アウディ 新型Q5/SQ5 試乗&解説|人気SUVの2代目はフルモデルチェンジで“深化”を遂げた
- 筆者: 岡本 幸一郎
- カメラマン:茂呂 幸正
一見するとキープコンセプト、しかし実は変化も大きい新型Q5の外観デザイン
2008年に登場し、日本にも2009年より導入された初代アウディ Q5は、世界で累計販売台数は160万台を超えるほどのヒットモデルとなった。ここ10年で急激に伸びたミッドサイズSUV市場においても、かなり成功した1台といえる。
そして迎えたフルモデルチェンジ。むろん中身は一新されており、実は一見するとキープコンセプト色の濃いデザインもだいぶ変わっている。
このところアウディは他の車種でも同様に、ガラリと変えるのではなく、面影を残しつつ洗練度を深める手法を採っているが、Q5もその流れに即している。ただし、ショルダーに前端から後端まで1本通ったキャラクターラインをはじめ、よりワイドになったシングルフレームグリル、LEDを駆使したライト類、流れるダイナミックターンインジケーターなどは、新型Q5ならではのアイキャッチである。
新型Q5はバーチャルコックピットの採用など室内にも最新テクノロジーを満載
新型Q5のインテリアも、水平基調でクリーンなデザインや、ドライバー中心のレイアウトを踏襲しているが、こちらもアウディならではのバーチャルコクピットや、新しくなった「MMIタッチ」、大幅に強化されたコネクティビティなど新型Q5ならではの機能が与えられている。
インターネット常時接続が可能で、スマートフォンの環境をそのまま車内に持ち込んだり、専用アプリを通じてクルマのさまざまな機能を利用することもできる。たとえばドアの施錠や開錠、駐車位置の確認、ひいては走行距離やガソリン残量、ドアの施錠や窓の開閉状況などもスマートフォンで確認できてしまう。これは重宝しそうだ。
オーディオも、バング&オルフセンによる、3次元の音響を演算して再生するという非常に高性能な3Dサウンドシステムが用意されている。755W16チャンネルのアンプに、19個ものラウンドスピーカーを組み合わせているというから驚きだ。
もともと同クラスの中でも広いほうだった室内空間も、さらに広くなっていて、頭上も横方向の余裕がある。後席も成人男性が座ってもまったく問題ない。クラストップレベルであることは間違いない。
アウディの伝統にのっとりスクエアな形状とされたラゲッジスペースは、タイヤハウス後方が横幅を稼ぐためにややえぐられている。見た目がスッキリとしていて質感も高く、荷物を積み降ろしすることまでも楽しみになってしまいそう。テールゲートを足の動きで自動的に開けられるイマドキの機能ももちろん付いている。後席を立てた状態で初代Q5よりも10リットル拡大した550リットルの容量は、A4アバントよりも40リットル大きい。
新プラットフォーム“MLB evo”採用で新型Q5/SQ5の走りはどう進化したのか
新型Q5は、走りについても、すべてにおいて進化を遂げている。土台には従来の進化版であり、新世代のA4より導入した新しいモジュラープラットフォーム“MLB evo”を採用。これと軽量化の努力により初代に比べると日本仕様の2.0TFSIクワトロで60kg、SQ5で70kgも軽くなっている。
サスペンション形式は、前後とも5リンクになった。2.0TFSIクワトロにはダイナミックサスペンション、SQ5にはダンピングコントロール付スポーツサスペンションが標準装備される。
新型Q5に搭載されるエンジンは、2.0TFSIクワトロが2リッター直列4気筒ターボを踏襲。いっぽうハイパフォーマンス版のSQ5は、3リッターV6である点は不変だが、過給機をスーパーチャージャーからターボチャージャーに変更し、トルクを増しつつ燃費を改善させている。トランスミッションは、2.0TFSIクワトロが7速DCT“Sトロニック”であるのに対し、SQ5は8速AT“ティプトロニック”となる。
Q5の2.0TFSIクワトロだって、最高出力252ps、最大トルク370Nmを発揮するのだから遅いわけがない。十分すぎるほど力強い加速性能を身に着けている。
さらに同354ps/500Nm を誇る新型SQ5になると、特別なクルマをドライブしていることを乗り手にアピールするかのような、高性能SUVとしての価値を伝えてくる。低く太く響く、いかにもパフォーマンスの高そうなエンジンサウンドを楽しめるのも、SQ5の魅力のひとつだ。
スポーティなフットワークはさらに“深化”、クワトロシステムもオフロード性能を向上させた
アウディらしいスタビリティが高くスポーティなフットワークも、さらに深化した。新型Q5とSQ5、いずれをドライブして感じるのは軽さ。実際の車両重量は素の状態で1820kgと1930kgだが、とてもそんな感じがしない。
もともとアウディはステアリングレスポンスには定評があり、初代Q5も俊敏性は高かったが、新型Q5はより応答遅れがなく、タイヤの踏面がより理想に近い形で路面に接地している感覚があり、ステアリング舵角の大きい領域でも安定して高いグリップ感を得ることができている。
このあたりは、新しいプラットフォームやサスペンションが効いていることに違いない。電制ダンパーを持つSQ5は、そこに柔と剛の両面を併せ持った、よりフトコロの深い乗り味となる。SUVながらコーナリングパフォーマンスも相当にハイレベルだ。
クワトロシステムには、低負荷では前輪駆動とし、リアに伝達する駆動力を断絶して抵抗を減らし効率を高めたり、水たまりなど急に滑りやすい路面を通過した瞬間、人の認知よりも素早くそれを検知して、必要なときにはすでに4WDになっているようにするなどの新しい機構を採用している。また、ドライブセレクトには、常時4WDとなるオフロードモードを設定している。
一部の先進安全装備は遅れての導入だが待つ甲斐はある!
今や欠かせない先進安全装備についても、アウディの最新モデルらしく機能は非常に充実している。アウディプレセンス シティ(歩行者検知機能付き自動ブレーキシステム)やアウディプレセンスベーシック(危険察知で乗員保護機能を自動的に作動)は全車に標準装備となる。だがアクティブレーンアシスト(65km/h以上の車線維持)と、自動運転でレベル2に相当する“トラフィックジャムアシスト”機能付きアダプティブクルーズコントロール(ACC)については、事情により年末にならないと国内導入されないとのこと。率直に申し上げて、新型Q5・SQ5の購入検討者はそれまで待ったほうが賢明だ。
ヒットモデルの2代目として、すべてにおいて大きく進化をはたし、高い付加価値を身に着けた新型Q5は、またしてもさらなるヒットを予感させる、素晴らしい仕上がりであった。
[レポート:岡本幸一郎/Photo:茂呂幸正]
アウディ 新型Q5、SQ5 主要スペック表
アウディ Q5/SQ5 スペック表 | ||
---|---|---|
グレード | Q5 1st edition | SQ5 |
価格 | 7,040,000円(消費税込) | 8,870,000円(消費税込) |
全長 | 4,685mm | 4,685mm |
全幅(車幅) | 1,900mm | 1,900mm |
全高(車高) | 1,665mm | 1,635mm |
ホイールベース | 2,825mm | 2,825mm |
乗車定員 | 5名 | 5名 |
車両重量(車重) | 1,820kg | 1,930kg |
駆動方式 | 4WD | 4WD |
エンジン | 直列4気筒DOHCインタークーラー付ターボチャージャーガソリン直噴エンジン | V型6気筒DOHCインタークーラー付ターボチャージャーガソリン直噴エンジン |
排気量 | 1,984cc | 2,994cc |
エンジン最大出力 | 185kW(252PS)/5,000-6,000rpm | 260kW(354PS)/5,400-6,400rpm |
エンジン最大トルク | 370Nm(37.7kgf-m)/1,500-4,500rpm | 500Nm(51kgf-m)/1,370-4,500rpm |
燃料 | 無鉛プレミアム | 無鉛プレミアム |
【動画】The all-new Audi Q5 CM[アウディジャパン]
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