“駆けぬける歓び”オンリーBMW 徹底比較(2/4)

“駆けぬける歓び”オンリーBMW 徹底比較
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強烈な個性を与えたスタイリング

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「猛禽類」をイメージしたというエクステリアデザインには、登場時、度肝を抜かれたものである。当初は賛否の声があったものの、今では概ね好意的に受け取られているようだ。今回の3台の中で最初に登場したのが5シリーズであり、すでにかなり時間が経過しているが、今見てもドキッとするほど強烈に個性的で、古さをまったく感じさせない。

ボディサイズが従来よりもだいぶ大きくなり、さらにフェンダーフレアや、吊り上げた前後ランプ類など、独特の迫力がある。ボディパネルの区切り方も特徴的で、ボンネットもそうだが、テールに合わせてトランクを独立しているように見せるなどしている。

緊張感ある面の張りや、各所のエッジの立て方、派手なランプ類などが巧く調和し、見る者に強く存在感をアピールしている。

さらに、今回の車両はMスポーツ仕様につき、エアロパーツにより、M5にも負けないスポーティな雰囲気をかもし出している。

2007年6月のマイナーチェンジで改良された530iの3L直6エンジンは、直6らしいスムーズさとともに、全域で力強いトルクが融合した印象。5シリーズのやや大柄なボディでも、その動力性能に不満はない。

ドライブフィールは、ほかの2台に比べても圧倒的にスムーズで、静粛性にも優れ、乗り心地も快適そのもの。Mスポーツ仕様とはいえ、高周波の入力も上手くキャンセルしている。路面追従性に優れる足まわりは、245/40R18サイズのRE050Aを履くが、感覚としては、タイヤサイズがもっと大きいような印象すらある。

また、ステアリングを素早く大きく切った際の、アクティブステアリングによる早いゲインの立ち上がりに負けないよう、的確に減衰をチューニングしている。そのアクティブステアリングの制御についても、3シリーズよりも、転舵状態から戻した際の収まり具合に優れる。そのあたりは5シリーズの方がこなれている。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

ちょうど良いディメンション

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全幅1,800mmオーバーと、属するセグメントの中でボディの大型化をいち早く実行した3シリーズ。それが今ではすっかりトレンドとなっており、結果的にちょうどよいディメンションだったといえる。

5シリーズほど特徴的ではないにせよ、抑揚を与えたスタイリングはBMWならでは。現在のBMWのラインアップからすると、どちらかというとオーソドックスなほうだろう。多くの人に好まれる普遍性と、個性的な要素が上手く同居した、巧みなデザインテイストといえる。

キドニーグリルとバンパーを一体化させ、バンパー中央からボンネットへとV字型を描くラインが特徴。グリルの上にメッキを付けたり、三分割されたロアグリルなども特徴である。

フロントマスクを見れば明らかにBMW車らしいし、サイドのプレスなども、現代のBMWらしさを表現するアイテムとなっている。

こちらもランフラットタイヤを履き、サイズは225/60R16となっている。

BMW車は、よくワゴンのほうがスポーティとか、乗り心地が固いなどと評されることがあるが、現行3シリーズのツーリングでは、あまり嫌味な印象はない。セダンと同等のフットワークや快適性を持ちつつ、ツーリングならではのユーティリティを得られるクルマである。

325iに搭載される2.5L直6は、低回転域からレスポンスに優れ、5,000rpmあたりからより吹け上がりの勢いが増す印象で、積極的に踏みたくなる味付け。ワゴンでも走りを楽しみたいという、ちょっと欲張りなユーザーをも虜にしてしまう魅力がある。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

プレミアムコンパクト唯一の後輪駆動車

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3シリーズゆずりのプラットフォームにより、このクラスで唯一のFRレイアウトを採用しているのが1シリーズの特徴だ。

1シリーズの個性的なスタイリングは、BMWのセダン系上級モデルと共通のモチーフを随所に盛り込み、Cピラーをワイド化。スポーティなハッチバックスタイルに仕立てている。サイドにはつまんだようなラインを入れ、それをそのままリアにもつなげている。

アンダーボディに弧を描くようなラインを入れることで、豊かな面を見せている。ヘッドランプ類は、キドニーグリルと調和した、木の葉のような形状となっている。

BMWのエントリーモデルらしく、というよりも、BMWとして、このサイズのハッチバック車としてベストなデザインを構築しようとしたのだろう。

4気筒エンジンは、アクセルを踏めばドンと前に出る感覚はある。4気筒のわりに振動もノイズもよく抑えられている。

ハッチバックの120iにはアクティブステアリングの設定がなく、スタンダードのステアリングは、やや操舵力が重めの設定だが、FRらしく、操舵が駆動に影響を受けない強みを感じさせる。また、比較的車重が軽いこともあり、走りの一体感はこのクルマが一番だと思う。

フロントビューリアビューサイドビュータイヤエンジン

デザイン・スペックの総評

5シリーズは見てのとおりだが、1シリーズや3シリーズツーリングも、ハッチバック~ワゴンとしては、非常に個性的なスタイリングといえる。あえてすんなりとせず、クセのあるラインを描くことで、より特徴的なスタイリングを構築するのが今のBMWの手法であり、ランプ類にも各モデルそれぞれに固有のキャラクターが与えられている。

走りは、いずれもBMWに期待されるドライビングプレジャーがある。さらに、クラス相応の走りの高級感がある。レッドゾーンは、120iが6,500rpm~、325iと530iが7,000rpm~となっている。

アクティブステアリングは、5シリーズのデビュー当初のものは違和感が大きかったが、進化を重ね、最新のものは非常に洗練されている。

また、全車ランフラットタイヤを履いているが、乗り心地などデメリットを感じさせなくなっている。そのあたりのチューニングも確実に進歩している。

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岡本 幸一郎
筆者岡本 幸一郎

ビデオ「ベストモータリング」の制作、雑誌編集者を経てモータージャーナリストに転身。新車誌、チューニングカー誌や各種専門誌にて原稿執筆の他、映像制作や携帯コンテンツなどのプロデュースまで各方面にて活動中。記事一覧を見る

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