ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX どっちが買い!? 徹底比較

新型タントは大人気のN-BOXに勝てるのか!? 新型タント vs N-BOX

今の日本で、最も好調に売れているカテゴリーは、全高が1700mmを超える背の高い軽自動車である。運転がしやすく、高い天井によって空間効率も優れているから、4名で乗車しても快適だ。後席側のドアはスライド式だから、狭い場所でも乗り降りしやすい。

これらのメリットにより、全高が1700mmを超える軽自動車は、子育て世代を筆頭に実用性を重視するユーザーの間で人気を高めた。その結果、2019年上半期(1~6月)の国内販売ランキングは、総合1位がホンダ N-BOX、2位はスズキ スペーシア、3位はダイハツ タントになった。いずれも全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車だ。

この中のダイハツ タントが2019年7月にフルモデルチェンジを受けた。最強のライバル車となる販売ナンバーワンのホンダ N-BOXと比べたい。

>>新型タントとN-BOXの内外装を画像で比較[24枚]

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|ボディスタイル/サイズ/視界/取りまわし性比較

ボディサイズはほぼ同じだ。軽自動車だから全長の3395mmと全幅の1475mmは等しい。全高はタントが1755mm、N-BOXは1790mmだから、N-BOXが35mm上まわる。

ホイールベース(前輪と後輪の間隔)はタントが2460mm、N-BOXは軽自動車で最長の2520mmになり(ホンダのNシリーズは全車が同じ数値)、ボディの四隅にホイールを配置した。

外観は両車とも水平基調のデザインで、視界が優れている。今のクルマは日本車、輸入車を問わず後方視界が悪化したが、この2車種は周囲が見やすいから安全だ。

最小回転半径は、タントの14インチタイヤ装着車が4.4m、15インチは4.7mになる。N-BOXは14インチが4.5mで15インチは4.7m、さらに4WDは14インチも含めて4.7mに拡大する。小回り性能はタントが優れている。

勝者:タント

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|内装のデザイン/質感/操作性/視認性比較

内装の質感は互角だ。異なるのはメーターの形状で、新型タントはデジタル式をインパネ最上部の奥まった位置に装着した。N-BOXはアナログ式をタントと同じく高い位置に配置する。

視認性は互角だが、N-BOXはアナログ式とあってメーターパネルの上下幅が厚く、小柄なドライバーは前方に圧迫感が生じる場合もある。タントが少し機能的だ。

勝者:タント

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|前後席の居住性比較

全高が1700mmを超えるボディで、両車とも車内は広い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、スライド位置を後端に寄せると新型タントが握りコブシ4つ弱、N-BOXは4つ少々になる。N-BOXが少し広いが、新型タントでも十分な余裕があり広さは互角だ。

シートの座り心地は、タントが新型になって改良した。先代タントの後席は、柔軟性が乏しく、床と座面の間隔も不足して足を前方へ投げ出す座り方だった。新型タントは、そこを改めて快適になった。

ただしN-BOXの座り心地には届いていない。後席の背もたれの下側(ズボンのベルトが当たる付近)は、もう少し入念に造り込みたい。先代型が硬いといわれたためか、新型は柔らかくなり過ぎた印象がある。

N-BOXのシートにはボリューム感があり、路面からの振動を吸収する能力も高い。軽自動車のシートでは最高水準で、乗り心地にも良い効果を与えた。

勝者:N-BOX

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|乗降性比較

両車とも後席のドアはスライド式で、乗降性が優れている。スライドドアの開口幅はN-BOXも640mmと十分にワイドだが、新型タントでは従来型と同様、左側のピラー(柱)をスライドドアに埋め込んだ。従って左側の前後ドアを開くと、開口幅が1490mmに拡大する。助手席の背面にはアシストグリップも装着され、体を捩らずに乗車してスムーズに後席に座れる。

またタントでは大きな乗降用グリップ(ラクスマグリップ)、左側の電動サイドステップもオプション設定され、お年寄りなど体が不自由な同乗者にも優しい。新型タントはワイドに開く左側のドアを含めて乗降性を向上させ、福祉車両の性格も持たせた。

新型タントは後席の左側にチャイルドシートを装着する時も便利だ。助手席を前側にスライドさせると、チャイルドシートの足元に広い空間ができるので、電動スライドから乗り込んで子供を座らせる作業もしやすい。

さらに運転席に540mmのスライド機能を備えるから、後方に寄せると、助手席の脇を通って運転席に着座できる。雨が降っている時などに便利だ。

勝者:タント

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|荷室比較

荷室の容量は両車とも十分に確保した。後席を畳めば、自転車も積める。その上で両車を比べると荷室はN-BOXが使いやすい。N-BOXは燃料タンクを前席の下に搭載して、荷室の床が低いからだ。

N-BOXではリアゲート開口下端部分までの地上高が470mmに抑えられ、新型タントの580mmを大幅に下まわる。自転車を積む時に前輪を大きく持ち上げる必要がない。

勝者:N-BOX

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|動力性能&エンジンフィーリング比較

車両重量は新型タント X(グレード)が900kg、N-BOX G・Lホンダセンシング(グレード)は890kgに達するから、両車ともノーマルエンジンでは登坂路などで動力性能が不足しやすい。

その上で比べると、N-BOXは幅広い回転域で動力性能を高めた。2000~3000回転付近の駆動力に余裕があり、なおかつ高回転域の吹き上がりも少し活発だ。

新型タントはプロトタイプの試乗だったが、動力性能が幅広い回転域で大人しい。タントの最高出力は52馬力(6900回転)、最大トルクは6.1kg-m(3600回転)となり、N-BOXは58馬力(7300回転)・6.6kg-m(4800回転)だ。加速感には最大トルクの違いが影響した。

ターボは両車ともに最大トルクが10kg-mを上まわり、実用回転域で発生するから、1リッターのノーマルエンジンを積んでいる感覚で運転できる。両車の優劣が分かりやすいのはターボを装着しないノーマルエンジンで、N-BOXに少し余裕がある。

勝者:N-BOX

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|走行安定性比較

先代タントは安定性を確保するために、操舵に対する車両の動きを鈍く抑えた。峠道では旋回軌跡を拡大させやすく、総じて曲がりにくい印象があった。

その点で新型タントは、プラットフォームや足まわりを刷新して安定性が底上げされ、操舵に対する反応も自然な印象だ。峠道などでも、以前ほど曲がりにくさは感じない。全高が100mm少々低いムーヴに近い感覚で運転できる。

N-BOXも現行型になって安定性を高めたが、新型タントが少し勝る。

勝者:タント

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|乗り心地比較

乗り心地は両車ともに時速40km以下の低速域では少し硬いが、この速度域を超えると、軽自動車としては快適になる。

特に乗り心地が良いのはN-BOXだ。先に述べたようにシートの造りも優れているから、乗員に振動を伝えにくい。エンジンなどのノイズも小さく抑えた。

勝者:N-BOX

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|安全&運転支援機能比較

緊急自動ブレーキは両車ともに用意され、車両に対する作動速度の上限は、新型タントが時速80km/h、N-BOXは100km/hだ。N-BOXは歩行者と衝突しそうになった時、電動パワーステアリングを制御して、衝突を避ける機能も備わる。

障害物に向けてアクセルペダルを強く踏み込んだ時に作動する誤発進抑制機能は、新型タントではエンジン出力を抑え、必要に応じてブレーキも作動させる。N-BOXはエンジン出力の制御のみだ。

運転支援機能の車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは、新型タントが全車速追従型とした。停車時まで制御が続くが、パーキングブレーキが足踏み式だから、電動式と違って長時間にわたる停車はできない。停車して2秒後には再発進してしまう。

N-BOXもパーキングブレーキは足踏み式だ。速度が時速25km/h未満に下がると、クルーズコントロールの機能が自動的に終了する。

機能的にはN-BOXをやや上回る新型タントだが、クルーズコントロールなどの運転支援機能は、ターボエンジン搭載車のみにオプション設定される。ノーマルエンジン車には装着できない。その点でN-BOXの運転支援機能は、緊急自動ブレーキとセットで、全グレードに標準装着されている。

勝者:N-BOX

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|燃費性能とエコカー減税比較

標準ボディのノーマルエンジン搭載車のJC08モード燃費は、新型タントが27.2km/L、N-BOXは27km/Lだ。

ターボはタントが25.2km/LでN-BOXは25.6km/Lになる。燃費性能は同等と見て良い。

勝者:引き分け

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|グレード構成と価格の割安感

軽自動車はライバル同士の競争が激しい。そのために全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車は、スズキ スペーシアや日産 デイズルークスを含めて、標準ボディの買い得グレードを全車が140~150万円に設定している。新型タントではX(146万3400円)、N-BOXはG・Lホンダセンシング(149万9040円)が買い得だ。

新型タントでは運転席の上下調節機能とチルトステアリングがオプションになり、クルーズコントロールなどの運転支援機能は、ターボ車でないとオプション装着できない。N-BOXのG・Lホンダセンシングはこれらを標準装着した。

その代わり新型タントは、N-BOXがオプション設定しているサイド&カーテンエアバッグ、運転席のロングスライド機能などを標準装着している。機能と価格のバランスは同レベルだ。

勝者:引き分け

ダイハツ 新型タント vs ホンダ N-BOX|総合評価/どっちが買い!?

タントは新型になって、後席の座り心地やカーブを曲がる性能など、先代型の欠点を解消した。しかし特に新しい魅力は見られない。例えばワイドに開くスライドドアを左側だけでなく右側にも装着するなど(これは相当に無理のある要求だが)、新たな注目点が欲しかった。

従って新型タントのN-BOXに対するセールスポイントは、従来と同じくワイドに開くスライドドアなどの優れた乗降性だ。新型では運転席のロングスライド機能も備わり、雨の日に子供を抱えて出かけるような場面では、利便性と快適性を向上させる。従って子育て世代のユーザーにはタントを推奨したい。乗降性が優れているから、高齢者のいる世帯も使いやすい。

一方、N-BOXは大人4名の乗車に適する。前後席ともに座り心地が優れ、乗り心地にも良い影響を与えてノイズも低減させたからだ。

つまりN-BOXはクルマの基本性能にこだわり、価値観がセダンに近い。新型タントは使い勝手を重視して、ミニバン的な価値観を備える。両車の性格と読者諸兄の使い方に応じて選びたい。実力が拮抗しており、優劣は付け難い。

勝者:引き分け

[筆者:渡辺 陽一郎]

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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