【DESIGNER’S ROOM】BMW 3シリーズ グランツーリスモ デザイナーインタビュー/ドイツ・BMW AG 永島譲二(3/4)
- 筆者: 森口 将之
- カメラマン:島村栄二/BMW AG/オートックワン編集部
キーワードは「精確+情感(Precision & Poetry)」
AO:それ以外にボディサイドで工夫した部分は。
N:ボディ断面を、フロントからリアに向かうにつれて少しずつ変えていくことで、エモーショナルに感じるようにしています。
社内では現在、「精確+情感(Precision & Poetry)」をBMWデザインの合言葉にしています。ドイツ車らしくかっちりスッキリ仕上げつつ、ドライにはしないという方向性です。その言葉を反映した、面を大切にしたデザインだと思っています。ただ全幅の拡大はミニマムに抑えることで、日本の道路や駐車場でも不便のないようにしています。
AO:セダンより背が高い分、ウエストラインの位置決めが難しかったと思いますが。
N:ウエストラインの位置は、ドライバーがヒジを掛けて運転できる高さにしています。ドイツ人の好みなのです。ピラーの位置は乗降性に配慮しています。サイドシルの幅や高さは、強度を確保しながら、乗り降りの際に裾が汚れないような位置になっています。サイドウインドーを可能な限り下まで降りるようにもしてあります。
細部に渡るリファインを経て「魂」は宿る
AO:荷室についてはどうですか。
N:容積はツーリングより25リットル広くなっています。リアゲートの開口部の高さはやや高めですが、フロアはよりフラットに仕立てています。トノカバーが前後2分割で、後半はゲートと連動して跳ね上がるようにしたり、後席の背もたれを、開口部横のレバーで倒せるようにしたこともトピックです。
AO:レバーがトノカバー脇のパネルと一体化していて、さすがBMWだと思いました。
N:こういう部分のデザインは、気が遠くなるような回数を掛けてリファインを重ねていきます。リアコンビランプ内部の造形も、最後の段階だけで3回も修正をかけました。ドイツ人は、ファッションのセンスはいまひとつかもしれませんが、逆に家の中の木の種類にはすごくこだわります。とにかく美に対する意識が高くて、妥協を知らないのです。ゲルマン魂の現れと言えるかもしれません。
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