BMWストレート6 特集(2/4)
- 筆者: 日下部 保雄
- カメラマン:原田淳
リーズナブルな価格で楽しめる6気筒
現行3シリーズの中でも最も新しくラインアップに加わったのが323iだ。320iと325iの中間を埋める役割りで、6気筒エンジンを搭載しながら価格的にもリーズナブルな設定になっている。
搭載エンジンは2.5リッターの6気筒で、基本的には325iと同じエンジンであるが、出力としては325iの218psから177psへと変更されており、大分大人しくなっている。とはいえBMWのエンジンだけにその力強い回転フィールはさすがと思わせるもので、むしろトルクで引っ張る味は325iともキャラクターが異なり面白い。ちなみに323iが5,800回転で最高出力を出しているのに対して、325iは6,500回転となっており、より高回転型なのがわかる。
320iの4気筒は確かに4気筒ならではのパンチがあって面白いが、この323iの6気筒からは、よりBMWらしい性格を与えられたクルマになる。街中ではノーズの軽い320iが使いやすいが、高速走行になるとBMWの本領が発揮され、気持ちよく走れる。
装備面では安全面をはじめとして325iに装備されるファクトはすべて搭載されている。323iは500万以下で買える唯一のBMW6気筒と考えるとかなり食指が動くだろう。
セダン同様のスポーツライクなハンドリング
BMWツーリングモデルのデザインはラッゲージルーム優先としていないため、自由度が大きく、スポーティなセダンのイメージを壊さないデザインに成功している。リアゲートもそれ程寝かされていない。
ラインナップは、2リッター4気筒の320iツーリングと2.5リッター6気筒の325iツーリングの2種類。325iツーリングには218ps仕様の2.5リッター6気筒が与えられ、BMW6気筒エンジンの伸びやかさと力強さを堪能できる。
ボディサイズはセダンとツーリングでは2,760mmのロングホイールベース、4,525mmの全長、1,815mmの全幅に変わりはない。ただ全高が若干高いが、立体駐車場に困ることはまったくない。
後席の居住性などもほとんど変わりがない。シート形状などもセダンと大きくは変わらず、ゆったりとした座り心地を確保している。
面白いことにハンドリングはセダン同様、軽快でかつドイツ車らしい安定感がある。通常、ワゴンではボディ後半部の剛性が落ちるケースがほとんどだが、3シリーズツーリングはボディの重さは感じるものの、カッチリした感触がいかにもBMWらしい。ちなみにセダンとツーリングのボディ重量差は約70㎏だが、ツーリングは荷物を積載する関係で、リアのバネも硬くなっており、意外とスポーツライクなハンドリングだ。
3リッター・ストレート6の気持ち良さ
BMWの中堅モデル。3シリーズとは違ったキャラクターをもっており、3シリーズがダイナミックな軽快さを持ち合わせているのに対して、5シリーズは安定感の高い、より成熟したドライブフィーリングを持っている。サイズの大きい7シリーズのがっしりした走りとも違う5シリーズの落着きと取り回しのよさは大きな魅力だ。
特に530iツーリングは、必要にして十分と言った525iツーリングとは違って、258psと30.6kg-mの出力を発揮し、5シリーズを気持ちよく走らせる。5シリーズに搭載するとややもすると線の細さを見せる2.5リッターとは違って3リッター・ストレート6は相当に気持ちがよい。バルブトロニックは低速回転からトルクが溢れて、優れたレスポンスと粘りを体感することになる。
ボディサイズは全長4,855mm、全幅1,845mm、ホイールベース2,890mmと大きく、日本だとLクラスに手を掛けたサイズになる。最小回転半径は5.7mでやや大きいが速度感応タイプの可変ギアレシオステアリング、アクティブステアリングは慣れると小気味よい。パーキングレベルでは素早く切れ、高速では鈍くなるレシオはBMWが先鞭をつけた。
ツーリングモデルはルーフに大きなガラストップを持っており、開放的なキャビンが魅力だ。
デザイン・スペックの総評
BMWには1,3,5,7のセダンラインアップがある。いつも感銘を受けるのは、それぞれのクルマに明快なキャラクターが与えられていることで、ヒエラルキーというよりも、個性でハンドルを握ることが出来るように設定されていることだ。またツーリングも荷物を運ぶワゴンという感覚より、スーツケースを満載しても軽快にドライブできる楽しさがある。さらに2.5リッターにも違う個性が与えられ、3リッターでは直列6気筒の完成形をみる思いがする。
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