V40・Aクラス・1シリーズを徹底比較 -300万円で本格輸入車ライフを満喫できる最新5ドアハッチ-(4/4)

V40・Aクラス・1シリーズを徹底比較 -300万円で本格輸入車ライフを満喫できる最新5ドアハッチ-
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従来のボルボのイメージとは異なる軽快な運転感覚に注目したい

長年にわたり、ボルボは重厚な運転感覚を特徴としてきた。積雪量の多いスウェーデンのクルマらしく、後輪駆動が主力の時代から安定指向。安全で保守的なクルマという印象が強かった。

しかしV40は外観と同様、運転感覚も軽快だ。機敏に向きを変えるほどではないが、峠道も楽しく走れる。適度に良く曲がって後輪の接地性も十分。バランスの良い動きを見せる。コンパクトなボディとの相乗効果で、街中でも運転がしやすい。

試乗したグレードは上級のT4・SE(309万円)。タイヤは17インチ(225/45R17)で、ブランドはピレリ・チントゥラートP7だ。旋回性能が高まる半面、乗り心地は少し硬めに受け取られるが、重厚感が伴って快適。このあたりには往年のボルボの持ち味を見い出せる。

ターボを装着した1.6リッターエンジンは、実用回転域の駆動力が高い。吹き上がりが機敏な性格ではないが、扱いやすく仕上げた。V40の性格に合った設定だ。

運転感覚は持ち味の話だが、衝突回避の安全装備を充実させたことは、幅広いユーザーにとってV40を選ぶメリットになり得る。20万円のセーフティパッケージは、機能を考えれば割安だから必ず装着したい。

グレードは16インチタイヤのT4(269万円)で十分。これに前述の安全装備とディスチャージヘッドランプなどを加える。輸入車とあって在庫車から選ぶため、希望を通すと納期が長引く心配も伴うが価格は良心的。車庫入れなどを試し、後方視界に不満がなければ購入する価値は高い。

メルセデス・ベンツらしさはあまり感じられないが、走行安定性に優れ、買い得な5ドアハッチバック

5ドアハッチバックとあって、ほかの車種と同じく走りには軽快感がある。それでも1シリーズに比べると、ハンドルを切り始めた時の反応は少し穏やか。直進安定性を重視するメルセデス・ベンツらしさでもあるだろう。コーナーに入ると前輪がしっかりと接地して、速度を高めて曲がっても旋回軌跡を拡大させにくい。

試乗車が装着していたタイヤは18インチ(225/40R18)のコンチネンタル・スポーツコンタクトSSR。乗り心地はやや硬めで路面上のデコボコを伝えやすく、メルセデス・ベンツらしい重厚感はいま一歩となる。その代わり良く曲がり、スポーティーな走りを好むユーザーには適するだろう。

動力性能は1200回転付近から余裕のある駆動力が発揮されて扱いやすい。最大トルクは20.4kg-mにとどまるので、余裕タップリとはいえないが実用的には十分。運転のしやすいエンジンに仕上げた。

やや硬めの乗り心地により、メルセデス・ベンツであることはあまり意識させないが、車両価格と機能のバランスを考えると十分に納得できる。特にアクティブな雰囲気の内外装と、メルセデス・ベンツが持つブランド性の融合は、クルマ好きのユーザーには魅力的だろう。

一方、長年にわたってメルセデス・ベンツを愛用してきたユーザーには、重厚感の対極に位置する軽快な雰囲気に、馴染みにくい面もあろうかと思う。CクラスセダンのC180ブルーエフィシェンシーとAクラスの試乗車を乗り比べて、最終的に判断すると良いのではないか。そうすればAクラスの持ち味が明確に分かる。

ボディがコンパクトでもBMWらしさは明確、運転する楽しさを満喫できる

コンパクトな5ドアハッチバックでありながら後輪駆動を採用し、重量物となるバッテリーは、車両の後部に位置する荷室の床下に搭載する。これらの措置により、前後輪の重量配分を50:50に近付けた。

このバランスの良さは、通常の市街地走行で、交差点を右左折する時にも実感できる。小さな舵角から正確に反応し、確実に回り込む。ルーズな運転を受け付けない几帳面な雰囲気は好みの分かれるところだが、ドライバーの操作に正確に走り、曲がり、止まることのできるクルマは、普通に走らせても楽しい。

操舵は前輪、駆動は後輪と役割を分担することで、操舵感が駆動力の増減によって濁らないことも魅力だ。

コーナーの入口でハンドルを切り込むと、ライバル2車に比べて機敏に回頭する。後輪の接地性が心配になるが、低重心と比較的長いホイールベースで安定しており、挙動を乱しにくい。

几帳面に動くから、運転操作が曖昧だと車両の動きにも反映され、「今のコーナー、失敗したな」と認識される。自然にていねいな操作を行うようになり、「運転が上達するクルマ」ともいえるだろう。決して安い商品ではないが、1シリーズのような素性の良いクルマを若い時に所有すると、運転の基礎を身に付ける上で効果的だ。

試乗車の120iスタイルが装着したタイヤは、17インチ(225/45R17)のブリヂストン・ポテンザS001。乗り心地は少し硬めだが、ゴツゴツした印象はない。スポーティな操舵感とのバランスも良い。駆動力には余裕があり、2000回転以下の領域から過給効果が発揮されて扱いやすい。

V40などに比べてリラックス感覚、開放感は乏しいが、車両との一体感を味わえる。デザインの新鮮なAクラスを含め、選ぶ時から楽しめる3車種が出そろった。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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