スポーティ・クロスオーバーSUV 徹底比較(2/4)
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:島村栄二
SUVらしからぬルックスと走り
日産の上級FR車用のFR-Lプラットフォームをもとに、クーペとSUVの融合を図ったボディを載せたという新感覚のSUVは、ロングノーズにアーチを描くルーフラインが斬新。スラントしたノーズだけでなく、ボディも上方に行くにつれてサイドもリアも強く絞り込んでいるため、実際の外寸よりも小さく見える。
旧来のSUVのイメージと一線を画する日本車離れしたスタイリングが、まずはこのクルマの最大の持ち味といえるだろう。
ドライブフィールは、一連のFR-Lプラットフォーム車との共通性と、SUV化されたことによる変化、後発モデルらしい洗練などが感じ取れる。
乗り心地については、ややサスペンションがストローク感に欠ける印象もあるが、デュアルフローパスショックアブソーバーを駆使するなどして洗練させたことがうかがえる。
ステアリングはクイックであるため、素早い荷重移動にも負けないためにも、足まわりはやや固めにセットアップされたようだ。
ただし、低速時には適度に軽く、高速時にはドッシリとするステアリングの操舵力は、いたって自然に変化するのでよいのだが、高速走行での微少な操舵時に反応しないところには少々違和感が残る。
SUVとしては極めて低めの車高により、重心の高さによるデメリットはほとんど感じられず、その感覚は仮にもSUVにカテゴライズされるクルマとしては異例といえる。
VQ37VHRユニットは、相変わらず全域にわたって非常にパワフル。踏めば即座に反応し、体感的には、3Lターボを積むXC60よりも速く感じられるほど。さらに、ロックアップ領域の広いATが、エンジンの能力を余さず引き出してくれる。
次世代ボルボの第一弾
ボルボというとスクエアなイメージがいまだ強い中で、そこからの脱却を図ったXC60は、次世代ボルボの第一弾として、これまたクーペとSUVを融合させたというスタイリッシュさを身につけた。
これまで100m先だったところを、200m先から見てもわかるデザインを心がけたというだけあって、エクステリアは、ボルボ伝統を受け継ぎつつ、大きなアイアンマークや、ワイドショルダーと、それを強調する縦長のLEDテールランプを採用するなど、挑戦的である。
3L直列6気筒ターボエンジンは、210kW(285ps)、400Nm(40.8kgm)のパワー&トルクを発生。電子制御6速ATと組み合わされ、駆動方式はプレチャージ式の電子制御AWDが搭載される。
横置きながら、今や貴重な直6エンジンならではのフィーリングを楽しめるのも、このクルマの大きな魅力。低回転域からリニアなレスポンスを得られ、トップエンドまでパワフルかつスムーズに吹け上がる。
全幅は1,890mmと、コンパクトというにはかなりワイドだが、これの恩恵もあって、いたって快適で安定感のあるドライブフィールを実現している。
ただし、操舵力が重めのステアリングフィールは、女性が街乗りするにはちょっときついかもしれない。それでも、従来のボルボ車用に切れ角が小さすぎて取り回しに困ることもない。
悪路走破能力も侮れず、最低地上高235mm、アプローチアングル22度、デパーチャーアングル27度、ランプブレークオーバーアングル22度、耐水限界高350mmと、なかなかタフな数字が並ぶ。
とっつきやすいSUV
チャレンジングなデザインを追求したほかの2モデルに対し、ティグアンはいたってオーソドックス。オフ色を強めたトラック&フィールドに対し、スポーツ&スタイルはオンロード重視。フロントバンパーの形状や、クロームパッケージ、シルバールーフレール、ダークティンテッドガラスなどが採用される。
ボディサイズは今回の中ではだいぶ短い。全幅は1,815mmでスカイラインクロスオーバーよりもわずかに幅広く、全高はXCとほぼ同じ。プラットフォームは、ゴルフやパサートとの共通性が高い。
日本仕様に搭載される2L直列4気筒直噴ターボエンジンは、トラック&フィールドでは125kW(170ps)だったところ、スポーツ&スタイルでは147kW(200ps)のパワーを発生する。28.6kgmというトルクは同じ。これに、6速ティプトロニックATが組み合わされる。駆動方式は「4MOTION」と呼ばれるフルタイム4WDだ。トルコンを介するATなので、発進や微低速で扱いやすい。170ps仕様に比べると、低速域の領域ではやや空走感はあるが、やはり200ps仕様のほうがパワフルだ。
フットワークは、トラック&フィールドに比べると、タイヤが16インチから17インチにされたことによる固さはあるが、ほかの2モデルに比べると、「スポーツ」とはいえ、乗り心地の快適性は最も高い。
ステアリング操舵力は全体的に軽いが、直進性やVWらしいしっかり感は損なわれていない。リラックスして乗れる、とっつきやすいSUVである。
ちなみに悪路走破性も十分で、アプローチアングルは、バンパー形状をそれに特化させたトラック&フィールドの28度から大幅減の18度になったが、デパーチャーアングル25度、ランプブレークオーバーアングル20度を実現。さらに、最大43度の急斜面を上がる登坂性能を備えている。
デザイン・スペックの総評
見た目にもっともインパクトがあるのは、周囲の声や反応をうかがう限りでは、どうやらスカイラインクロスオーバーのようだ。
ドライブフィールはまったく異なり、スポーティなスカイラインクロスオーバー、重厚感のあるXC60、軽快なティグアンという感じ。好みの分かれるところで、優越をつけるものでもないと思うが、プレミアム度に期待すると、ティグアンは他2モデルに比べやや劣るものの、乗りやすさでは逆にアドバンテージがある。
エンジンについては、ボルボの直6ターボがもっとも好みだった。ちなみに、意外なことにパドルシフトはどのモデルにも付いていない。
AWD機構については、スカイラインクロスオーバーが、FRベースのアテーサE-TS(電子制御トルクスプリット4WD)で、通常走行時はほぼ後輪駆動となり、走行状況に応じて前後輪の駆動力を最適配分とするのに対し、XC60とティグアンは、いずれもハルデックスカップリング式のフルタイム式4WDとなっている。
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