これが市販車!? ニュル最速の4ドアサルーンは600PS! ジャガーXE SV PROJECT 8

  • 筆者: 松田 タクヤ
  • カメラマン:松田 タクヤ

ジャガー史上最高のパフォーマンスは最高出力600PS/700N.mを発揮!

「ニュル最速!」最高のパフォーマンスを備えた車だけが謳えるキーワードとして、あまりにも有名な称号だ。ご存知の方は大勢いると思うが、改めて「ニュル最速」の事についておさらいしておこう。

自動車業界での「ニュル最速」とは主に「ニュルブルクリンク(Nurburgring)北コース最速」を指すことが多い。多いというか、ココの事だと思ってほぼ間違いない。

ニュルブルクリンク北コースは、ドイツ北西部のラインラント=プファルツ州アイフェル地方にあるニュルブルク城を囲むようにして、1927年に作られたクラシックコースの事である。

高低差があり変化に富んだ全長約20キロの過酷なコースは「スポーツカー開発の聖地」とも呼ばれ、このニュルブルクリンク北コースでの最速ラップタイムは、世界的にも秀出たハイパフォーマンスカーであることを示す「称号」となっている。

さて、良く聞く「ニュル最速」という言葉だが、「4WD ニュル最速」や「FF ニュル最速」などカテゴリー別に分けられる事があり、ひとえに「ニュル最速」と言ってもたくさんの車が存在するという訳だ。なんとも紛らわしい…。

今回紹介するジャガー「XE SV PROJECT 8」は、「市販4ドアセダン ニュル最速」の記録を更新したロードカーである。

2017年12月に行われた「レンジローバー ヴェラール」の試乗会に参考出展されており、実車をお目にかかる機会があったので紹介していこうと思う。

>>ジャガー XE SV PROJECT 8の詳しい画像を見る!【画像35枚】

4ドアセダンでありながら、「フェラーリ エンツォ( Enzo)」より速い!

ジャガー XE SV PROJECT 8は、2017年12月1日から開催されていたロサンゼルスオートショーにて世界初披露された4ドアスポーツサルーンだ。

ジャガーのカスタマイズ部門である、スペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)が、「世界で最も刺激的なスポーツサルーン」を目指して、デザインやエンジニアリング、組み立てまで全てを手掛けており、世界限定300台が手作業で生産されている。

最高出力600PS、最大トルク700N.mを発生する 5リッターV8 スーパーチャージドエンジンをフロントに搭載し、4輪を駆動する。ニュルブルクリンク北コースにおいて7分21秒23という記録を樹立した。

この記録は、フェラーリのスーパーカーである「エンツォ( Enzo)」のラップタイムよりも4秒近く速い記録になる。もちろん、ジャガー史上最速の市販車だ。

0-100キロ加速3.7秒、最高速度322キロの圧倒的な動力性能

ジャガー XE SV PROJECT 8は見た目からして普通のモデルとは一線を画す。

停止状態から時速100キロまで加速するのに必要な時間は僅か3.7秒。最高速度である322キロの超高速域でも優れた空力性能を実現するため、調整可能なフロントスプリッター、大型の開口部を備えたエアロボンネット、リアディフューザー、大型のリアウィングなどを装備している。

この全ての空力パーツに軽量なカーボンファイバーを使用し、フロントスプリッターとリアウィングは調整式。ダウンフォースと抗力のバランスを細かく調整できるようになっており、時速299キロの領域でリアウィングにかかるダウンフォースは実に122kgにも及ぶ。

車両重量は公表されていないが、ジャガー独自の軽量なアルミニウム構造とあいまって、重量を最小限に抑えているという。

6POTカーボンセラミックブレーキと、0.2秒でシフトチェンジする8ATを採用

ジャガー XE SV PROJECT 8の駆動方式は全車AWD、トランスミッションには8速オートマチックトランスミッションを備える。

0.2秒でシフトされるトランスミッションは、まさに電光石火のレスポンス! もちろんパドルシフトを備えているので、ステアリングから手を放すこと無く操作可能だ。

電子制御されたリアディファレンシャルとトルクベクタリングバイブレーキは、優れたコーナリング性能を発揮しながらも、ドライバーが求める操作性を妨げることはない。

あくまでもドライバーをサポートするように設計されているので、違和感のないドライブを可能にしながら、思いのままに操ることが可能だという。

2/4シーターを選択可能 2シーターのトラックバージョンは超スパルタン!

ジャガー XE SV PROJECT 8は全車左ハンドル設定となるが、シートは2シーターと4シーターから選べるようになっている。

写真のモデルは2シーターのトラックバージョンとなるため、見た目からしてレーシーな雰囲気がプンプン漂う。

カーボンファイバー製のレーシングシートを4点式のコンペティションハーネスで固定。リアシートの代わりにはロールケージが張り巡らせており、マルチポイントハーネスのリテンションフープを設置している。

4ドアサルーンなのに2人しか乗れず、大きな荷物を積むこともできない…。一体この仕様を買う人はどれだけいるのだろうか? と思ってしまうほどスパルタンな仕様だ。試しに筆者も座ってみたものの、乗り降りはしづらく身体がガッチリと固定されるため快適とはほど遠い。

反面、公道仕様4シーターのXE SV PROJECT 8は、オイスターコントラストステッチを施したエボニーレザーシートを4席に装備。 特にフロントには軽量マグネシウムフレームを用いたパフォーマンスシートが装備されるこだわりよう。

公道仕様のXE SV PROJECT 8であれば、普段使いから長距離ドライブ、更にはサーキット走行に至るまで難なくこなせるだろう。

より”自分らしく”エクステリアのカスタマイズが可能!

エクステリアのカラーはスタンダードの3色に加え、5色のSVOプレミアムカラーをオプションで選択できる。

さらに世界にただ1台のモデルを希望するオーナーには、Bespoke by SVOエディションが用意される。

これは、 合計1万色のボディカラーとアクセントカラーに加えて、レース仕様のデカール、ペインテッドブレーキキャリパー、コミッショニングプラークなど多彩な選択肢から選ぶことができ、まさに自分だけの特別なXE SV PROJECT 8を仕立てることが可能となっている。

2018年1月現在、日本に割り当てられた8台は完売となってしまっているが、全世界300台のうちから追加で取り寄せることが可能だ。

ただならぬ雰囲気を醸し出し、卓越したパフォーマンスを実現しながら普段使いにも十分耐えるXE SV PROJECT 8。僅か2ヶ月のうちに無くなった日本の8台のことを考えると、全世界に残っている分も早々に無くなってしまうことが予想される。

少しでも気になった方は、今すぐジャガーディーラーに問い合わせすることを強くオススメする。

[Text/Photo:松田 拓也(オートックワン編集部)]

ジャガー XE SV PROJECT 8の詳細スペック

・受注開始日:2017年11月17日(金)

・エンジン:5.0L V型8気筒スーパーチャージド・ガソリンエンジン

・最高出力:600ps/最大トルク:700N.m

・最高速度:約322km/h

・0-100km/h加速:3.7秒

・ボンネット、バンパー、フェンダー、サイドスカート、フロントスプリッター、リヤウィングにはカーボンファイバー製を使用

・公道仕様と、15mm低いサーキット仕様の2種類の車高を用意

・サーキット仕様(トラックバージョン)には、カーボンファイバー・レーシングシートをオプションで選択可能

・ 調整可能なディープフロントスプリッター、大型のリヤエアロウイングを装備

・フロント6ピストンキャリパーと400mmの大径カーボンセラミックディスクを備えたブレーキシステム

・インテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス(IDD)搭載のAWDシステム

・車両本体価格(消費税込み):21,810,000円

ジャガー XE SV PROJECT 8の関連リンク

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新車価格:
599万円815万円
中古価格:
119.8万円551.9万円

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筆者松田 タクヤ
樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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