お手頃ハイブリッドカー徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂幸正
タウンスピード領域で強みを発揮
ボディサイズは3900mm×1695mm×1525mmという、4mを切るコンパクトサイズ。
車両重量は1130kgと、ハイブリッドでないベース車よりも120kg重いが、今回の中では最軽量となる。一見シンプルに見えるボディパネルは無数のラインが入れられており、陰影もあり意外と表情豊か。
ベース車も同様だが、マイナーチェンジで空力を意識し、フロントフェンダーの形状が見直され、開口部の小さいバンパーが与えられるなどした。
エクステリアにおいて、写真のフレッシュライム・メタリックが専用色として設定されているのは一目瞭然ながら、ハイブリッド専用という部分はあまりなく、専用のメッキ+クリアブルー塗装を施したヘッドライトやフロントグリルが与えられている程度にとどまる。
インサイトと同じ1.3リッターi-VTECエンジンとIMAを組み合わせたホンダ独自のハイブリッドシステムにより、インサイトと同一の30km/Lという10・15モード燃費を達成している。
走行感覚としては、インサイトよりも軽量であるため、モーターアシストする感覚を抑え、燃費を稼いだ印象。タウンスピード領域では、加速は同等、燃費は微妙にインサイトよりもいいように感じられる。
トールボーイスタイルであるため重心はやや高めであるものの、姿勢変化は比較的小さく抑えられている。ややOEM装着タイヤが固いエコタイヤながら、車両重量の増加が幸いしてか、乗り心地にはそれほど不快な印象はない。
パワートレイン系の遮音がゆきとどいており、静粛性は高く、インサイトに比べると、高速走行時の風切り音は微妙に大きくなるが、あまり気になるほどでもない。
当初よりも乗り心地が改善
4390mm×1695mm×1425mmと、フィットより50cm近く長く、車高が100mmも低いボディは、初代インサイトが提示した空力フォルムを受け継ぐもの。
今回の中では、プレーンな面構成のボディパネルがむしろ特徴的に目に映る。車両重量は、フィットハイブリッドよりも成人男性ひとりぶんほど重い1190kgだが、プリウスに比べるとはるかに軽い。
2010年10月の一部改良で、ボディカラーの設定が変わり、アーバンチタニウムメタリックのような新色も加わった。また、最上級のLSグレードは、これまで16インチタイヤが標準装備だったところ、15インチに変更(16インチはオプション)となり、10・15モード燃費が30.0km/Lに向上した。
走り味は、フィットよりも重心が低く、ダイレクト感があり、キビキビ感がある。
デビュー当初のモデルは、とくにリアのコツコツ感が強く、跳ね気味で乗り心地があまりよろしくなかったのだが、軽快な操縦感覚を残しつつも、乗り味はだいぶしなやかな印象となった。ステアリングフィールも従来よりもしっかり感が増しており、好ましい方向に改善されている。
動力性能面では、モーターがアシストする感覚はフィットよりも若干上となっている。
トヨタのシステムならではの特徴が多数
4460mm×1745mm×1490mmと、今回で唯一の3ナンバーボディとなる。
空力理論に基づいたエアマネジメントを追求したプロポーションは、デザイン性にも優れる。車両重量も1310~1350kgと今回の中でもっとも重い。
ただし、1.8リッターのアトキンソンサイクルエンジンと、リダクション機構付きのハイブリッドシステムTHSⅡによる動力性能は、エンジン自体のスペックは、ホンダの2台とそれほど大きな差はないのだが、モーターのスペックは大きく上回る。
昇圧コンバーター付きパワーコントロールユニットと、時速55km/h以下で最大2kmも走れるEVモードなど、トヨタのシステムならではの特徴を持つ。発進から力強いモーターが生み出すトルクによる動力性能は、2.4リッターなみとトヨタが表現するとおり。
エコモードだけでなく、逆にパワーモードを設けている点も、ホンダ勢との違い。エンジン排気量が大きいことが、高速巡航での余裕につながっている。
リアがディスクブレーキとなるのもホンダ勢との違いで、回生ブレーキのフィーリングは、低速では少々貼り付く印象は大きめではあるが、それほど問題ではない。
ハンドリングは、従来のプリウスに比べるとしっかり感が格段に向上しているものの、キビキビとした走り味のホンダの2台に比べると、プリウスは動きがおっとりした印象だ。
乗り心地は、重さをカバーするため、やや固めになっているが、15インチタイヤを履き、上級仕様のアッパーマウントが与えられるGグレードが、プリウスの中ではもっともよい。
総評
10・15モード燃費の公表値は、フィットハイブリッドとインサイトの15インチ車が30.0km/L、プリウスがベースグレードとなるLが38.0km/L、GとSは 35.5km/Lと、一歩抜きん出ている。今回、厳密なものではなく、あくまで傾向として参考にしていただければと思うが、各項で積算燃費として表示された、計測結果は以下のとおり(すべて標準モード、エアコン25度フルオート、オートライトオンに設定)。高速道路を現実的な流れに乗りつつ走行ではフィットハイブリッド20.7km/L、インサイト21.2km/L、プリウス24.5km/L。ややペースが高めの郊外ではフィットハイブリッド14.8km/L、インサイト14.9km/L、プリウス20.6km/L。アップダウンのある曲がりくねった道ではフィットハイブリッド10. 6km/L、インサイト10.1km/L、プリウス14.6 km/L。渋滞を含む市街地ではフィットハイブリッド16.9km/L、インサイト16.2km/L、プリウス27.2km/L。高速道路を、やや燃費を意識した巡航ではフィットハイブリッド23.7km/L、インサイト23.5km/L、プリウス26.8 km/L。
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