ムーヴ・N ONE・up!人気のスモールカーを徹底比較 -新たな魅力が満載の小型車たち!-(3/4)

ムーヴ・N ONE・up!人気のスモールカーを徹底比較 -新たな魅力が満載の小型車たち!-
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背の高いボディによって前後のシートとも居住性が優れ、収納設備も豊富に用意されて使い勝手を向上した

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ムーヴは背の高いボディによって車内が広い。内装の仕上げも上質で、軽自動車の枠を超えた居住性を備える。

まずはインパネだが、2012年12月のマイナーチェンジで刷新され、実用性と使い勝手の両立を図った。メーターはインパネの中央からハンドルの奥側に移している。先代型の視認性も良かったが、現行型はほかの車種から乗り替えた時に馴染みやすい。収納設備も豊富で、グローブボックスの上部にはボックスティッシュが収まるトレイを配置。

インパネの中央には、ATレバーとエアコンのスイッチを挟んで、上下にトレイとCDなどが収まる大きなポケットが設わる。インパネはパネル間の隙間が詰められ、仕上げはていねいだ。

フロントシートはベンチタイプで、サイズに余裕を持たせた。座り心地もボリューム感があって快適。全高が1620mmに達するから、頭上の空間も広い。リアシートもサイズは十分。座面をもう少し柔軟に仕上げ、乗員の体が収まりやすくすると良いが、頭上や足元の空間は広い。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先には握りコブシが3つ収まる。

頭上の空間も握りコブシ1つ分は確保され、着座位置を高めながら開放感を持たせた。リアシートは左右一体式ながらスライド機能を採用。リア側にチャイルドシートを装着した時は、前方にスライドさせると便利だ。信号待ちの時など子供のケアがしやすく、最後部の広がった荷室にはベビーカーなどを積みやすい。

買い得グレードになる標準ボディのX・SAなら、前述のスマートアシストのほかにキーフリーシステム&プッシュボタンスタート、14インチアルミホイールなどが備わる。

車両価格は125万円。軽自動車の売れ筋価格帯に収めた。

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インパネまわりを丁寧に造り込み、リアシートの座面を持ち上げると背の高い荷物を積める

ホンダ N ONEホンダ N ONE

外観は個性的な軽自動車だが、全高が1600mmを超えるために室内も広い。デザイン性と実用性を融合させた。

インパネは丁寧に造り込み、立体的な造形で、軽自動車の中では上質な部類に入る。試乗車はターボを装着したプレミアムツアラー。車両価格は144万円だ。「プレミアム」の名称が付くだけあり、メーターにはメッキリングなども備わる。

収納設備やカップホルダーにも不満はないが、数はさほど多くない。N BOXではグローブボックスの上部がトレイになるが、N ONEでは形状を立体的に見せることに使った。内装もデザイン重視になる。

フロントシートは快適。ムーヴなど背の高い軽自動車と同様、サイズに余裕があって座り心地も柔軟だ。リアシートは、フロントシートの下に燃料タンクを設置したから少し足が持ち上がる。それでも身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握り拳2つ少々。足元は窮屈ではない。

頭上空間は狭めで掌が収まる程度。燃料タンクをフロントシートの下に搭載して、床が少し高まったためだ。室内高の数値もムーヴの1280mmに対してN ONEは1240mm。4名乗車は十分に可能だが、空間効率は追求されていない。

荷室の機能は独特。リアシートがスライドしない代わりに、座面を持ち上げて車内の中央に背の高い荷物を積める。燃料タンクをフロントシートの下に搭載したから、この機能が得られた。

装備は充実して、横滑り防止装置とスマートキーは全車に標準装着。プレミアムツアラーなら、ディスチャージヘッドランプや14インチアルミホイールも備わる。各グレードに用意される売れ筋のLパッケージを選べば、カーテンエアバッグも標準装着される。

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実用性よりもオシャレな感覚を重視して日本のコンパクトカーとは違うクルマ造りが楽しい

フォルクスワーゲン up!フォルクスワーゲン up!

かつてVWは、2001年から2006年代中盤まで、コンパクトカーのルポを輸入していた。フォルクスワーゲングループジャパンは、「up!はルポの後継」と言うが、雰囲気は違う。ルポの内外装はポロやゴルフに通じるデザインだが、up!はシンプルで軽快に仕上げた。

試乗したグレードは、前述の通り最上級のhigh up!で車両価格は183万円。それでも内装は明らかに樹脂製と分かる。日常生活のツールと割り切った。収納設備もグローブボックスやトレイは備わるが、ムーヴやN ONEに比べて少ない。

ドイツ車らしいのはフロントシートの座り心地。体が座面に沈む度合いは小さいが、ボリューム感は相応にあり、バックレストの下側が硬めで体をしっかりと支える。小さなクルマでも長距離移動に応えられる仕上がりだ。

リアシートは窮屈。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が軽自動車のムーヴよりも35mm、N ONEよりは100mm短く、足元が狭い。身長170cmの大人4名が乗車して、リアシートに座る同乗者の膝先空間は握りコブシの約半分。フロントシートの下に足が収まるから4名乗車は可能だが、乗車時間は片道1時間程度だろう。

荷室はどうか。深さは十分に確保されるが奥行は短い。全高を1495mmに抑えたこともあり、リアシートと荷室の機能は日本の軽自動車に見劣りする。

装備はシティエマージェンシーブレーキ、横滑り防止装置、サイドエアバッグに加え、high up!にはセンサーによって車両後部の障害物を知らせるパークディスタンスコントロール、運転席と助手席のシートヒーター、15インチアルミホイールも装着する。オプションで電動パノラマスライディングルーフを加えることも可能だ。

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内装・装備の総評

ムーヴの内装と装備は、今日の軽自動車の代表と言えるだろう。

インパネなどを上質に仕上げ、居住性は前後席ともに快適。収納設備を豊富に設け、荷室は広く、シートアレンジも多彩だ。その上でマイナーチェンジによってスマートアシストを設けた。日常生活のツールとして軽自動車を購入する人達が、安心して便利に、あまりお金をかけずに使えるよう配慮されている。

N ONEも基本的には4名乗車が快適で荷室の使い勝手が優れた軽自動車だが、ムーヴとは指向性が少し違う。フロントマスクなどのデザインからも分かるように趣味性も追求した。実用面で必要な利便性を備えた上で、クルマとしての楽しさも求めている。インパネも、収納設備の数は多くないが上質に仕上げた。

一方、up!はドイツ車とあって価値観が違う。

内装はシンプルで、リア側のウィンドウは手動で横に少し開いて換気を行うタイプ。リアシートや荷室も狭い。日本車ならミライースやアルトに相当するが、up!の方がさらにシンプル。その代わり低価格車でも安全装備を充実させ、フロントシートは座り心地が良い。2名以内の乗車を前提に必要とされる実用性、安全性はキッチリと押さえている。

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渡辺 陽一郎
筆者渡辺 陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心がけている。記事一覧を見る

樺田 卓也 (MOTA編集長)
監修者樺田 卓也 (MOTA編集長)

自動車業界歴25年。自動車に関わるリテール営業からサービス・商品企画などに長らく従事。昨今の自動車販売業界に精通し、売れ筋の車について豊富な知識を持つ。車を買う人・車を売る人、双方の視点を柔軟に持つ強力なブレイン。ユーザーにとって価値があるコンテンツ・サービスを提供することをモットーとしている。

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