日本版コンシューマレポート-マツダ プレマシー ユーザー試乗レビュー-(4/6)

日本版コンシューマレポート-マツダ プレマシー ユーザー試乗レビュー-
新型プレマシー エクステリア 新型プレマシー 走行イメージ 画像ギャラリーはこちら

プレマシーのユーザー評価・レビュー/ドライビング

「プレマシー」の命は、走りだ。

そのため、試乗の際のプレゼンでは、各種テストのグラフを織り交ぜて「機械工学の授業」のようだった。これはいかにも、マツダらしい。

最近、他メーカーではこうした傾向が極端に減った。特に日産で目立つが、「これって、ファッションメーカーのプレゼン?」と思えるような、マーケティング戦略の話になることが多い。

対するマツダのプレゼンは、「クルマ屋」の色合いが強い。ということで「プレマシー」、この「走りの項目」は長めの構成となる。ご了解頂ければと思う。

まずは、面白いデータから見て頂きたい。

設問「試乗後のイメージが変わったか?」で、「変わった」が55%、「同じ」が45%。

本連載で初めて、この設問の回答で「変わった」が「同じ」を超えた。

では、その「変わった」と回答した方のコメント、さらには「試乗後の感想」グラフを、合わせてご覧頂こう。

試乗後のイメージが「変わった」と答えたユーザーのコメント

・すごく運転がしやすかったです。3列ある車だけど、意外と小回りがききました (埼玉県 ひろさん)

・ミニバンであるので、重たい走りを余儀なくされるかと思ったが、ミニバンであることを忘れさせてくれる軽快な走りは刺激的で、とても楽しくドライブすることができた (福井県 シモムラさん)

・思っていたよりも、身体への負荷が少なく乗りやすかった (新潟県 ヒロサワさん)

・ハンドルの操作性は切った感じに対して、ゆっくりと反応する印象です。ホイールベースの問題でしょうから、安全には問題ありませんが、スポーティなモデルではありません。インテリアは先代モデルとどこが変わったの?というほど大きな変化は感じませんでした (千葉県 だいのすけさん)

・平均的な車と思っていたが、最近のCVT採用の多い中でのAT仕様はなかなか力強くて好印象だった。取り回しもサイズの割にはよかった。シフトはマニュアルモードの+-がマツダだけ前後逆なので非常に違和感があった (静岡県 cordiaさん)

・思ったよりもハンドル操作がしやすかった (福井県 マッキーさん)

・思ったよりも、後ろのスペースが狭く感じました (埼玉県 とむさん)

・運転してみて、以前のプレマシーよりもトルクが無く感じられた。i-stopはエアコンをつけていたり、外気温と内気温の差があるとバッテリーの保護のために反応が鈍くなる傾向にあることがわかり、時期によっては省燃費の恩恵が受けられないのが良くわかった (福島県 グーぴこさん)

・車体がもっと大きいと思っていました (京都府 シンさん)

・座席をいっぱいに上にあげても、自分の座高では運転席前方下の視界が余り良くありません (埼玉県 バンさん)

・運転がし易い (大阪府 ヤマグチさん)

・今までのマツダ車に比べてハンドルのシャープさが少しなくなっており、軽快感が薄いように感じた。しかし、ミニバンとしての性格を考えるとこれくらいのセッティングのほうが好ましいのかもしれない (福井県 ヒガシタニさん)

・乗る前より少しスポーティ感が薄れた気がします (千葉県 ゆーこさん)

・すごく乗り心地がよかったです (愛知県 コウムラさん)

・大きさの割りに軽さを感じる。i-STOPは予想以上によさそう (兵庫県 オカバヤシさん)

・5ATの切れがいまいち、シフトショックが大きい (愛知県 sue194さん)

・2リッター直噴エンジンはボディの重さに対して頼りなく、2名乗車であってもちょっとした加速の際にDレンジで4000rpm以上を使うことが頻繁にありました。スロットルバルブはほぼ全開になっているようなレベルだと思います。定員近くの乗員になるとさらに250kgぐらい増えるので、2.5Lぐらいは必要でしょう。乗り心地は2名乗車では落ち着きがなく、多人数を前提に設定しているように感じました (兵庫県 GONTAさん)

以上のデータを見て、注目点は大きく2点ある。

第一に、ポジティブ(良い方向)な点は、「リニアな統一感」。これは、マツダが徹底的に拘った点だ。マツダ側の先代「プレマシー」の評価は、「乗っていて楽しいが、やや扱いにくい」「女性などから使いづらいとの声あり」「ドイツのアウトバーンで、ステアリングでの高速安定性に気をつかう」などだった。

それらをカイゼンし、目指したのは「走る、曲がる、止まる、ステアリングを切るなどの動作、挙動、操作の全てがリニアに感じること」。それを、ヨーロッパ車の重厚な乗り味でなく、マツダらしい軽快さで表現することだ。

具体的には、減速から旋回、旋回から加速、その途中の段階での横G変化が自然につながるようにした。技術的には、サス取り付け部、スライドドアの取り付け部分、ゲート開口部の剛性アップ。さらに、前後の空力バランスを修正。

実験ではテスト乗車員のカラダの筋電図をとり、緊張の度合いを測った。すると、前モデルではカーブで、かなり緊張して落ち着く。新型では、滑らかに緊張して徐々に落ち着いた。

さらに、ステアリングの操作感も拘った。

前モデルでは、切りはじめが重く、切り込んでも感触が薄かった。新型では、切り始めに確かな感触があり、切り込むとリニアな手ごたえ感がある。これは、ステアリングの支持部樹脂のカイゼンが影響した。

こうして文字で書くと面倒くさい。だが、実際の走ると、ユーザーのコメントのように「走りやすい」と素直に思える。こうした、先代から飛躍した「走りやすさ」。アメリカのマツダ開発陣も、テスト車両の初ドライブの時に「そうそう、これこれ。求めていたのは、これだ」と絶賛した。

新型プレマシー 走行イメージ

第二に、ネガティブ(否定的)な点。

上記グラフで「エンジンパワーが物足りなかった」が32.3%もある。これは、エンジン本体が問題ではなく、アクセルの制御方法にある。

前モデルでは、アクセルを少し強めに踏んだだけで、最大加速度Gがかかった。そして、さらに踏み込んでも加速感が頭打ちとなった。そこで新型では、アクセルペダルの踏み込み量によって、リニアな加速感となるよう制御した。

だがそれが逆に、アクセルへの違和感として捉えられている。一般路の短時間での試乗では、アクセルを思い切り踏むチャンスは少ないため、「出足が悪い」と思ったユーザーがいたのだろう。

また、筆者がある程度の高いスピードで走行させた場合でも、3速時でのアクセルレスポンスなどで「もう少し、出足が良くてもよいのでは?」と思った。燃費との兼ね合いがあると思うが、スポーティがウリの「プレマシー」だけに、「ややカイゼンの余地あり」だ。

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桃田 健史
筆者桃田 健史

日米を拠点に、欧州、BRICs(新興国)、東南アジアなど世界各地で自動車産業を追う「年間飛行距離が最も長い、日本人自動車ジャーナリスト」。自動車雑誌への各種の連載を持つ他、日経Automotive Technologyで電気自動車など次世代車取材、日本テレビで自動車レース中継番組の解説などを務める。近著「エコカー世界大戦争の勝者は誰だ?」(ダイヤモンド社)。1962年東京生まれ。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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