V40・Aクラス・1シリーズを徹底比較 -300万円で本格輸入車ライフを満喫できる最新5ドアハッチ-(2/4)

V40・Aクラス・1シリーズを徹底比較 -300万円で本格輸入車ライフを満喫できる最新5ドアハッチ-
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外観はボルボの面影を残しながら軽快に仕上げ、1.6リッターのターボは高い動力性能と低燃費を両立

ボルボV40の外観を眺めると「ボルボもずいぶん変わった」と感じる。かつては角張った重厚な外観が特徴で、穏やかに動く安定指向の操舵感、シートの座り心地まで、あらゆる部分がズッシリと重い印象だった。

ところがV60やS60あたりから、軽快でスポーティーな方向に変わってきた。V40はフロントマスクが鋭角的で、サイドウインドーの下端は後ろに向けて大きく持ち上げている。斜め後方と真後ろの視界は良くないが、外観は躍動的な雰囲気だ。

頑固なボルボらしさが薄れたとも受け取られるが、フロントマスクやリアビューには以前の面影も残されている。

ちなみに先代(初代)V40は、三菱カリスマとプラットフォームなどを共通化したワゴンだった。この後継モデルは、V50を経て実質的に現在のV60に発展。現行型のV40は、新規の車種に位置付けられる。

ボディサイズは全長が4370mmで、全幅は1785mm。ライバル2車に比べて若干大きいが、日本の市街地でも扱いやすい。スバルインプレッサスポーツと比較して、45mm短く、45mm幅広い程度に収まる。

エンジンは直列4気筒1.6リッターのターボ。最高出力は180馬力(5700回転)、最大トルクは24.5kg-m(1600~5000回転)とされ、今回取り上げた3車種の中では比較的高い数値となる。ノーマルエンジンでいえば2.5リッター並みだ。

その一方でJC08モード燃費は16.2km/Lだから、BMW・116iの16.6km/L並みに優れる。日本車でいえば、インプレッサスポーツ1.6i-Lがアイドリングストップを備えて17.6km/L。動力性能の違いを考慮すれば効率が高く、エコカー減税では購入時の税額が75%軽減される。

従来型から路線を大幅に変更し、一般的なハッチバックスタイルを採用

「メルセデス・ベンツが今のブランドイメージを持続すると、需要は先細りになる。Cクラスの最廉価グレードが500万円以上だと思っている人も多く、低価格化の流れに逆行するからだ。新しいAクラスでブランド変革を図りたい」ディーラーのあるセールスマンは、このようにコメントした。

従来からAクラスは存在したが、4000mm以下の全長に対して全高は1595mmと高く、外観はズングリした印象。人気はいま一歩に留まった。背が高かった背景には、前面衝突時にエンジンや駆動機能を下側に落とし、衝撃を吸収するボディ構造の採用がある。

ところが現行型は一般的なレイアウトに変更。これに伴って、全高は160mm下がって1435mmに収まる。全長は約400mm伸びて4290mmとなり、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)も130mm拡大されて2700mmだ。外観デザインは、馴染みやすい5ドアハッチバックとなった。「新しいAクラスで変革を図りたい」という発想も、このデザイン変更があればこそだ。

フロントマスクは横長のデザインで、グリルの中央には「スリー・ポインテッド・スター」の大型エンブレムを装着。遠方からでもメルセデス・ベンツと認識される存在感の強い外観に仕上げた。

エンジンはターボを装着した直列4気筒の1.6リッターで、最高出力は122馬力(5000回転)、最大トルクは20.4kg-m(1250~4000回転)。2リッタークラスの動力性能と考えれば良い。JC08モード燃費は15.9km/L。エコカー減税にも該当して、購入時に納める税額を75%軽減できる。

5ドアのコンパクトなボディだがFRを採用して外観もロングノーズのデザイン

今日の小型車では、前輪駆動の採用が常識になった。エンジンを横向きに搭載して駆動の機能も前側に集中させれば、空間効率が高まるからだ。

特に日本車は、フラットフロア構造の背の高いミニバンやコンパクトカーに発展させることが多い。床を低く平らに仕上げる必要があり、必然的に前輪駆動車が増えた。今では世界的に見ても、後輪駆動車を用意するメーカーは少数派になりつつある。

この状況を考えると、BMWの1シリーズは貴重な存在。全長が4335mm、全幅が1765mmというコンパクトなボディでありながら、後輪駆動を採用するからだ。スポーティークーペやオフロードSUVを除くと、ここまで小さな後輪駆動車は珍しい。

後輪駆動の採用は外観にも表現され、エンジンを縦置きに搭載することでボンネットが長い。特にフロント側のドアやウインドーと、前輪の間隔が離れたボディスタイルは、後輪駆動の象徴となる。

ボディ後端のピラー(ルーフを支える柱)は太くデザインされ、後方視界の確保では不利になるが、骨太感のある外観に仕上げた。

エンジンは直列4気筒の1.6リッターにターボを装着したタイプ。試乗車は低価格の116iではなく120iスタイルだから、最高出力は116iの136馬力に対して170馬力(4800~6450回転)。最大トルクは22.4kg-mに対して25.5km-m(1500~4500回転)まで高められている。

JC08モード燃費は116i、120iスタイルともに16.6km/Lで、今回取り上げた3車種の中では最も優れている。エコカー減税によって購入時に納める税額は75%軽減される。

ボディサイズはV40が少し大きいが、全長は4400mm、全幅は1800mm以下。最小回転半径もAクラスと120iが5.1m、V40も5.2mだから、インプレッサスポーツなどと同等だ。

取りまわし性は良いが、視界には注意したい。3車ともサイドウインドーの下端が高く、V40は後方に向けて大きく持ち上げた。Aクラスと1シリーズもボディ後端のピラーが太く、側方と後方が見にくい。視界の悪化は世界的な傾向だが、この3車は買い物など日常的な移動に使うユーザーも多い。視界が悪いと後退時などに危険を誘発するので、バックモニターを装着しても十分に注意して欲しい。

フロントマスクは、3車ともに各ブランドの個性を打ち出している。Aクラスはエンブレムが大きすぎる印象だが、控え目だとメルセデス・ベンツと識別しにくいだろう。

エンジンは3車とも1.6リッターのターボを搭載。75%のエコカー減税にも合致させた。対する日本車は、自国の制度でありながら、ミニバン、SUV、ハイブリッド車を除くと最大トルクが20kg-m以上の減税対象車が少ない。車両価格が280万円前後なら、エコカー減税車か否かで20万円近い差が付き、この3車に攻め入る余地を与えている。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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