ノート/アクア/フィットを徹底比較 ~200万円で買える低燃費で人気のコンパクトカー~(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:和田清志・小林岳夫
リーフのモーターなどを使う先進的な高効率ハイブリッド
日産 ノートe-POWERは新型車だが、ベースとなったノートの発売は2012年9月だ。すでに4年以上を経過しており目新しいクルマではない。
それでもe-POWERをラインナップに加えて、フロントマスクに最近の日産車を象徴するV字型のメッキグリルが装着されると、新鮮なクルマに思えてくる。
ボディサイズは全長が4100mm、全幅が1695mm、全高が1520mmだ。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も2600mmに達するため、全長も含めてコンパクトカーでは少し長い。
外観はシンプルな直線基調で、ボディ後端のピラー(柱)は少し太いが、側方や後方の視界も悪くない。最小回転半径は14インチタイヤ装着車が4.9mに収まるが、15インチは5.2mで少し大回りだ。14インチなら優れた視界と相まって、混雑した街中や駐車場でも運転がしやすい。
パワーユニットは、直列3気筒の1.2リッターエンジンに、発電機、リチウムイオン電池、電気を変換して制御するインバーター、駆動用モーターなどを組み合わせる。エンジンの力で発電機を作動させ、そこで生み出された電気を駆動用電池に蓄えてモーターを回す仕組みだ。
強く加速する時には、発電機からインバーターに直接電気を送る制御もあるが、エンジンがホイールを直接駆動することはない。そしてインバーターとモーターは電気自動車のリーフと共通なので、動力性能もほぼ等しい。
つまりリーフの24kWh/30kWhのリチウムイオン電池を、エンジンと発電機に置き換えたのがe-POWERユニットになる。このシステムは、一般的にはシリーズハイブリッドと呼ばれる。
JC08モード燃費は、売れ筋のe-POWER Xとe-POWERメダリストが34.0km/L。e-POWER Sは37.2km/Lだが、前述のように無理をして引き出した性能で、装備も乏しいために購入の対象には含まれない。
コンパクトなボディにハイブリッドのみを搭載して息の長い人気を保つ
トヨタ アクアは1.5リッターエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載するコンパクトカーで人気がきわめて高い。2015年12月に新型プリウスが登場する前は、小型&普通車では最多販売車種であった。発売から約5年を経た今でも2位に位置する。
好調に売れている理由の筆頭は、JC08モード燃費が37.0km/Lに達する燃費性能だろう。ボディが軽いために加速力も優れ、スポーティな運転感覚を味わえる。
そしてコンパクトなボディを備えるハイブリッド専用車ということも大切な特徴だ。ノートやフィットにはガソリンエンジンも用意されるが、アクアはプリウスと同様にハイブリッドしか搭載しない。「環境性能に優れた特別なクルマに乗っている」というプライドを持てることも、ユーザーによっては魅力になると思う。
ボディサイズは全長が3995mm(Xアーバンは4030mm)、全幅は1695mm、全高は1455mm(Xアーバンは1490mm)。標準ボディの寸法をノートe-POWERと比べると、105mm短く65mm低い。ホイールベースは2550mmだから50mm短くなる。
外観のデザインは、サイドウインドウの下端が後ろに向けて持ち上がり躍動感を演出した。その代わり斜め後方と真後ろの視界は良くない。
最小回転半径は15インチタイヤ装着車なら4.8mに収まるが、ツーリングパッケージを選んで16インチになると、5.7mまで拡大するので注意したい。
直列4気筒の1.5リッターエンジンをベースにしたハイブリッドシステムは、トヨタ車に幅広く採用されるTHSIIだ。駆動用モーターと発電機を別個に搭載するため、エンジンの力で発電しながら、同時にその電力を使ってモーターを駆動することも可能になる。複雑な制御を行う。
JC08モード燃費は標準ボディが前述の37.0km/Lで、Xアーバンは33.8km/Lだ。
コンパクトで小回り性能の優れたボディが特徴
ホンダ フィットはコンパクトカーの人気車種。初代モデルは2001年に発売されてヒット作になり、それ以来は売れ行きが好調だ。ハイブリッドは2代目のマイナーチェンジで加わり、2013年9月に発売された現行型では機能を刷新させた。売れ行きを見るとフィット全体の55%前後がハイブリッドになる。
ボディサイズは、今回取り上げた3車種の中では最も小さい。全長は3955mmだからノートよりも145mm短く、全幅は1695mm。全高は2WDが1525mmでほぼ等しい。ホイールベースは2530mmでノートよりも70mm短い。
フロントマスクは最近のホンダ車に共通する顔立ちに仕上げた。ヘッドランプの部分を薄型に見せて独特の表情を持たせている。
サイドウインドウの下端は後ろに向けて持ち上がり、後方視界が良好とはいえない。最小回転半径は15インチタイヤ装着車は4.7mで小回りが利き、16インチでも4.9mに収まる。
ハイブリッドシステムは直列4気筒1.5リッターエンジンがベースになる。1個のモーターが駆動と減速時を中心にした発電を担当するため、発電とモーター駆動を同時に行うことはできない。
その代わりメカニズムの構成はシンプルだ。走行状態に応じてエンジンとモーターの接続と切断が行われ、負荷を減らして燃費性能を向上させる。トランスミッションは有段式の7速DCTを採用。フォルクスワーゲンのDSGなどと同様、2組のクラッチを制御することで変速を行う。
JC08モード燃費は、売れ筋のハイブリッドF/Lパッケージが33.6km/L。スポーティなSパッケージは31.4km/Lだ。標準タイプのハイブリッドは36.4km/Lに達するが、あんしんパッケージを装着できず、燃料タンク容量はほかグレードよりも8L少ない32Lになる。ノートe-POWER Sほどではないが、燃費数値を良く見せるために用意したグレードだからあまり推奨できない。
デザイン・スペックの総評
ここで取り上げた3車種は、すべてボディがコンパクトなハイブリッド車だが、ハイブリッドシステムはそれぞれ異なる。ノートe-POWERはエンジンを発電機として使い、駆動はモーターのみが行う。
アクアのシステムは、1997年に発売された初代プリウスと基本的に変わらず、モーターと発電機を併用する。エンジンもホイールを直接駆動するが、ノートe-POWERのシリーズハイブリッドに近い制御も行う。
フィットハイブリッドでは1個のモーターが駆動と発電を兼任する。そのためにガソリンエンジン搭載車に対する重量増加は100kg程度に収まる。ノートe-POWERの170kgに比べると大幅に軽い。
JC08モード燃費を売れ筋のグレードで見ると、1位がアクアで37.0km/L、2位はノートe-POWERで34.0km/L、3位はフィットハイブリッドで33.6km/Lになる。
アクアは効率の良いハイブリッドを搭載して、車両重量を1080kgに抑えたことも低燃費の秘訣だ。フィットハイブリッドLパッケージは1140kg、ノートe-POWER Xは1210kgだから、アクアは大幅に軽い。
ノートe-POWERではエンジンが発電に専念できるから、走行状態にかかわらず効率の良い回転域を使える。高効率なシステムなのに燃費数値がアクアに劣る背景には、ボディの重さもあるだろう。
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