハミルトンの弟はこのA45 AMGを気に入って1台購入したというのが取材こぼれ話だ。

ちなみに実はAMGの大市場である日本。ドイツに次いで世界第2位のシェアを持っているという。というわけで、この特別仕様車A 45 AMG 4MATIC Edition1も間違いなく導入されるはずだから、人と違ったクルマが欲しい人は是非ご期待願いたい。

A45 AMGは近いうちに、CLA45 AMGは盛夏までに導入されると推測しておこう。

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今井 優杏
筆者今井 優杏

自動車ジャーナリストとして、新車や乗用車に関する記事を自動車専門誌、WEBメディア、一般ファッション誌などに寄稿しながら、サーキットやイベント会場ではモータースポーツMCとしてマイクを握り、自動車/ モータースポーツの楽しさ・素晴らしさを伝える活動を精力的に行う。近年、大型自動二輪免許を取得後、自動二輪雑誌に寄稿するなど活動の場を自動二輪にも拡げている。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。記事一覧を見る

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