ノート/アクア/フィットを徹底比較 ~200万円で買える低燃費で人気のコンパクトカー~(4/4)

ノート/アクア/フィットを徹底比較 ~200万円で買える低燃費で人気のコンパクトカー~
日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 日産 ノートe-POWER 画像ギャラリーはこちら

アクセルペダルだけで速度の調節が行えて上質な運転感覚も味わえる

日産 ノートe-POWER日産 ノートe-POWER

ノートe-POWERは、1.2リッターエンジンが発電を行い、その電気を使ってリーフと同じモーターを駆動する。従って加減速の感覚もリーフに近い。

モーターは反応が機敏で瞬時に駆動力が立ち上がるので、回転が下がった状態から加速する時などは、従来のエンジンでいえば実用回転域のトルクが強く感じられる。ノートに2リッター以上のガソリンエンジンを搭載した印象だ。

開発者によると、ノートe-POWERの車両重量はリーフよりも200kg以上軽いため、駆動用電池が十分に充電された状態であれば、加速性能はリーフを上まわるという。

そしてECO(エコ)やSモードを選ぶと、回生による充電の効果が大幅に高まる。アクセルペダルを戻すと同時に、モーターが発電機の役目を果たして駆動用電池に充電を開始するから、従来のガソリンエンジン車に当てはめればエンジンブレーキが強く働く感覚だ。市街地走行では、フットブレーキを使わずに停止までカバーできる。

この制御のメリットは、減速エネルギーをなるべく多く電気に変換して駆動用電池に蓄えることだが、慣れるとアクセルペダルだけで速度調節が行えて、運転がラクに感じられる。

逆にDレンジで走るとムダが増える。ノートはほかのハイブリッドと違って、フットブレーキの協調制御を行っていないからだ。Dレンジでフットブレーキを使うと、回生できるエネルギーが減ってしまうから、ECO/Sモードを使い分けると効率が高まる。

駆動はモーターが受け持つから、エンジンは燃費効率の優れた回転域を維持する。速度の増減とエンジンの回転数が一致しないことも多いが、エンジン音が比較的静かだから違和感はあまり生じない。

カーブを曲がる時などは、ボディの重さを意識する。車両重量がガソリンエンジンに比べて170kg増えるからだ。ガソリンエンジン搭載車に比べると旋回軌跡を拡大させやすく、後輪の接地性が下がり気味になることもあるが、不安は感じない。ギリギリのところで巧みにバランスを取った。

乗り心地は硬めだが、駆動用電池の搭載などに伴ってボディが部分的に補強され、車両重量が増したこともあってガソリンエンジンのノートに比べると快適だ。モーターの滑らかな加速感と相まって、コンパクトカーでは走りが上質に感じられる。

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スポーティな運転感覚はクルマ好きのユーザーにも適する

トヨタ アクアトヨタ アクア

アクアは車両重量が1080kgと軽く、運転感覚も軽快だ。動力性能は1.6リッタークラスの印象で、モーターの駆動力も相応に強い。巡航中にアクセルペダルを踏み増した時などにモーターの支援を感じる。

加速感はモーター駆動だけで走るノートe-POWERほど滑らかではないが、不満は感じない。

駆動用電池が充電された状態では、モーター駆動のみで発進して、速度が上昇するとエンジンが始動する。発売当初はこの時にノイズが一気に高まって違和感が生じたが、現行型ではあまり気にならない。

全高を1455mmに抑えたことで、操舵に対する反応も機敏だ。コンパクトカーとしては、車両の向きが素早く変わる。カーブを曲がっている時も、旋回軌跡を拡大させにくい。危険回避時の挙動変化も抑えられ、走行安定性は高い部類に入る。

乗り心地は硬めだ。発売当初に比べるとバタバタした粗さを抑えたが、もう少し足まわりを柔軟に動かせると良い。街中を走ればスグに分かるので、購入時には試乗車で確認していただきたい。

アクアは前述のように背が低く、後席の居住性や荷室の積載性はあまり良くない。2名以内の乗車に適したクーペ感覚のコンパクトカーだ。走行性能もこの性格に合っていて、クルマ好きのユーザーも楽しめると思う。

子供が成長してミニバンなどが不要になり、使い勝手や経済性を考えると、ムダの少ないコンパクトカーに代替えしたい。ただしヴィッツは平凡で少々退屈だ。このような需要にアクアはピッタリだろう。

燃費の節約だけを考えて購入するのではないから、1年間の走行距離が短くても、アクアを選ぶユーザーが多い。

>>アクアの走行シーンの写真を見る

7速の有段式ATを装着してダイレクト感のある走りが魅力

ホンダ フィットハイブリッドホンダ フィットハイブリッド

フィットハイブリッドも駆動用電池が充電された巡航中などは、エンジンが頻繁に停止するが、少し強めにアクセルペダルを踏み込むと再始動する。そのためにノートe-POWERやアクアと違って、モーター駆動による支援を強く感じる機会が少ない。

逆にいえば、ハイブリッド車に慣れていないユーザーには運転しやすいだろう。1.5リッターエンジンとモーター駆動の併用で、動力性能も十分に確保した。

注意したいのはフィットハイブリッドのATで、有段式の7速DCTだから、CVTに比べると滑らかさに欠ける。

その代わりCVTとは違うダイレクトな運転感覚を味わえるが、気になるのはシフトダウンをした時だ。ATレバーをDからLに切り替えると、ドライバーの予想以上に低いギヤが選択されて、エンジンブレーキが強く利きすぎることがある。DとLの間にもうひとつレンジを設けるか、Sパッケージに装着されるパドルシフトをFやLパッケージにも与えて、ドライバーがギヤを選べるようにすると親切だ。

操舵感はノートe-POWERに比べると機敏で、意外に良く曲がる。その半面、後輪の安定性をもう少し高めて欲しいと感じる場面もある。車両全体のバランスからいえば、スポーティ感覚が少し強い。もう少し動きを穏やかにすると好ましい。

乗り心地は少し硬い。突き上げるようなバタバタした印象はないが、コンパクトカーにありがちな傾向で路上の細かなデコボコを伝えやすい。前述の機敏な操舵感と併せて、足まわりをゆったりと動かしたい。

それでもフィットハイブリッドは、ボディがコンパクトで運転がしやすい割に、後席と荷室が広く日常的な使い勝手が優れている。

ノートはもともと後席の快適性がメリットで、e-POWERの搭載により、静粛性が向上して乗り心地も快適になった。経済性だけでなく、セダン的な質感を高めている。

アクアは逆に、軽いボディを生かしたスポーティな走りが特徴だ。コンパクトハイブリッドにはそれぞれ違った個性があるので、試乗して違いを把握した上で選ぶのが良いだろう。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

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