ノート/アクア/フィットを徹底比較 ~200万円で買える低燃費で人気のコンパクトカー~(3/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志・小林岳夫
オートエアコンで質感が高まり後席の居住性も快適
ノートのインパネは機能的だが、グレードによる質感の差が大きい。オートエアコンを装着すると中央部分が光沢のあるブラックになり、周辺との格差はあるが質感に不満が生じにくい。しかしマニュアルエアコンでは見栄えが大幅に下がる。
e-POWER Xとメダリストにはオートエアコンが標準装着されるが、ガソリンエンジンのXはマニュアルエアコンだ。4万3200円を加えてオートエアコンをオプション装着するのが良い。
e-POWERには専用のファインビジョンメーターが備わり、速度計の付近にハイブリッドの作動状態、航続可能距離などが示される。リチウムイオン電池が減速時の回生で充電されていく様子も分かる。
ATレバーはリーフと同様に丸型で、D/Bレンジなどを切り替える。サイドブレーキレバーの斜め前には、ECO(エコ)とSモードのスイッチを装着した。
ハンドルの形状はe-POWERを設定したマイナーチェンジでD字型に変わった。ドライバーの大腿部とハンドルが近づくスポーツカーでは有効だが、ノートのようなスペースに余裕のある車種ではメリットが乏しい。見栄えの良さをねらったが、操作がしにくいこともある。
居住性は、前席についてはコンパクトカーの平均水準だ。シートのサイズなどに不満はない。頭上の空間にも余裕を持たせた。
ただし運転席のシートリフターには注意したい。座面だけが上下する簡易型で、下げた状態では背もたれの下側に隙間ができる。調節位置によって体の支え方が変わるので、シート全体を上下する方式が好ましい。
後席の座り心地もコンパクトカーの平均水準だ。相応に柔軟だが、腰の収まりは良好とはいえない。
注目されるのは足元空間の広さで、身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先には握りコブシ2つ半の余裕がある。これはLサイズセダン並みだ。e-POWERでは前席の下に駆動用リチウムイオン電池が収まり、後席に座る乗員が足を伸ばしにくいが、窮屈に感じるほどではない。
装備ではインテリジェントエマージェンシーブレーキを標準装着した。単眼カメラを使った緊急自動ブレーキで歩行者も検知する。ブレーキの作動速度は、車両に対しては時速10~80km、歩行者は10~60kmだ。
エアバッグは主に頭部を保護するカーテンエアバッグが4万8600円でオプション設定されるが、腹部や腰を保護するサイドエアバッグは用意されない。
着座位置が低めで手足を伸ばす運転姿勢が特徴だ
アクアのインパネは立体的なデザインで、見た人によって好みが分かれそうだ。マイナーチェンジで質感の不満はかなり解消されたが、樹脂素材を意識させる。
速度やハイブリッドシステムの作動状態は、インパネ最上部の奥まった位置に表示される。表示パネルが薄型で見にくそうだが、視線と目の焦点移動は少なく実用性では満足できる。
全高を1455mmに抑えたので、シートの着座位置が下がり、運転席は手足を少し伸ばす姿勢になる。座り心地は柔軟性が乏しいが、底突き感が生じるほどではない。コンパクトカーの平均水準に収まる。
後席は足元空間が狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ1つ半程度だ。床と座面の間隔も不十分だから、腰が落ち込んで膝が持ち上がりやすい。ボディが短く、天井も低く、しかも後ろに向けて下降させたから後席が窮屈になった。同じ理由で荷室の容量も小さい。
装備ではToyota Safety Sense C(トヨタセーフティセンスC)をLとSには5万4000円でオプション、GとXアーバンには標準装着した。赤外線レーザーと単眼カメラを併用して、時速10~80kmで緊急自動ブレーキを作動させる。衝突の危険が生じた時の警報は、時速140kmまで対応する。
カメラを装着するから、車線逸脱を警報したり、ハイビーム走行時に対向車や先行車を検知してロービームに切り替えることも可能だ。しかし歩行者は検知できず、この対応が今後の課題になる。
後席の居住性が優れ、荷室も大容量で実用性に注目したい
フィットハイブリッドのインパネは、オーソドックスなデザインだ。それだけに視認性や操作性は良い。エアコンのスイッチパネルは少しドライバーの方を向いて、操作性を向上させた。
運転席の座り心地はおおむね快適だ。肩まわりの支え方も悪くない。着座位置もアクアよりも高めで、ノートと同程度だからちょうど良い。
後席は足元空間の広さが注目される。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ半。全長とホイールベースが長いノートと同等になる。フィットは燃料タンクを前席の下に搭載するから、後席に座る乗員のつま先が少し持ち上がるが、足元が広いために窮屈には感じない。
ただし座面の奥行寸法が前席に比べて45mm短く、座り心地も柔軟性に欠ける。この背景にはシートアレンジを豊富に設定したこともあるだろう。後席は床面へ落とし込むように小さく畳めるから、2名乗車時には大容量の荷室に変更できる。後席の座面を持ち上げて、車内の中央に背の高い荷物を積むことも可能だ。座り心地はいまひとつだが、荷室の機能は優れている。
装備では、あんしんパッケージに注目したい。赤外線レーザー方式の緊急自動ブレーキが装着され、時速5~30kmの範囲で作動する。サイド&カーテンエアバッグも併せて装着され、あんしんパッケージの価格は6万1715円だ。
ちなみにアクアでは、サイド&カーテンエアバッグのオプション価格が4万3200円だから、この金額を参考にすれば、あんしんパッケージに含まれる赤外線レーザー方式の緊急自動ブレーキは2万円前後だろう。価格は安いが、あくまでも低速時だけに作動する簡易型だ。ヴェゼルやフリードに採用されるHonda SENSING(ホンダセンシング)があると、歩行者を検知して作動速度も高まるのでフィットにもぜひ設定して欲しい。
内装・装備の総評
今回取り上げた3車種は、それぞれ性格が異なる。ノートe-POWERは前後席の居住性が最も優れている。特に後席は足元の空間が広く、座り心地も悪くない。大人4名の乗車に適する。
アクアは背が低く、後席は3車種の中では最も窮屈だ。荷室の容量も小さく、実用性は5ドアクーペの水準になる。
フィットハイブリッドは、全長は3車種の中で最も短いが、前後席の広さはノートe-POWERと同程度だ。後席の座り心地はノートe-POWERに見劣りするが、荷室は大容量でシートアレンジも多彩に用意し、実用性が高い。
緊急自動ブレーキは3車種ともに標準装着、あるいはオプションで用意されるが、歩行者を検知できるのはノートe-POWERのみ。アクアは赤外線レーザーとカメラを併用しながら歩行者は検知できず、機能に改善の余地がある。
フィットは低速域で車両だけを検知する赤外線レーザーのみの簡易型だから、上級化が今後の課題だろう。
またノートについても、先ごろのマイナーチェンジで安全装備は進化していない。緊急自動ブレーキの作動上限速度を時速100kmに引き上げるなどの課題が残る。
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