ムーヴ・N ONE・up!人気のスモールカーを徹底比較 -新たな魅力が満載の小型車たち!-(2/4)
- 筆者: 渡辺 陽一郎
- カメラマン:茂呂幸正
背の高い軽自動車では最高峰の燃費性能に加えて「ぶつからない安全装備」も充実させて価格は割安
現行ムーヴの登場は2010年12月。堅調に売れていたが、2年後の2012年12月に大規模なマイナーチェンジを行った。
注目点は大きく分けて3つある。まずは燃費性能。従来型ムーブもミライースから採用された「e:Sテクノロジー」を備えていたが、マイナーチェンジされてからは「e:Sテクノロジーの第2弾」として、更なる燃費性能の向上を図った。
内容は多岐に渡り、例えばCVT(無段変速AT)に装着された「CVTサーモコントローラー」。エンジン冷却水の熱を使ってCVTフルードの温度を早期に高め、エンジンの負荷を軽減する。CVTフルードの低粘度化も図った。アイドリングストップは、従来型では時速7km以下で作動したが、変更後は時速9kmになっている。
これらの変更を施した結果、ノーマルエンジン搭載車のJC08モード燃費は29km/Lに向上。全高が1550mmを超える背の高い軽自動車では、最高峰の数値になる。
2つ目の注目点は安全装備。L・SAやX・SAには「スマートアシスト」を標準装着した。レーザーセンサーを備え、時速4~30kmで走行中に追突などの危険が生じると、ドライバーに警報を発する。衝突不可避時には緊急ブレーキも作動させ、時速20km以下なら衝突回避も可能だ。壁などに向かってアクセルを踏み込んだ時、誤操作と判断するとアクセル開度を抑える機能も備える。
価格の安さにも注目。スマートアシストは、横滑り防止装置のVSCとセットで5万円だ。他車では横滑り防止装置だけで3~6万円に相当する。また、最廉価のLは107万円の低価格を打ち出した。前後のサスペンションにボディの傾き方を抑えるスタビライザーが標準装着され、走行安定性も高めている。
3つ目は内外装。標準ボディのフロントマスクも存在感が強まり、インパネの造形も一新させた。
背の高いボディながら外観はユニークにデザインされ、アイドリングストップの装着などで燃費性能も向上
N BOXをベースに開発された軽自動車だが、フロントマスクなどの外観はとてもユニーク。1967年に登場した往年の人気軽自動車、「N360」をモチーフにデザインされた。傾斜の付けられたリアゲートを含め、ほかのどの軽自動車にも似ていない。
プラットフォームはN BOXと共通化され、燃料タンクはフロントシートの下に搭載。荷室の床を低く抑え、積載性の向上を図った。
外観を重視した軽自動車だが、全高は1610mmで意外に背が高い。ムーヴの1620mmに近い数値になる。これもN BOXをベースに開発したためだ。室内を広く確保する目的でエンジンルームを短く抑えたから、エンジンの頂点が持ち上がった。
燃料タンクをフロントシートの下に設置したため、床も少し高い。その結果、全高が1600mmを超えた経緯がある。もっとも、背が高い分だけ室内も広く、居住性は良好。4名乗車の可能な軽自動車になった。
グレード構成は、標準ボディのスタンダードとプレミアムに大別される。後者には専用タイプのフロントバンパーやテールゲートスポイラー、アルミホイールを装着。文字どおりプレミアム感覚のグレードだ。
エンジンは軽自動車だから全車が直列3気筒の660ccを積むが、スタンダードとプレミアムの両方に「ツアラー」の名称でターボモデルを設ける。アイドリングストップはノーマルエンジンの全車に装着され、JC08モード燃費は27km/L。ターボのプレミアムツアラーは22.4km/Lだ。
ボディの傾き方を抑えるスタビライザーは、スタンダードのGとG・Lパッケージを除く全車に備わる。ワイドなバリエーション展開が特徴だ。
2ドアモデルの価格は149万円で日本車並みの安さを特徴とする輸入コンパクトカーの注目車
燃費性能の優れた小排気量ターボの搭載などで輸入車が注目されているが、この中でもダントツの話題性を誇るのがVWのup!だろう。
ポロよりもさらに小さなコンパクトカーで、車両価格は最廉価の2ドア(日本車でいえば3ドア)のmove up!は149万円だ。軽自動車ならばターボを装着したムーヴコンテカスタムRS、コンパクトカーでいえばノートX・DIG-Sなどと同等になる。試乗車は最上級の4ドア(日本車なら5ドア)のhigh up!だが、このグレードでも183万円に抑えた。
全長は3545mm、全幅は1650mmだから、日本のコンパクトカーと比べても小さな部類。全長はパッソよりも約100mm短く、全幅も少し狭い。最小回転半径は4.6mに収まり、輸入車の中では取りまわし性が抜群だ。軽自動車と比較される輸入車でもあるだろう。全高は1495mm。この数値はドイツ車らしく、高重心になるのを避けるため、あまり背を高くしていない。その分、空間効率では全高が1600mmを超える軽自動車に見劣りする。
エンジンは直列3気筒の1リッターを搭載。最高出力は75馬力(6200回転)、最大トルクは9.7kg-m(3000~4300回転)になる。この動力性能は平均的。アイドリングストップは装着されないが、JC08モード燃費は23.1km/L。小排気量車らしい優れた数値になった。
注目されるのは安全装備。レーザーセンサーを用いたシティエマージェンシーブレーキを全車に標準装着する。時速5~30kmの範囲で作動し、衝突被害を軽減。状況によっては追突などの回避も可能だ。このほか横滑り防止装置やフロントサイドエアバッグも標準装着される。
デザイン・スペックの総評
安全と環境性能は、今日のクルマにとって重要なテーマ。小さくて軽い軽自動車やコンパクトカーは燃料消費量が少なく、環境性能を向上させやすい。
ムーヴやN ONEはアイドリングストップも備え、燃費性能は優秀だ。VWのup!も輸入車では優れた部類に入る。その結果、各車ともエコカー減税を達成。2WD仕様で見ると、購入時に納める自動車取得税や同重量税が、up!では50%が減税される。N 0NEはノーマルエンジン車が免税(100%減税)、ターボが50%の減税だ。そしてムーヴはターボを含めて免税になる。
そしてムーヴとup!は、低速域における衝突回避の支援機能も設けた。小さなクルマは街中を中心に使われるから、低い速度域の作動でも事故を抑制する効果は高い。価格が安いことにも注目したい。up!は標準装着、ムーヴも5万円で設定した。装着比率も高く、ムーヴの約60%がスマートアシストを備える。
安全装備は事故の抑制が目的だから、いくら優れた機能を開発しても、装着車が売れなければ意味がない。価格を抑え、装着車を増やすことが重要。大量に売れるムーヴにスマートアシストを低価格で設定すれば、事故防止の効果も高まる。
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